【課題曲Ⅲインテルメッツォ】パートは自分だけ、周りに教えてくれる人がいない!悩めるバス弾きに送るワンポイント・アドバイス

悩めるバス弾きに送る課題曲ワンポイント・アドバイス。今回は課題曲3番「インテルメッツォ」を取り上げていきます。作曲者の保科洋さんは日本を代表する作曲家であり、過去にも全日本吹奏楽コンクールの課題曲を作曲しています。

保科洋 全日本吹奏楽コンクール課題曲作品

カンティレーナ(1976年)

風紋(1987年。後に作曲当時の構想に基づいた原典版が発表された。)

アルビレオ(1998年)

そして2017年、新たに「インテルメッツォ」が誕生しました。

保科さんは吹奏楽の作曲家として知られていますが、オーケストラ作品や室内楽作品、声楽作品と多くの曲を書いています。課題曲に取り組む時、その作曲家の他の作品に興味を持つこともその作風を知る上で大切なことだと感じています。聴いたことのない名曲に出会えるチャンスでもあるので、ぜひ色々な作品を聴いてみてください。


インテルメッツォ

全体を通して押さえておきたいポイントは

  • 歌心を持って演奏すること
  • 音程に気をつけること(特に長い音価を持つ時)
  • 音色に気をつけること

でしょうか。

リハーサル番号2や4はコントラバスも歌いたいと思うフレーズが出てくると思います。こういったところを上手く演奏できるように音程と音色に気をつけて演奏したいところです。

特に音色を揃えていくためにも一本の弦で演奏できるように工夫してみることがポイントです。各弦の運指がまだ頭に入ってないという方は演奏しやすいポジションで押さえても良いと思いますが、慣れてきたらぜひ一本の弦で滑らかな演奏できるような指使いを探してみましょう。


《例》リハーサル番号

ここはパッと見たところ、G線で弾き始め開放弦を上手く使い17~18小節は同じポジションでも押さえることができます。初心者の方はこれでもOK。

使う弦は2本、途中で移弦をしたり開放の音が2回出てきます。

このまま弾くとどうでしょう。ポジション移動がないので音程は取りやすいと思いますが、音色はどうですか? 「音色?」と思った方はもう一度弾いてみてください。

開放弦のGの音が大きくなってしまったりしていませんか?

滑らかに演奏ができていたら大丈夫ですが弓の使い方を気をつけないと3連符のG(開放弦)の音色が目立ってしまうことがあります。

それでは、ここを一本の弦で弾くとどうでしょう。

17~18をD線のみで弾いてみてください。さっきの音色と聴き比べてどうでしたか?

一本の弦で弾いた方が音が滑らかになっていると思います。

ポジションのタテとヨコの関係を覚えていけば、こうして音を滑らかに繋げたいときに役に立ちます。例えばB-durのスケールをA線から弾き始めD線でBまで上がっていく。D-durのスケールをD線のみで上がっていくなど各スケールを色々な指で練習する習慣をつけておくと良いでしょう。弦を横に移動した場合と縦に移動した場合の音色を聴き比べてみてください。

コントラバスは弦が太くなるにつれ音色も変わり、押さえるポジションによっては音がこもるようになることあります。弓を駒寄りに持って行き音色をコントロールすることもありますが各弦の音色を頭に入れた上でここのフレーズのポジションをタテでとるかヨコでとるかということを考えていくと良いでしょう。

17~20小節をD線一本で弾くこともできますし、19小節目で開放弦(G)の音色に気をつけてここでG線に移弦する方法もあります。20小節目のBをG線で取れば21小節目のDesに進むのにG線→(D線)→A線と弦を一本またぐことになり、D線で取れば音の間に距離が生まれますが移弦が楽になります。ここはどうでしょう、好みかな? 僕は4小節間D線で押さえています。


《例》リハーサル番号4

37~38小節、39~40小節でそれぞれ一つの言葉になっています。

ここも37~38をD線で押さえ、39~40をG線で押さえるという一本の弦で弾く方法やD線とG線を使ってヨコでとるといった方法もあります。まずは自分が演奏しやすい方法で練習し他に良いフィンガリング(指使い)がないかな?と研究してみてください。

どちらが良いかは人それぞれです。音程が取りやすい、音色が揃う。みなさんはどうですか?

