明日のためのレッスンノート(vol.3)
こんにちは。コントラバス奏者の井口信之輔です。
『明日のためのレッスンノート』は吹奏楽部でコントラバスを弾いているけど、パートに自分一人しかいない、周りにコントラバスを教えてくれる人がいないといった人たちに向けて書いている、レッスンノートです。
今回のテーマは『そのロングトーンって本当に必要?』
レッスンで見てきた様々なロングトーンを徹底解説!と題した、吹奏楽部でコントラバスを弾くために、知っておきたい基礎練習の話です。
これまで、多くの中高吹奏楽部のコントラバスパートをレッスンしてきた中で、初めて行く学校では「いつも、どういう練習をしている?」という質問を投げかけてきました。
そして「いつもやってる基礎練習」を見せてもらい、改善点をアドバイスしたり、練習方法を提案する方向でレッスンを進めていますが、特に気になったのが「ロングトーン」と称した練習です。
その「ロングトーン」をやってますという学校の内容を見せてもらうとこんな感じ
- メトロノームと合わせて開放弦を鳴らす、ロングトーン
- ひたすらBの音をチューナーに合わせて伸ばす、ロングトーン
- 基礎合奏のハーモニートレーニングの音をひたすら伸ばす、ロングトーン
- 4〜8拍ずつ音を伸ばしてB-durのスケールを弾く、ロングトーン
この中には、とても効果的な「ロングトーン」の練習もありますが、これは意味があるのかな?
というものもあります。
年間を通して、多くの曲を演奏する部活動にとって、個人やパートの基礎練習に当てる時間はとても貴重だと思いますし、ぜひ有効に使いたい時間だと感じています。
皆さんは普段、どんな練習をしていますか?
ぜひ、日々の練習を見直して、より良い練習ができるように考えてみてください。
それでは、今日よりもちょっと良い明日に向けて『レッスンノート』を開いていきましょう。
目次
ロングトーンという言葉が生み出す誤解
「ロングトーン」の練習というのはとても奥が深いですが、簡単に説明すると「一定の高さの音を、安定して長く伸ばす練習」です。
吹奏楽部では、管楽器奏者の人たちがウォーミングアップで音を伸ばしたり、基礎合奏で指定された音を全員で伸ばしたりと様々な場面で「ロングトーン」の練習が行われています。
弦楽器も「一定の高さの音を安定して長く伸ばす練習」として開放弦(左手で弦を押さえていない状態)を使った練習がありますが「開放弦の練習、ボウイング練習」と言われることが多く「ロングトーン」という言葉はあまり使われていないように感じます。
弦楽器におけるロングトーンの中で重要なのは「右手のボウイング練習」です。
まずは、各弦の開放弦を使って右手のウォーミングアップをしていくと良いでしょう。
吹奏楽部では「ロングトーン」という言葉を「右手のボウイング練習」ではなく管楽器の人たちがウォーミングアップで取り組むロングトーン、基礎合奏で取り組むロングトーンと同じような感覚で捉えてしまっている人が多いのかなと感じました。
色々なロングトーンの練習をしている人たちへ
はじめに書いたように、これまでレッスンを通して「ロングトーンと称した練習」が大きく分けて4つのパターンに分かれていることに気がつきました。
この4つのパターンごとに、今の状態をチェックして、今後何をすれば良いかを提案してみます。
メトロノームと合わせて開放弦を鳴らす、ロングトーンをしている人へ
この練習はとても大切な練習ですね。
弦と弓は直角に弾けていますか?
弦楽器の弓使いは管楽器の息使いと繋がっていると思います。
日頃から「弓使い=息使い」というイメージを持って練習に取り組むとよでしょう。
時間が多く取れるときは、全音符だけではなく、二分音符、四分音符なども練習していくと良いでしょう。
Bの音をチューナーに合わせて伸ばす、ロングトーンをしている人へ
吹奏楽でB(シ♭)を合わせるのはとても大切なんだと思います。
その時に、弓は弦と直角になっていますか?
左手のフォームは綺麗に作れていますか?
もし、ギュッと弦を握ってしまっていたらその練習は意味がなくなってしまいます。
Bを合わせる時には必ず、綺麗な左手のフォームを意識しましょう。
Bを合わせる時には必ずこの形!
