弦楽器というのは馬の毛を張った弓に松ヤニをつけ弦を擦り、弦を振動させ音を出します。
弦をこするので「擦弦楽器」とも言われています。
摩擦という言葉も使いますが毛の表面が引っかかることにより弦が振動しています。
そして、弓の毛はなんとお馬さんの尻尾でてきいま〜す!
ちびっこ達「へーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」
とはよく楽器紹介で言ったもので、この弓の毛を馬の尻尾ではなくナイロンにしてみました。
最近周りで噂になっていたナイロンで作られた弓の毛…張ってみました!
コントラバスの弓の毛いろいろ
じゃん!これが噂のナイロン毛。
ちょっとツヤツヤしてる感じで白毛より透明感があります。
こちらは白毛。こうやって見比べてみると違いがわかりますね。
産地の違いや茶色がかった無漂白の毛などもありますが、いわゆる普通の弓の毛です。
そしてこちらは黒毛。白毛よりも毛が太めです。
そして白黒ミックスなんてものもあります。かっこいい!
弓の毛って何が違うの?
毛の太さや強さ、弦への引っ掛かり方に違いがあったり、それにより音の立ち上がり方や音色に違いが出てきます。あくまで個人的な見方として劇的な変化はない気がしますが使っている弓にとの相性も関係してくるのでかなり好みが分かれるような気がします。
- 白毛…毛は細め、音は柔らかく繊細。
- 黒毛…白毛に比べて一本一本の毛が太め。引っ掛かりがよく音が太い。白毛に比べて荒々しさもある。男性的。
という感じです。
弓を数本持っている奏者は
ソロ用の弓…白毛
オケ用の弓…黒毛
という張り方をしている方もいます。
吹奏楽部でも黒毛を張っている学校を見かけます。
例えば白毛にもカナダ産、モンゴル産、中国産、国産などたくさんの種類があり工房によっても扱ってる毛の種類は様々なので、仲間内でどこで毛替えをしているかどんな毛を張っているかなど情報交換をしたりもします。楽しいです。
気になるナイロン毛は?
その前に、ナイロンとは!
- ナイロンの原料となるのは石油
- 鎖状の高分子を線維化しているため合成繊維でも弾力性はかなりのもの
- 衣類だけでなく、カーテンやカーペット、バッグやスポーツ用品、乗り物のシート、釣り糸など幅広いジャンルで使われている
ナイロン毛のメリット
- 馬の毛に比べて伸びにくい
- 耐久性があって切れにくい
- コストパフォーマンスが良い
- 演奏した感じは馬の毛とほとんど変わらない?
上記が毛替えの際に聞いたメリットです。
ナイロン毛は馬毛に比べて一本一本がかなり太いです。
また黒毛と比べてもナイロン毛の方が太く、そのためか毛の量は少なめです。
実際に使ってみた感想
ナイロン毛に張り替え1週間ほど使ってみた感想です。
良かった点
・音量が出る
毛の太さも関係するのか音は太く音量がかなり出ます。松ヤニもしっかり塗っていますがこれまで使っていた馬毛と比べても音が太くなった印象でした。
・音色は明るめ
馬毛に比べて音色は明るい印象です。工房の方も音は明るめだと言っていました。
(また、個人的な感想として少し金属音が気になっていたG線の音色が柔らかくなりました)
・切れない、耐久性は抜群
弾き始めて1週間ですが、まったく切れません。実物を見ると馬毛より毛の量は少ないですが太い毛が綺麗に張ってあります。触ってみると耐久性がありそうだと感じます。
・指板寄りの音色が良い
指板寄りの位置で弾いた時の音色が柔らかく馬毛よりも格段に良くなりました。
気になった点
・松ヤニが馴染むまで時間がかかる
毛替えした際に「松ヤニは多めにつけてくださいね」と教えていただきましたが、確かに松ヤニが馴染むのに時間がかかりました。使った感じとしては夏の暑い日に松ヤニが溶けた状態で弾いている感じ。3日目くらいまではとにかく松ヤニの乗りが悪く、合わなかったかな〜とも思いましたがようやく馴染んできました。
・雑音が気になる
毛の性質上そうなのか演奏中「シャーシャー」いう音が気になる時があります。
・駒寄りが少し弾きにくい
これは楽器の都合が関係していると思いますが馬毛に比べて駒寄りを弾いた時に引っ掛かりが良くないようでした。僕の技術の問題かもしれませんが。笑
そして、馬の毛は毛の太さや多少のムラがあることに対してナイロン気はピンと真っ直ぐ1本の糸が張られているような感じで毛の表面に違いを感じます。
また、その違いからなのか弾いた時に弓の毛が弦をとらえている感覚が馬毛よりも軽く感じました。
「ナイロンの毛を張った弓を渡して弾いてみてもらっても気がつかない人多いよ〜」
と言うことでしたが、確かに松ヤニが馴染んでくると馬毛とそんなに変わらない気がします。
耐久性も良く、弓との相性もよければコストパフォーマンスも良く経済的でね。嬉しい!
毛替えの料金も、馬毛とほぼ変わらないので使ってみて相性が良ければおすすめです。
特に、毛替えをいつしたかわからない、毛が半分しかないという状態を多く見てきた吹奏楽部の弓なんかはコストを考えるとナイロン毛でもいいのではないかと思いました。
気になる方、お試しあれ!