43小節目のsfは(ダウン)で弾きたいので42小節目の3連符はその前のボウイングによりますが(ダウン アップ アップ)と記入しておくとよでしょう。


リハーサル番号5〜

48小節目からはpizzです。拍の頭が休符になっているのでしっかりと準備をし、ここのGの音はD線で取り左手を揺らしヴィヴラートをかけ表情をつけてみても良いでしょう。

しばらくpizzが続きますが音量は少し大きめで良いと考えています。ここは音の方向性を少し考えてみると良い表現ができると思います。pizzの弾(はじ)きかたを工夫してみよう。

風船を優しく手の平でポーンと上げるようなイメージです。

リハーサル番号8のアウフタクトは(アップ)78小節目のffを(ダウン)

79 -80、81 -82、83~と続く形は(アップ ダウン〜)と始めると弾きやすいと思います。

リハーサル番号10も工夫が必要な場面です。以前に出てきた音形ですが95はD線で(アップ)スタートです。お試しあれ!

105小節目からはタイの中で弓を返して大丈夫です。音程に注意していきましょう。


俺たちに明日(As)はない

105小節目から音を伸ばし最後はE線のAsで終わります。このE線(一番太い弦)のAsの音は非常に音程の取りにくい音です。特に、まだ楽器に慣れていない人であればしっかり押さえないと音程が下がってしまう傾向にあります。

この音は小指で押さえることが多いですが1や2の指で押さえても良いでしょう。前のEsの音をどこで取るかにもよりますがここのAsは音程要注意です。

僕は106小節目と107小節目の間にあるカンマ( ’ )の時間を使ってポジション移動をしA線の 絵sを4でとり、Asは1で押さえています。

もし、このように一度音楽が止まり間が空けばそこでポジション移動をするのも一つです。

特に管楽器は音程が上がっていくに対し弦楽器は演奏していると弦が緩み音程が下がってきます。このことを踏まえてこのAsはしっかり押さえるようにしましょう。

同じ音を吹いている仲間と音程・音色を合わせるなど練習してみてください。また、個人で練習するときはこのAsの音だけではなく前のEsの音からAsの音へ移動する時間も練習しておくと良いでしょう。音程が下がってしまう人は↑を記入するなど工夫してみてください。


インテルメッツォまとめ

これまでの解説を踏まえ押さえておきたいポイントは

  • 歌心を持って演奏すること
  • 音程に気をつけること(特に長い音価を持つ時)
  • 音色に気をつけること
  • この曲の最高音はG線のF
  • ポジションのタテとヨコの関係をうまく利用する
  • 俺たちに明日はない

また、長い音価を持っている時にカウントをすることを忘れないようにしてください。低音楽器が長い音を伸ばしている時に拍感がなくなってしまうと、そこだけ音楽の流れが止まってしまいます。パート練習をしていて「重くなる」という言葉を使う時がありますが、上記のような状態になっていることが多いです。例えば曲の冒頭で音を伸ばしている時も、八分音符カウントぐらいが丁度いいと思います。

とっても素敵な作品です。ぜひ「歌心」を持った演奏目指して頑張ってください!

 

ABOUTこの記事をかいた人

1987年、千葉県生まれ。 船橋市立葛飾中学校管弦楽部にてコントラバスと出会う。 千葉県立市川西高等学校を経て洗足学園音楽大学へ入学。 在学中より「吹奏楽部におけるコントラバスの現状」に着目し多くの講習会に講師として参加。大学卒業後はフリーランスのコントラバス奏者としてオーケストラ、吹奏楽、室内楽をはじめ楽器製作ワークショップやレコーディングなど多方面での演奏活動をする傍ら、吹奏楽指導者・アマチュアオーケストラのトレーナーとしても活動しており、中でも吹奏楽におけるコントラバスの指導に力を入れている。 これまでにコントラバスを寺田和正、菅野明彦、黒木岩寿各氏に師事、指揮法を川本統脩氏に師事。現在、昭和音楽大学合奏研究員、ブラス・エクシード・トウキョウ メンバー。また、日本アロマ環境協会 アロマテラピーアドバイザーの資格を持つ。