僕たちは現代に蘇る「サロン・オーケストラ」まだ、CDやレコードがなかった時代に舞踏会や街中に出向いては生演奏を届けていた小さなオーケストラ。

昔々のそのまた昔、まだCDがなかった頃の時代の話。

ヨーロッパでは、舞踏会やパーティそして街中には指揮者を置かない小さなオーケストラが各地へ出向いて生演奏を届けていたらしい。

この小さなオーケストラはヨハン・シュトラウスの心踊る「ポルカ」や「ワルツ」を奏で、人々はこの小さなオーケストラの演奏に耳を傾け音楽を楽しみながら過ごしていたんだとか。

ある鉄道会社の開業30記念周年パーティーでは、シュトラウス一家の一人が汽車の旅をイメージした「ポルカ」を書いて演奏され、毎年さまざまなテーマで舞踏会を開いていた頃は、その年のテーマに沿った「ワルツ」が生まれ、人々が楽しいひと時を過ごしていたそうだ。

こんな話を聞いていると、とってもワクワクしてくる。

現代にも残る「サロン・オーケストラ」

「サロン・オーケストラ」というのは指揮者を置かないピアノ付き小編成オーケストラのことを指す。

人数は5人から14人くらいまで、とくに人数は決まっていないけどそこまで多くなく、演奏する曲も短く親しみやすい楽曲が多い。

実は、今でもこうした編成のオーケストラが国内外に多くあり、当時と変わらない編成や音楽を届け活動している。

僕もそのうちの一人で、「サロン・オーケストラ」スタイルの編成にたくさんの発明品やアイディアを掛け合わせて「クラシックって、おもしろいね」って思ってもらえるような活動をしている。

音楽×エンターテイメント

僕がコントラバスを弾いているのは「ルロット・オーケストラ」

100年前と変わらない「サロン・オーケストラ」スタイルを基本とした指揮者を置かないピアノ付き小編成オーケストラだ。

ここに、現代風のアイディアをたくさん掛け合わせて芸術鑑賞会や各地の児童館、保育園や幼稚園へと出向いては楽しい音楽を届けている。

芸術鑑賞会ではオペラの世界を歌ったり手品を披露し、あっと驚く舞台を作る「音楽的道化師」やジャグリングに椅子倒立などの大道芸を披露する「パフォーマー」とのコラボコンサートを行ってきた。

また、フライパンや水道管など普段、身近にあるものまでを楽器にしてしまうアイディアはとても面白く、毎回の演奏会に登場する発明品には驚きの連続だ。

「ルロット・オーケストラ」のメンバーが作り出す舞台はまさに「音楽×エンターテイメント」の世界。

メンバー一人一人が持つキラリと光る才能に刺激を受け、自分ももっといろいろなものに触れてその経験をここでの活動に還元していきたいと思った。

「クラシック音楽」への玄関口を広く開けて

先月「ルロット・オーケストラ」の活動をもっと多くの人に知ってもらいたいと、メンバーみんなで初の自主公演を開いた。

ルロットらしい、ライブバーでのコンサート。

昔々のそのまた昔、人々がお酒や美味しい食事を楽しみながら生演奏に耳を傾けていたように、僕たちもライブバーで同じようなスタイルでの公演を開いた。

シュトラウスの「ポルカ」にはじまり、オーケストラのリーダーを務めるアイディアマンの発明品を披露したり、クラシック音楽の枠を超え世界の民謡やポピュラー音楽までを演奏して過ごした楽しいひと時。

そんな時にふと口にした「クラシック音楽の玄関口」を広く開けること。

これは「ルロット・オーケストラ」のHPに書かれていた創設当時からのメッセージだったかと思うんだけど、今インターネット上でたびたび議論されているクラシック音楽の敷居についての話題を、とても良い感じの目線から捉えているなと思った、僕の大好きな言葉だ。

クラシック音楽の敷居の話

僕はクラシック音楽の敷居は高くあって良いと思うけど、そこまでの導線をしっかりとデザインするのが現代に生きる音楽家の役目であって、僕たちは「クラシックって、おもしろいね」と感じてもらえるようなコンサートを身近な場所で展開していき、クラシック音楽の玄関口を広く開けて、たくさんの人たちを迎え入れたいと思う。

クラシック音楽の「敷居」について、僕はこう思う。

誰かが玄関口を広く開けて待ち、また誰かがそこからの導線を作り、また誰かが日常を忘れてしまうような極上の時間を作れば良いと思う。

多分、これで解決する。

おわりに

さまざまな演奏形態のあるオーケストラで僕が一番ハマったのがこの、指揮者を置かないピアノ付き小編成オーケストラ「サロン・オーケストラ」スタイルだった。

2019年を振り返ってみると「ルロット・オーケストラ」の仲間とたくさんの場所で演奏をすることができ、そしてメンバーから刺激を受け、感化され自分自身を成長させてくれたとても良いチームだった。

今年「ルロット」を通して感じた自分の変化は、外側に目を向けること。

日常に潜むエンターテイメントの種を探して現場に還元する。

もちろん、音楽やあってクオリティの高い演奏があってそこにアイディアをかけ算できるけど、日常に溢れるそして隠れているアイディアに目を向ける楽しさを教えてくれたオーケストラに感謝して、来年もたくさんの「エンタメ」を探していきたい。

さぁ、今日もこれから演奏会を聴きに行ってきます。

ABOUTこの記事をかいた人

1987年、千葉県生まれ。 船橋市立葛飾中学校管弦楽部にてコントラバスと出会う。 千葉県立市川西高等学校を経て洗足学園音楽大学へ入学。 在学中より「吹奏楽部におけるコントラバスの現状」に着目し多くの講習会に講師として参加。大学卒業後はフリーランスのコントラバス奏者としてオーケストラ、吹奏楽、室内楽をはじめ楽器製作ワークショップやレコーディングなど多方面での演奏活動をする傍ら、吹奏楽指導者・アマチュアオーケストラのトレーナーとしても活動しており、中でも吹奏楽におけるコントラバスの指導に力を入れている。 これまでにコントラバスを寺田和正、菅野明彦、黒木岩寿各氏に師事、指揮法を川本統脩氏に師事。現在、昭和音楽大学合奏研究員、ブラス・エクシード・トウキョウ メンバー。また、日本アロマ環境協会 アロマテラピーアドバイザーの資格を持つ。