2020年度全日本吹奏楽コンクール課題曲「コントラバスパート」を徹底分析!吹奏楽のための「エール・マーチ」編

吹奏楽におけるコントラバスへの理解と発展を願ってはじめた「課題曲ワンポイントアドバイス」は今回は課題曲Ⅳ、吹奏楽のための「エール・マーチ」をお届けします。

これまでのように、パートは自分一人だけ、周りにコントラバスを教えてくれる人がいないという人に向けて課題曲の練習ポイントを書いていきにで、上手くなりたい!という気持ちを胸に一人で独学で頑張ってる人に届いたら嬉しいです。

これは僕が勉強してきた練習メモです。

正しい答えではありませんが、一つの考え方として練習の参考にしてください。

課題曲Ⅳ 吹奏楽のための「エール・マーチ」

この曲を取り組む前に知っておきたいメモ

  • コントラバスの最高音はG線のEs(第3と第4の中間ポジション)
  • ポジションの音列、とくに横の関係を知る
  • マーチでよく使うボウイングテクニック「アップ→アップ」の練習に挑戦

課題曲Ⅰに対して課題曲Ⅳはマーチの歩みが四分音符で書かれています。
音の長さの分だけ音を出すのではなく、この曲の四分音符はどのくらいの長さなのかを考えてみると、良いマーチの伴奏が弾けるかなと思います。

マーチの伴奏を弾くコツは「その伴奏で歩けるか?」です。

ここを押さえて、今回は課題曲Ⅳを勉強していこう!

冒頭〜Cまで

まず冒頭のシ♭(B)の音はダウンで元気よくスタート!

3小節目の2拍目でいきなりこの曲の最高音のミ♭(Es)が出てくるんだけれども、ここはきっと音程を合わせていくのが難しいところ。

まず、僕から質問が2つあって

  • G線のEsの音の場所がすぐにわかるか
  • 第3と第4の中間ポジションを理解しているか

と問いかけてみたら、すぐに答えられる?

まずはここを押さえておきたくて、すぐに答えが出る人はOK。
もし、わからなくてもこれから解説することを読めば解決の糸口が見えてくると思うから一緒に考えてみよう。


音と音の「間」を練習するのがポイント

まず、3小節目の1拍目に四分休符があるよね。
この休符の時間をフェルマータみたいに長くして、ミ♭(Es)の音の場所に指を持っていく練習をする。

すぐにミ♭(Es)の音に行かずに、音に行くまでの過程を練習する。

  • シ♭(B)→ミ♭(Es)の間に音はいくつある?
  • ミ♭(Es)を押さえる指はどの指?
  • ミ♭(Es)を押さえているとき、1の指はどの音のところにある?

こうした細かい部分を頭で理解すること、そしてこうした部分をゆっくりから練習する。

例えば僕のレッスンで3小節目の跳躍が上手くいかないとしたら、四分音符=30のテンポで練習をすると思う。

四分音符だとカウントしにくいから、八分音符=60でやった方がいいね。

このテンポで、かつ3小節目の休符はもっと時間を取る。

そして、音から音に行くまでの間の身体の動きを理解してもらって、ミ♭(Es)の音を左手が押さえて(まだ弾かない)右手が移弦して(まだ音出しちゃダメだよ)ここは(ダウン)で弾き直すから、弓の元の方で毛が弦を捉えたら(もうちょっと我慢)ここで初めて音を出す。

こうして書くと、とっても細かいように思うけど大切なのはこうして要素分解していくこと。

そして、音と音の間をどう身体が移動しているかを覚えたらテンポを戻していく。

ここで15分くらい時間を使えば、あとはもう弾けちゃうはず。

4小節目はG線で縦に移動するか、2拍目からD線に移動するかみんなはどうやって弾く?


マーチの歩みは四分音符

課題曲Ⅰのマーチは八分音符で書かれていたけど今回は四分音符で書かれてる。
だからと言って、四分音符の長さで弾いてしまうと、いわゆる「重くなる」という現象が起こるはず。

マーチを弾くコツを伝えると、その伴奏で歩けるかというところ。
どんな音形だったら歩きやすいかな?この辺りを考えてみるといいかもしれないね。

音の長さに正しい答えはないので、一緒に演奏する低音セクションで合わせていこう。

僕たちはファゴットと一緒に新たに「B」から入るから、少しだけ大きく弾いてみてもいいかもしれない。僕だったら「コンバス入るぜ!」ってちょっと大きめに弾いちゃうかもしれないな。

付点は言葉に線を引く

33小節目には付点のリズムが出てくるね。
ここが少し厄介で(ダウン)を使い過ぎてしまうと十六分音符が弾きにくい。

いわゆる「十六分の食いつきをハッキリ!」というやつで、この場合は八分音符と十六分音符の間に小さく線を弾いてみるといい。

すると

  • ファーファ ドラ ファ

という音形が

  • ファー、ファド ラファ

となる。

言葉で書くとわかりにくいかもしれないけどこんな感じ。

吹奏楽のマーチでよく使う「アップ→アップ」を覚えよう

36小節目からはボウイングの考え方がいくつかあって、僕は弓順で弾く。
そして39小節目は2拍目の八分音符を(アップ→アップ)で弾く。

人によっては36小節目からの八分音符を(アップ→アップ)で弾くスタイルも多いと思うし、吹奏楽のマーチでこうした形が出てきたときはこの(アップ)を2回使う奏法を覚えておくといい。

