明日のためのレッスンノート(vol.3)
こんにちは。コントラバス奏者の井口信之輔です。
吹奏楽におけるコントラバスへの理解と発展を願って毎週更新している『明日のためのレッスンノート』先週は、松脂の塗り方にスポットを当て『今すぐできる!「音が小さい」と悩む人に伝えたい松脂の塗り方とコツ』を書いてきました。
松脂の塗り方、試してみましたか?
今週あったレッスンでも松脂の塗り方のお話をしました。そして、塗り方も大切ですが松脂の状態もチェックしておきたいところです。
こちらは改めてお話していこうと思います。
さて、今日は吹奏楽部のレッスンで見てきた様々なロングトーンを徹底解説していきます。
あなたは、毎日ロングトーンの練習やっていますか?
「いつもやってる練習」を見てきて気になったこと
僕は講習会や吹奏楽部のレッスンで「いつも、どういう練習をしている?」という質問を投げかけているスタイルをとっています。
まず「いつもやってる基礎練習」を一通り見せてもらい、その過程で気になった点をメモしたり頭に入れ、改善点をアドバイスしたり、教則本を使って今後の練習方法を提案する。
こうした中で、特に気になったのが「ロングトーン」と称した練習です。
ロングトーンという言葉が生み出す誤解
「ロングトーン」の練習はとても奥が深いものですが、簡単に説明すると一定の高さの音を、安定して長く伸ばす練習です。
吹奏楽部では、管楽器奏者の人たちがウォーミングアップで音を伸ばしたり、基礎合奏で指定された音を全員で伸ばしたりと様々な場面で「ロングトーン」の練習が行われています。
弦楽器も一定の高さの音を安定して長く伸ばす練習として開放弦(左手で弦を押さえていない状態を指す)を使った練習がありますが「開放弦の練習、ボウイング練習」と言われることが多く「ロングトーン」という言葉はあまり使われていないように感じます。
弦楽器におけるロングトーンの中で重要なのは、右手のボウイング練習です。
まずは、各弦の開放弦を使って右手のウォーミングアップをしていくと考えてみてください。
レッスンで見てきたいろいろなロングトーン
「ロングトーン」をやってますと見せてもらうと大きく分けて4つのパターンに分かれました。
- メトロノームと合わせて開放弦を鳴らす、ロングトーン
- ひたすらBの音をチューナーに合わせて伸ばす、ロングトーン
- 基礎合奏のハーモニートレーニングの音をひたすら伸ばす、ロングトーン
- 4〜8拍ずつ音を伸ばしてB-durのスケールを弾く、ロングトーン
この中には、基礎練習として効果的な「ロングトーン」の練習もありますが、これは意味があるのかな?と疑問に思ってしまう練習もありました。
年間を通して、多くの曲を演奏する、そして合奏時間の多い吹奏楽部にとって、個人練習やパートの基礎練習に当てる時間はとても貴重なので、ぜひ有効に使xってもらえたらと感じています。
あなたは普段、どんな練習をしていますか?
ぜひ、日々の練習を見直して、より良い練習ができるように考えてみてください。
次に、4つのパターンごとに今後どのような練習をすれば良いか、提案してみます。
メトロノームと合わせて開放弦を鳴らす、ロングトーンをしている人へ
この練習はとても大切な練習ですね。
- 弦と弓は直角に弾けていますか?
弦楽器の弓使いは管楽器の息使いと繋がっていると考えています。
日頃から「弓使い=息使い」というイメージを持って練習に取り組んでみてください。
練習時間が多く取れるときは、全音符だけではなく、弓の配分を考え、二分音符や四分音符などでも練習することをおすすめします(楽譜アップしています)
Bの音をチューナーに合わせて伸ばす、ロングトーンをしている人へ
吹奏楽でB(シ♭)を合わせるのは大切ですね。
- 弓は弦と直角になっていますか?
- 左手のフォームは綺麗に作れていますか?
もし、左手で弦をギュッと握ってしまっていたら、その練習は意味がなくなってしまいます。
Bを合わせる時には必ず、綺麗な左手のフォームを意識しましょう。
Bを合わせる時には必ずこの形!
そして、この形を作ることができたらもうBのロングトーンは卒業して大丈夫です。
開放弦のボウイングや、スケールを練習する時間を増やしていきましょう。
ハーモニー練習の音を伸ばす、ロングトーンをしている人たちへ
- 右手の弓の角度や左手のフォームを気にかけていますか?
