クラシック音楽のコンサートは本格的なオーケストラのコンサート以外にも、普段あまりクラシック音楽を聴かない人たちに向けたファミリーコンサートや、未就学児や子ども達を対象にした親子コンサートなどがあります。
親子コンサートは0歳からのコンサートや親子で楽しむクラシックなどといった名前で開催され、プログラムも子ども達が飽きない適度な長さで組まれており、曲の中で音楽に合わせて手を叩いたり歌ったりと、普段クラシックコンサートに足を運ばない大人も、子ども達と一緒に楽しめるコンサートです。
会場にはオムツ交換や授乳ができるスペースが用意されていたり、コンサートホールではないフラットな会場で開催されることも多く、そういった場所では椅子が並べられている前に子ども達用のクッションマットが敷いてあったりといった工夫もあるので、赤ちゃん連れでも安心して聴きに来れるのも魅力の一つです。
そんな親子コンサートでもコントラバスは大人気。
とにかく大きいから?
物珍しいから?
いやいや、低い音が落ち着くからじゃない?
コントラバスの持つ魅力はいったい何なのか。
これまで多くの親子コンサートを通して感じたコントラバスの魅力をお話しします。
泣いたり笑ったり。コントラバスを目の前にした子ども達の豊かな表情
親子コンサートでは、子ども達がはじめて楽器というものを目にする機会でもあるため、楽器紹介や各楽器にスポットを当てた曲というものがプログラムに取り入れられていることが多く、コントラバスもお客さんに近づいて演奏することがあります。
その大きさから、少し離れた場所で演奏しているだけで目立つコントラバスが目の前に来ると、嬉しさのあまり笑顔になる子や目を丸くして驚く子がいたり、中にはあまりの大きさにびっくりして泣き出してしまう子どももいます。
考えてみれば約2メートルの大きな楽器が自分の目の前にドーンとやってきたら怖いですよね。
コントラバスに対して色々な表情を見せてくれますが、音が聴こえると興味津々。
さっきまで泣いていた子も泣き止んで不思議そうにコントラバスの様子を見ているといったことがありました。
不思議だなと思って調べていると、コントラバスの音の周波数は人間の声に近いということがわかりました。
癒しの低音。低い音を聞くと落ち着くという大人達の声
親子コンサートでは大人向けの曲や、世代を超えて愛される名曲も演奏されるため大人の方々もしっかりと楽しめます。
コントラバスで人気なのは大きな古時計。
作曲者のヘンリー・ワークがイギリスを訪問した際に、宿泊先のホテルにあった古時計にまつわる話を支配人から聞き、そのエピソードからヒントを得て歌にした作品です。
なんてトークを加えながら、コントラバスを大きな古時計に見立てて演奏すると
「低い音が落ち着きます」とか「コントラバスって癒されますね」
と声をかけてくださいます。
これにはきっと秘密があるに違いない…!
お母さんのお腹の中にいる赤ちゃんに届く音は低音だった!
音を出すと興味津々にコントラバスを見つめる子どもや、低音は落ち着くという大人。
実は低い音には心拍数を下げ、気持ちを落ち着かせるという効果があることがわかっています。
そして、お母さんのお腹の中で赤ちゃんに届く音も低音だったのです。
心臓の鼓動の音や血液の流れる音。
そういった音がお腹の中にいる赤ちゃんに伝わることから、低音が落ち着く、癒されるというのは人間の本能なのではないかなと感じています。
コントラバスが奏でる音は人の声に近い周波数であり、低音域は胎児がお腹の中で聴いていた音に近い。
これこそが、親子コンサートでコントラバスが人気の秘密なのかという答えにたどり着きました。
楽器に触って肌で感じるコントラバスの魅力
もしコンサートが終わった後、楽器に触ることができるチャンスがあれば、ぜひコントラバスに触れてみてください。
僕は、コントラバスの背中に手を当ててもらい、音を出して楽器から伝わる振動が手で感じてもらっています。
靴を脱いでいる子はちょっと足の裏がくすぐったく感じるかもしれません。
コントラバスの奏でる音は人の声に近い周波数、そして低音域はお母さんのお腹の中で赤ちゃんが聴いていた音に近い。
そんなエピソードを知った上で楽器に触れることで、コントラバスに興味を持ってくれたら嬉しいです。