また36小節目はレ(D)を4で押さえて、次の音(ラ→ソ)は隣の弦に移れば同じポジションで取れる。そのまま次のファ♯(Fis)はD線のまま移動して4で取ればOK。

こうした場面でポジションの理解度が重要になってくるわけだ。

C〜Hまで

いつもは基本的に伴奏をしているけれど、第二マーチの主役は僕たち。

ここでも付点のリズム前後でボウイングの工夫が必要で、きっと人によって弾き方も変わってくる部分だから、僕の弾き方を解説するね。

まず「C」は弓順、45小節目の2拍目と47,48小節目の1拍目は(ダウン→ダウン)にしてみた。
その前後は弓順で弾いて、ここでもポジションの音の並び、とくに横の関係を知っていくと楽。

でも、これは今の時点でのボウイングだからまたレッスンやこの曲を練習していく中で「やっぱりこっちの方がよくね?」ってなることも大いにある。

だから、僕を含めてネットで手に入れられる情報はあくまで参考程度にしておくのがおすすめ。

「E」からのテーマもボウイングに関しては同じで、67小節目からはどうしようかな。
67は(ダウン→ダウン)で68はアップ、以降は弓順でも良いし67を弓順で弾いて68を(ダウン)69をまた(ダウン)から弾き直すのもあり。

「H」の前でまた最高音が出てくるけど、ここは(アップ)でミ♭(Es)を弾いて左手は縦で進むか横で進むかはおまかせ。

そしてちょっと一休み。

I 〜ラスト

まず(アップ)でスタートして気をつけておきたいのが「I」の2小節目にあたる136のソ(G)
ここを勢いよく、とくに開放弦で勢いよく弾いてしまうとその音だけ極端に大きくなってしまうからしっかりと、自分が弾いた音を耳で確かめよう。

開放弦は押さえて弾いている音よりも音色が「◯◯」で広がりやすい。
まぜ「◯◯」なのかは、楽器によって鳴り方の違いがあるから。
僕の楽器は開放弦、とくにD線は鳴りやすくG線は少し固い音がする。

この特徴を覚えておくとアンサンブルコンテストとか小編成のアンサンブルでも役に立つ。

あとはこれまで解説したところと同じで「J」からの八分音符の並びは(アップ→アップ)にチャレンジしてみるとスムーズ。

「L」の1小節前を(アップ)で入って「L」は(ダウン)
タイで繋がる二分音符は途中で切らなくても大丈夫そうだね。

終わり4小節前は(アップ)で入って下行音形、最後は三連符をしっかり弾いて終止。

課題曲Ⅳの練習ポイントはこんなところ。

おまけの雑談

「エール・マーチ」をはじめて聴いたとき、裏打ちがないスタイルだなってところに気がつきました。裏打ちのないマーチと言えばヤン・ヴァン=デル・ローストの「アルセナール」という作品があって、この曲がとてもかっこいいのでぜひ聴いてみてください。

「エール・マーチ」の伴奏を作る参考になるかもしれないね。

そして!「アルセナール」のことを書いたので、ローストの作品をもう少し紹介してみると、世界史の授業でも習うかもしれない「スパルタクスの反乱」を描いた交響詩「スパルタクス」という曲がある。

約20分くらいの曲で、中間部分の美しい場面ではコントラバスのpizzがとても良い雰囲気を作るんだ。

それから、吹奏楽のための交響曲「シンフォニア・ハンガリカ」って曲があってこれはハンガリー建国の歴史に登場する3人の人物を描いた作品。

とくにおすすめは第一楽章で「フン族の王アッティラ」をテーマとても野蛮で攻撃的で、荒々しい性格を描いた音楽なんだけど、もう最高にかっこいい。

Apple Musicにもある、ヤン・ヴァン=デル・ロースト指揮フィルハーモニック・ウインズ大阪の演奏が名演だから聴いてみて欲しい。

こうやって、課題曲だけを解説するんじゃなくて、そこから派生していろいろな吹奏楽作品を紹介しても面白いかもしれないね。

さあ、次はいよいよ課題曲Ⅴの紹介です。
次回もどうぞお楽しみに!


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ABOUTこの記事をかいた人

1987年、千葉県生まれ。 船橋市立葛飾中学校管弦楽部にてコントラバスと出会う。 千葉県立市川西高等学校を経て洗足学園音楽大学へ入学。 在学中より「吹奏楽部におけるコントラバスの現状」に着目し多くの講習会に講師として参加。大学卒業後はフリーランスのコントラバス奏者としてオーケストラ、吹奏楽、室内楽をはじめ楽器製作ワークショップやレコーディングなど多方面での演奏活動をする傍ら、吹奏楽指導者・アマチュアオーケストラのトレーナーとしても活動しており、中でも吹奏楽におけるコントラバスの指導に力を入れている。 これまでにコントラバスを寺田和正、菅野明彦、黒木岩寿各氏に師事、指揮法を川本統脩氏に師事。現在、昭和音楽大学合奏研究員、ブラス・エクシード・トウキョウ メンバー。また、日本アロマ環境協会 アロマテラピーアドバイザーの資格を持つ。