パートは自分だけ、周りにコントラバスを教えてくれる人がいないといった環境で練習しているあなたに届けたい、吹奏楽コンクール課題曲2018ワンポイント・アドバイス。
最終回で取り上げる曲は、課題曲Ⅴエレウシスの祭儀
エレウシスはギリシャの地名。
その地でかつて行われていた秘密の儀式がタイトルになっているようです。
他にも、解説には
- オリンポス十二柱の一柱・デーメーテール神話のひとつ
- 豐穣を司る神であるためそれを祈った儀式であると考えられている
と書かれています。
エレウシスは現在はエレフシナと呼ばれ、アテネ近郊の港湾工業地帯となっていますが、そこには古代エレウシスの遺跡が残されています。
エレウシス(古代ギリシア語: Ἐλευσίς / Eleusis)は、古代ギリシアのアテナイに近い小都市。ギリシア神話に登場する女神デーメーテールの祭儀の中心地として知られる。また、古代の悲劇詩人アイスキュロスの生誕地でもある。
現在はエレフシナ(現代ギリシャ語: Ελευσίνα / Elefsina)と呼ばれる。ギリシャ共和国アッティカ地方に属する基礎自治体(ディモス)であり、西アッティカ県の県都である。
課題曲Ⅴエレウシスの祭儀
スコアには曲は二つの場面に分かれていると解説されています。
- 曲の前半部分(A-F)はデーメーテールの娘ペルセポネーの捜索と娘を略奪した冥界の王ハーデスへの怒りの心的描写。
- G以降は祭儀の舞踏的な様子。
引用:エレウシスの祭儀-楽曲解説
曲の冒頭はコントラバスと打楽器からはじまります。
また(B)には弦を垂直に引っ張り指板に当てて音を出すバルトークピッチカートという奏法が登場します。
後半は、ずっと同じパターンの音形が続くのでボウイングとフィンガリングを決めて練習に取り組みたいところです。
冒頭〜Aまで
この曲の幕開けはコントラバスから。
音は基礎合奏でも多く使うA線のB(シ♭)慣れている音も、いざ周りに誰もいないと弾き手の心はいつもと違うものです。
合奏前、小さな音で弦を弾(はじ)き、B(シ♭)の音程を確認しておくと良いでしょう。
ppと書かれていますが、どのくらいの音量で弾けば良いかは指揮をする先生と打ち合わせをしておき、一緒に出る仲間2人がどこにいるかは把握しておきましょう。
冒頭をダウンで弾き始めてみると、6小節目の2〜3拍目が弾きにくくなります。
6小節目のクレッシェンドを生かすために冒頭はアップからはじめるというパターンにも取り組んでみてください。
細い音符が多いので難しそうに見えますが音域も高くなく、冒頭〜Aまではだいポジションまでで弾ける音域です。
B〜Cまで
12小節目は(B)から八分音符単位でカウントをし、4拍目裏で弓を弦の上に置けば迷いなく入れるかと思います。続く14小節目も弓を置くという動作が大切なポイントかもしれません。
バルトークピッチカートについて
バルトークピッチカートは、弦を指板と垂直に引っ張り、弓矢を放つように『バチン!』と弾(はじ)きます。
弾く位置がポイントになってくること、そして思いっきり弾(はじ)くことが大切です。
上手く決まるとかなり大きな音がしますが、驚かずに思い切ってバチン!!!!!!
16小節目は他セクションが刻むリズムを頭に入れておくとよし。
C〜Fまで
28小節目からのボウイングは、何パターン考えられるでしょう。
31小節目のsfzをダウンで弾ける良いですね、
(E)からは(A)の音形が半音上がった形で出てきますが、左手の基礎が出て来ており、音の並びを理解していればそこまで難しい箇所ではないでしょう。
今回の課題曲は、どの曲も基礎力が求められるように感じています。
G〜Jまで
ここからは複雑な音形が続きますが、よく見てみるといくつかのパターンに分かれています。
- ダウンから初めて弓順。
- 弓は使いすぎないように、一つ一つの音形がしっかりと出せるように
- 指板寄りではなく、少し駒の方で演奏してみる
と良いかと思います。
これまでも、課題曲Ⅴの(G)からが難しい、どう弾けば良いですか?
という質問を受けましたが、弾く前に
- メトロノームと合わせて声に出して音を読む
- 声に出して読みえてきたら、ボウイングとフィンガリングを想像する
この二つをやってみてください。
こうすることで、ムダに何度も弾いてしまうことなく効率よく譜読みができるでしょう。
45小節目の音形がいくつも出てくるので、音が変わったところにフィンガリングを書いておくと迷わずに弾けます。
K〜ラストまで
ここからは小節ごとにカウントが変わってくるので、頭の切り替えをしっかりと。
ここも、音を出す前に声に出して音を読んでいくと良いかもしれませんね。
どうしてもつまづいてしまう人は一小節ごと弾きストップを繰り返してみよう!
- (L)4/4→ストップ→7/8→ストップ→4/4と弾く
- このストップの時間は長くても良い、頭で次の小節を歌い弾き始めてもよし
- 弾けたらこんどは2小節ごとに一時停止など工夫してみる
この流れで練習してみてください。
そして、ストップしているときの右手は弦から離さず弓の毛は弦につけたままです。
(L)はアップから、その後は弓順で行けますが、88〜90小節の間だけ弓順が逆になります。
その後も、パターンは決まっているので、音が変わったらフィンガリングを記入するなど自分なりに分かりやすい楽譜作りを心がけて練習すると、迷わず弾ける曲だと思います。
G〜ラストまでを弾くために押さえておきたい3つのヒント
(G)からラストまでを弾くために
- パターンを理解する
- ボウイングを決める
- フィンガリングを決める
とくに、ボウイングやフィンガリングは楽譜にしっかりと記入すること。
この3つが大切です。
さいごに
この曲は冒頭からコントラバスが音を出し、途中でバルトークピッチカートが登場とコントラバスが活躍する課題曲です。
音域はそこまで高くなく、最高音は34小節目に出てくる第2ポジションのC(ド)の音ですが、左手の形をしっかり作れていないと演奏するのが困難な曲でもあります。
とくに(G)からは、弦をぎゅっと握ってしまったり1本の指だけで弾いてしまうと、左手の移動が慌ただしくなりとても大変です。
この曲を取り組むけれど、周りにコントラバスを教えてくれる人がいなくて基礎がしっかりとできてないと感じる人は、左手の形と第2ポジションまでをしっかりと覚えていくと良いでしょう。
▷ハーフポジション
▷第1ポジション
▷第2ポジション
もし、音程をどう撮れば良いか迷ってしまったら、各ポジションの音の並びを覚えてこの曲に取り組むことをおすすめします。
まずは楽譜をしっかりと呼んで、ゆっくりと音を作っていってください。
2018年度吹奏楽コンクール課題曲ワンポイント・アドバイスはこれでおしまい。
今年も、たくさんの学校の熱演を楽しみにしています!
それでは、コンクールに向けて頑張ってください!
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