日記

ゴールを目指して一緒に走る。仕事も遊びも何かを完成させるまでが物語になると面白くなる。

音楽家の仕事は演奏会までの過程で曲を練習したり勉強してお客さんに音楽を届けること。

指導者であれば演奏会までの過程で楽器の技術指導をしたり、音楽作りをサポートすること。

これらに共通するのは何かを完成させるまでの時間を複数の人たちと共有すること。

ただ来て弾いて「はい、お疲れ様でした」となるとそうはいかないけど、演奏会までの過程が一つの物語になると仕事が一気に面白くなる。

これは遊びにも共通することで、今日は夏から計画を立ててた作戦が大成功に終わって大きな達成感を感じた日だった。

楽し音楽を多くの人へ届けたい

僕は普段、小さな編成のオーケストラで演奏することが多い。

20世紀初頭に海外で爆発的に流行った「サロン・オーケストラ」と呼ばれる指揮者を置かないピアノ付きの小編成オーケストラ。

ここに日用品や創作楽器をコラボさせ、あっと驚く演出を取り入れたりお客さんを巻き込んだ参加型のコンサートを各地で開催してる。

中でも一番の人気はフライパン。

このオーケストラの演奏を見て笑顔を浮かべている人たちを見て、この楽しい音楽のスペシャリスト達が奏でる音楽をもっと多くの人たちに届けたいと思った。

「クラシックって、面白いね」って感じてくれるような時間を全国へね。

オケの魅力を一つの名刺へ

演奏会を終えてお客さんとお話をしている中でよく口にしていたのが「ホームページもあるのでぜひご覧になってください。」とか「Youtubeに動画もあります!今日演奏しなかった曲もアップされてるのでぜひ聴いてみてください。」ということ。

ちょっと待って、ホームページにアクセスして何を見てもらうの?

ネット開いて名前を打ち込んで検索して動画にたどり着く、この時間と手間をもっと省けないかな。というか、自分の経験上、日常の中で検索することさえ覚えてることって以外と少ないかも。

ここで思いついたのが一枚の名刺にオケの魅力をギュッと詰め込むこと。

思い当たる魅力を掛け算してみればいい。

名刺あるって聞いてたけど、勝手に作っちゃおう。笑

アイディアの種をみんなで育てる

思いついたアイディアをメンバーに投げかけ意見をもらうと奇跡が起きた。

オケのリーダーの誕生日と本番の日にちが被ってる。

僕は降り番(編成上出番がないのでお休み)だけどスケジュールは空いてる。

そうなれば、ゴールはこの日。

ゴールを決めると、早速メンバーが名刺を作るサイトを教えてくれたので、名刺をデザインしてアップして意見を交換。

アイディアの種にメンバー一人一人が水を与え育て完成した名刺がこれ。

このチームを象徴するものはフライパン。

だから飲食店の名刺っぽい感じにして裏にこのチームが何者なのかを書く。

そして、何ができるのかも書いた上でホームページへ飛べるQRコードを貼る。

これで自分が終演後に口にしてたことがスマホに直結できた。

こうして一緒に作り上げてる感が芽生えてくると一気に面白くなってくる。

でも、一つだけ忘れちゃいけないことがあって、今回の企画で大きく学んだことがあった。

冷静に考え大胆に攻める

「もっと面白く!」とか「もっと知ってもらうために!」となるとどんどん道を踏み外す。

「感情」で動いて良いことはないので冷静になって考える。

もらったものがその人の持つキャラクターを崩してしまっては台無しだ。

相手が名刺を手にとって、それを第三者に渡すまでを徹底的に想像して作る。

過去のチラシで使われてるキャッチコピー、多く目にする言葉。

ホームページに書かれてる文章すべてに目を通して、その中から何を載せたら良いかを想像し尽くして、仲間からのアドバイスをもらう。

張り切りすぎず、感情的にならず、冷静に考える。

これは音楽指導にも演奏中の演出を考えることにも繋がると思った。

ゴールまでの過程がエンターテイメントになる

こうやって何かを作ってると、ここにエンターテイメント(娯楽・遊び・楽しみ)が生まれる。

だんだん面白くなってきて時間を忘れて手を動かすようになったら最強だ。

当日は、僕がたまたま仕事で川越にいるのをメンバーの一人がTwitterで見て終演後にランチをするという設定にして、川越までの移動中にラッピング。

顔に出やすい僕は不器用に嘘をつきながらランチを食べて、女性チームが予約してくれていたプレートが運ばれてきてみんなでネタばらし。

作戦大成功!!!なんかこの1ヶ月めっちゃ楽しかった。

掲げたゴールに向かって走る楽しさ

普段こんなことほとんどやらないからなのか、すっごい楽しい時間でした。

みんなでアイディアを持ち合わせて何かを作る。

これってよく考えてみると音楽作りに近いですよね。

最近はアマチュア楽団の指揮・指導にあたることが多いので、演奏会というゴールを目指して数ヶ月間一つのチームとして駆け抜けるということと同じだなと感じました。

ゴールを目指して一緒に走る。

仕事も遊びも何かを完成させるまでが物語になると面白くなる。

そんなことを教えてくれた出来事でした。

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イグチシンノスケ

千葉県出身。 船橋市立葛飾中学校管弦楽部にてコントラバスと出会う。 千葉県立市川西高等学校吹奏楽部を経て洗足学園音楽大学へ入学。 2022年春学期東京音楽大学指揮研修講座修了。 在学中より「吹奏楽部におけるコントラバスの現状」に着目し、多くの講習会に講師として参加。大学卒業後はフリーランスのコントラバス奏者としてオーケストラ、吹奏楽、室内楽をはじめ楽器製作ワークショップやレコーディングなど多方面での演奏活動をする傍ら、吹奏楽指導者・アマチュアオーケストラのトレーナーとしても活動しており、中でも吹奏楽におけるコントラバスの指導に力を入れている。 これまでにコントラバスを寺田和正、菅野明彦、黒木岩寿各氏に師事。指揮法を川本統脩、三河正典各氏に師事。よこはま月曜吹奏楽団指揮者。初心者と子どものためのオーケストラpìccolo音楽監督。板橋区演奏家協会理事。取手聖徳女子高等学校音楽科非常勤講師。

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