活動記録

クラシック音楽が身近にある放課後のひととき。部員二人で創部した弦楽アンサンブル部がはじめての演奏会を開催しました!

ご縁あって、今年からドルトン東京学園で弦楽アンサンブル部の部活動指導員を務めています。

敷地に入ると見えてくる花壇には可愛いハートがあったり、先日は美味しそうなパンが校内で売られていました。

コロッケパンが美味しかったです。

ドルトン東京学園は4月に開校し、5月から部活動の体験がスタート。

そして、6月から本格的に部活動が始まり、弦楽アンサンブル部は部員二人ではじまりました。

部員二人でスタートした弦楽アンサンブル部のこの先を、僕はとても楽しみにしています。

活動日は「平日2日、2時間ずつ」

弦楽アンサンブル部は毎週2日、2時間ずつ。

放課後に音楽室へ集まり、部活動指導員の技術指導を受けながら、のびのびと活動しています。

春に創部し、学校に届いた新しい楽器の蓋を開け、音を出すところから始まりました。

体験期間を経て生徒の希望楽器は決まっていたので、まずは各楽器を専門とする指導員の先生と一緒に楽器を選びます。

弦楽器は似ているようで一本一本手にとってみると音色の違いや、構えたときに身体にフィットする感覚の違いが感じられます。

楽器の構えや弓の持ち方を教わって、弓で弦を擦ってみると、音楽室がヴァイオリンやチェロの音色に包まれました。

弦楽アンサンブル部のはじまりです。

部活動指導員の指導を受けながら

弦楽アンサンブル部で音楽、演奏技術を指導するのはオーケストラや室内楽で活躍する現役の音楽家たち。

僕はコントラバスと合奏指導を担当していますが、今は部員が二人なので楽器を持って一緒に音を出したり、伴奏をして曲のサポートをしています。

楽器を教える、教わるというよりかは、一緒に音を出して練習しながら楽器の奏法を身につけていく、そのようなイメージで指導にあたっています。

これから弦楽アンサンブルのために書かれた楽曲を演奏することになったときには、その曲が生まれた時代背景や作曲家にまつわるエピソードを紐解きながら曲に親しんでいけたらと考えています。

みんなで準備した「はじめての演奏会」

はじめて弦楽器に触れる部員たちと楽器の練習をしていく中で、演奏会をやろうと企画が上がったのは部活が始まって数週間後のこと。

それぞれが練習している曲を、指導員の先生と一緒に演奏する形で発表し、生徒たちや先生に聴いてもらう機会を作ろう!

そんな気持ちで部員二人と顧問の先生方、そして部活動指導員を務める音楽家の方々と準備してきました。

演奏会のタイトルは「夏の小さな音楽会」

僕はこれを、四季の音楽会シリーズとして開催し「春・夏・秋・冬」と学校内が弦楽器の響きで包まれる日があったら面白そうだなという妄想をしています。

夏の小さな音楽会 2019.7.16

弦楽アンサンブル部が創部して一ヶ月。

いよいよ初めての演奏会の日がやってきました。

演奏したのは以下の4曲

  • 講師演奏/トランペット・ヴォランタリー

ヴォランタリーとは、教会の礼拝で演奏されるオルガン曲のこと。この曲をトランペット用に編曲した作品を部活動指導員の二人が演奏し、音楽会の幕が開けました。


  • ヴァイオリン演奏/メリーさんの羊 変奏曲

メリーさんの羊といえば、子供の頃にきっと多くの人が口ずさんだ曲。元はアメリカの童謡で、羊を飼っていたメリーさんという小さい女の子が、兄弟に羊を学校に連れてくるように勧められたら本当に連れてきて大騒ぎになってしまうお話。

それを見て喜んだ生徒から、この歌詞を元となったメッセージが書かれた手紙が届いたというエピソードがあるようです。

そんなメリーさんの羊の有名なメロディが、姿形を変えて出てくる変奏曲を演奏しました。


  • チェロ演奏/シューベルトの子守唄

ドイツの作曲家シューベルトが、なんと19歳のときに作曲した曲。

ドイツ語の歌詞が書かれており、日本では「眠れ、眠れ。母の胸に」という歌詞で歌われています。しかし、この曲の作詞者は不明となっています。いったい誰が作詞したのでしょうか。

はじめは指導員がメロディを演奏し生徒が伴奏をする形で練習をしていましたが、本番は生徒がメロディを演奏し、指導員が伴奏でサポートをしました。


  • ヴァイオリンとチェロによる「ホール・ニュー・ワールド」

1992年に公開されたディズニーアニメーション映画「アラジン」のナンバー。

王子に変装したアラジンとジャスミンが魔法の絨毯に乗って世界中を回るシーンで歌われた名曲中の名曲です。生徒からのリクエストで取り上げ生徒二人と指導員の先生、全員で演奏しました。

演奏の合間に曲にまつわるエピソードをお話したり、部員が部活紹介をしたりと約20分の演奏会。

足を止め、演奏を聴いてくださった方々、ありがとうございました。

春に弦楽器を手にした二人、これまでの練習の成果を堂々と披露してくれました。

おわりに

ドルトン東京学園の弦楽アンサンブル部を指導してきたこの数ヶ月、振り返ってみるとあっという間でした。

はじめて楽器を手にした生徒たちが顧問の先生方のサポートの元、専門家の指導を受け成果を発表するまでの過程は、部活動指導員としても学ぶことが多くありました。

部員、顧問の先生方、そして指導員の先生方が一つのチームになって作り上げてきた初の演奏会を終え、新しい課題に取り組む弦楽アンサンブル部は、夏休みも少しだけ活動して練習をします。

次の目標は秋の演奏会でしょうか。

創部してまもない部ですが、主役の生徒、顧問の先生、部活動指導員がタッグを組んでのびのびと発展していけたらと思います。

そして、いつか学園内にあるホールがオーケストラの響きに包まれることを夢見ています。

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イグチシンノスケ

千葉県出身。 船橋市立葛飾中学校管弦楽部にてコントラバスと出会う。 千葉県立市川西高等学校吹奏楽部を経て洗足学園音楽大学へ入学。 2022年春学期東京音楽大学指揮研修講座修了。 在学中より「吹奏楽部におけるコントラバスの現状」に着目し、多くの講習会に講師として参加。大学卒業後はフリーランスのコントラバス奏者としてオーケストラ、吹奏楽、室内楽をはじめ楽器製作ワークショップやレコーディングなど多方面での演奏活動をする傍ら、吹奏楽指導者・アマチュアオーケストラのトレーナーとしても活動しており、中でも吹奏楽におけるコントラバスの指導に力を入れている。 これまでにコントラバスを寺田和正、菅野明彦、黒木岩寿各氏に師事。指揮法を川本統脩、三河正典各氏に師事。よこはま月曜吹奏楽団指揮者。初心者と子どものためのオーケストラpìccolo音楽監督。板橋区演奏家協会理事。取手聖徳女子高等学校音楽科非常勤講師。

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