そして、この形を作ることができたらもうBのロングトーンは卒業して大丈夫です。
開放弦のボウイングや、スケールを練習する時間を増やしていこう!
ハーモニー練習の音を伸ばす、ロングトーンをしている人たちへ
こちらも、先ほど書いたように右手の弓の角度や左手のフォームはできていますか?
レッスンでは綺麗なフォームを作れていたのに、基礎合奏のテキストになると形が崩れてしまう人というのは多いです。
この練習も、綺麗な左手のフォームを必ず作ること。
そして、基礎合奏のテキストにもボウイングと指番号を書いてくと良いでしょう。
以上のことが出来るようになれば、個人でこの練習は卒業して大丈夫です。
基礎合奏の基礎練習はバンドの基礎力向上のため、楽器の基礎練習は演奏技術向上のためだと考えてみると、個人練習の時間はコントラバスの基礎力をアップさせる練習した方が効果的ですね。
4〜8拍ずつ音を伸ばしスケールを弾く、ロングトーンをしている人たちへ
スケール練習はとても大切ですよね。
こちらも、先ほど書いたように右手の弓の角度や左手のフォームはできていますか?
今弾いているスケールの楽譜には、ボウイングと指番号は書いてありますか?
もし、書いていなかったら、楽譜に指番号を書く習慣をつけていくと良いでしょう。
B-durであれば、一度もポジションの移動をせずに弾けるはずです。
そして、B-durだけではなく全ての調のスケールを覚えていくことを目標に取り組んでください。
もし、基礎合奏で伸ばしている拍の長さ分弓がうまく使えないときは、途中で弓を返しても大丈夫だと僕は考えています。
右手のフォームが崩れないように、工夫してください。
知っておきたい基礎練習、開放弦を使ったロングトーンの練習
これまで書いてきたように、吹奏楽部でコントラバスを弾いている人たちは、ロングトーンという言葉を「右手のボウイング練習」ではなく管楽器の人たちがウォーミングアップで取り組むロングトーンと似た感覚で捉えてしまっている人が多いと感じました。
このように様々な「ロングトーン」を見てきましたが、まずは開放弦のボウイング練習でもあるロングトーンからはじめてみてはいかがでしょうか。
僕がレッスンで使っている自作の教則本
吹奏楽部でコントラバスを弾くために、知っておきたいいくつかのこと
より『右手の練習(ボウイング)』を公開します。
練習テンポは60〜80 まず音出しとチューニングをしたらやってみよう!
ボウイング練習使ってみてた感想をTwitterでつぶやいてくれたら嬉しいです♪
弓の持ち方、ちゃんとできてる?
ボウイング練習をする、でもその前に。
弓の持ち方、ちゃんとできていますか?
日本で主流となっている弓の持ち方はドイツ式ですが、その中にも多くの持ち方が存在し、教則本によっても違うので多少混乱してしまうかもしれません。
ここでは、僕の経験談として、今の弓の持ち方と初心者の頃の持ち方を比べてみます。
- 初心者の頃
まだ誰にも教わる前はこのように持っていました。
弓先が下がってしまっていて、弓もしっかりと持てていません。
これは、初心者講習会でよく見かける弓の持ち方です。
- 今の弓の持ち方
友達に教えてもらったり、自分で教則本を買ってからはこのような持ち方になりました。
まず、初心者の人は弓と弦を直角にセッティングして、弓が上下しないように練習しよう!
弓の持ち方も教則本によって色々な解説がありますが、右手で卵を包むようなイメージで弓を持ってみてください。
さいごに
『明日のためのレッスンノート』そのロングトーンって本当に必要?吹奏楽部でコントラバスを弾くために、知っておきたい基礎練習の話、いかがでしたでしょうか。
日々の練習で、何か思い当たる節はありましたか?
もし、基礎練習のやり方がわからないという人がいたら、まずはこのメニューに取り組んでみてください。
これから冬に向けて日が暮れるのも早くなり、最終下校時刻がある中学校では1日に30分程度しか部活動の時間がとれない学校もあるでしょう。
今ある環境で、どういった練習をするのがベストかを考えて、練習に取り組んでみてください。
次回の『明日のためのレッスンノート』は
ボウイング練習がもっと楽しくなる、リズム遊び
です。
メトロノームを使って遊んでみよう!