レッスンでは綺麗なフォームを作れていたのに、基礎合奏のテキストになると形が崩れてしまうというのはもったいないので、基礎合奏のテキストにもボウイングと指番号を書いてくことをすすめています。
右手と左手のフォームを崩すことなく弾けて、楽譜に必要な情報が書き込まれていたら、個人でこの練習は卒業して大丈夫だと考えています。
基礎合奏の基礎練習はバンドの基礎力向上のため、楽器の基礎練習は演奏技術向上のためだと考えてみると、個人練習の時間はコントラバスの基礎力をアップさせる練習をするのが効果的です。
4〜8拍ずつ音を伸ばしスケールを弾く、ロングトーンをしている人たちへ
スケール練習はとても大切ですね。
- 右手の弓の角度や左手のフォームはできていますか?
8拍などで弓が足りなくなってしまう場合は途中で弓を返して大丈夫だと考えています。
- 今弾いているスケールの楽譜には、ボウイングと指番号は書いてありますか?
もし、書いていなかったら、楽譜に指番号を書く習慣をつけていくと良いでしょう。
B-durであれば、一度もポジションの移動をせずに弾けるはずです。
そして、B-durだけではなく全ての調のスケールを覚えていくことを目標に取り組んでください。
知っておきたい基礎練習、開放弦を使ったロングトーンの練習
これまで書いてきたように、吹奏楽部でコントラバスを弾いている人たちは、ロングトーンという言葉を「右手のボウイング練習」ではなく管楽器の人たちがウォーミングアップで取り組むロングトーンと似た感覚で捉えてしまっている人が多いと感じました。
このように、いろいろな「ロングトーン」を見てきましたが、僕がおすすめしたいのは開放弦のボウイング練習でもあるロングトーンからはじめてみること。
僕がレッスンで使っている自作の教則本『吹奏楽部でコントラバスを弾くために、知っておきたいいくつかのこと』より「右手の練習(ボウイング)」の部分を公開します。
練習テンポは60〜80 まず音出しとチューニングをしたらやってみよう!
ボウイング練習使ってみてた感想をTwitterでつぶやいてくれたら嬉しいです♪
弓の持ち方、ちゃんとできてる?
ボウイング練習をするその前にチェックしたい項目がもう一つ!
弓の持ち方、ちゃんとできていますか?
日本で主流となっているコントラバスの弓の持ち方はドイツ式(ジャーマンスタイル)ですが、その中にも多くの持ち方が存在し、教則本によっても若干の違いが存在します。
なので、ここでは僕の経験談として「今の弓の持ち方」と「初心者の頃の弓の持ち方」を比べてみます。
- 初心者の頃の弓の持ち方
まだコントラバスの弾き方を誰にも教わる前、僕は弓をこのように持っていました。
弓先が下がってしまっていて、弓もしっかりと持てていません。
これは、初心者講習会でよく見かける弓の持ち方です。
- 今の弓の持ち方
友達に教えてもらったり、自分で教則本を買ってからはこのような持ち方になりました。
まず、初心者の人は弓と弦を直角にセッティングして、弓が上下しないように練習しよう!
弓の持ち方も教則本によって色々な解説がありますが、右手で卵を包むようなイメージで弓を持ってみてください。
おわりに
『明日のためのレッスンノート』今週は、吹奏楽部のレッスンで見てきたロングトーンの練習と疑問点、改善点を書いてきました。
日々の練習で、何か思い当たる節はありましたか?
もし、基礎練習のやり方がわからないという人がいたら、後悔した楽譜のメニューに取り組んでみてください。そして、わからないことがあれば、気軽に質問をしてきてください。
これから冬に向けて日が暮れるのも早くなり、最終下校時刻がある中学校では1日に30分程度しか部活動の時間がとれない学校もあるでしょう。
今ある環境で、どういった練習をするのがベストかを考えることが上達への第一歩。
日々の練習を工夫して、より良いバスを弾けるよう頑張ってくださいね。
次回の『明日のためのレッスンノート』は、今回のロングトーンの練習を使ってできる練習方法を紹介します。
『日々の練習に、ボウイング練習がもっと楽しくなるリズム遊びを取り入れよう!』
というタイトルを考えてみました。
メトロノームを使って遊んでみましょう!
今週もレッスンノートを読んでいただきありがとうございました。
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