明日のためのレッスンノート(vol.5)
こんにちは。コントラバス奏者の井口信之輔です。
吹奏楽におけるコントラバスへの理解と発展を願って毎週更新している『明日のためのレッスンノート』先週は、『メトロノームを使ったリズム遊び』というテーマで、コントラバスの基礎練習をするときに、メトロノームをの使い方を工夫してみるすすめを書きました。
さて、今週は『コントラバスの弦を押さえるときに知っておきたい左手の基礎』というテーマでレッスンを進めていきたいと思います。
コントラバスを弾く上で、左手の基礎を身につけることはとっても大切。
ここを押さえているかどうかで演奏力の差が開いてきます。
なぜ、ここで差がつくか?
この疑問の答えを一緒に見つけていきましょう。
弦を「握る」か「押さえるか」あなたはどっち?
左手で弦を押さえ音程を作っていくコントラバス。
これまで吹奏楽部のレッスンを通して弦の押さえ方が大きく分けて2パターンに分かれていることに気がつきました。
先に答えを言ってしまうと、弦を「握る」か「押さえる」かの差がコントラバス奏者の演奏レベルに差をつけるポイントです。
まずは、弦を「握る」か「押さえる」かの違いを見ていきましょう。
- 弦をギュッと握って押さえる人
弦をギュッと握って押さえる人は、音が変わるたびに手を動かして押さえ直す必要があります。
B-durのスケールであれば7〜8回も弦を押さえ直す必要が出てきてしまいます。
- 左手の正しいフォームを覚えて弦を押さえる人
左手の正しいフォームを覚えて弦を押さえることができたら、一つのポジションで12通りの音を出すことができます(一つのポジションで出せる音3つ×4本の弦)
四分音符が続くマーチや、ゆったりとした曲であれば、弦を握っても弾くことができますが、速いテンポの曲や音の数が多い曲などになってくると弦を握って押さえただけでは、対応できなくなってしまいます。
同じB-durのスケールであれば、一度もポジション移動をせずに演奏することができますね。
ここまで読むと、弦を「握る」か「押さえる」かで生まれてくる差がわかります。
慣れれるまでが大変な左手のフォーム
この左手のフォームは慣れるまで時間がかかること、そして音程が定まらないこともあり、コントラバスのレッスンを受けたことがないという人にとって、とても大変な部分でもあります。
でも、コントラバスの弦を押さえる左手の正しいフォームを覚えたら、一つのポジションで12通りの音を出すことができるようになり、早い動きにもどんどん対応できるようになります。
今からでも決して遅くはありません。
もし、弦をギュッと握っている、または人差し指だけなど1本指で弦を押さえてしまっていた人も、一緒にコントラバスの弦を押さえる左手のフォームを勉強していこう!
コントラバスの弦を押さえる左手のフォームを覚えよう!
コントラバスには、ギターのようにフレットがないので自分の左手でフレットを作るということがポイントになります。
はじめに押さえておきたいのは
- 左手のフォーム(全体像)
- 左手の指番号(各指に付けられた番号)
まずは、コントラバスの弦を押さえる左手のフォームの全体像を見ていきましょう。
指番号とかを覚える前に、まずは全体像を頭の中でイメージできるようにします。
コントラバスの教則本に書かれている、指番号を覚えよう!
コントラバスを演奏するとき、左手には弦を押さえる指を示した「指番号」がつけら、一般的にコントラバスの教則本では下記のように記載されています。
- 人差し指…1番
- 中指…2番
- 薬指…3番(ローポジションでは小指の補助)
- 小指…4番
指番号は◯番、または◯の指と呼ばれます。
※薬指(3)は小指の補助となり4と書かれていたら薬指も一緒に押さえます。
そして、ソロを弾くような高い音域のポジション(ハイポジション)になると、弦を押さえる手の形が変わり、3の指として薬指が使用されます。
まずはここまでを覚えておきましょう。
既に「知ってるよ!」という人は、後輩が入ってくるまでに自分の口で説明できるところまで落とし込んでいきます。
初心者におすすめしたい、コントラバスの指番号の覚え方
コントラバスを弾き始めた頃は、指番号を頭で理解していても、思い通りに指が動かないこともあるでしょう。
弦を押さえるときは、基本的に教則本の書かれている指番号の覚え方にプラスして、下記のような覚え方をするのをおすすめします。
- 人差し指(1の指)は1本で押さえるから1
- 中指(2の指)は2本で押さえるから2
- 小指(4の指)は4本で押さえるから4
各指の番号を、弦を押さえる指の本数として覚えておくと良いでしょう。
弦を押さえることが辛い人へ
コントラバスを始めた頃は、弦を押さえるために必要な力がついておらず、正確な音程がとれなかったり、弦を押さえると指が痛くなってしまうといった経験があるかもしれません。
今、弾いている楽器の状態に問題がなければ
- 左手の正しいフォーム
- 左手の指番号
この2つを覚えて練習を積み重ねていけば、弦を押さえる力がついてきます。
弦を押さえられない原因が楽器にあることも
部活動の備品として学校にあるコントラバスは、駒が反ってしまっていたり、弦高が高すぎてまともに弦を押さえることができない、といった状態の楽器があるのも事実です。
こうした状態の楽器では、正確な音程を取ることも難しく、速いテンポの曲を弾くことも不可能に近いです。
そして、無理に弾いていると、手を痛めてしまいます。
練習量や根性で解決する問題ではないので、楽器に問題があると思ったら顧問の先生や講師の先生に相談してみてください。
すぐにできる!楽器の状態チェック
もし、楽器の状態に問題があるかもしれないと感じた人は、下記の部分をチェックしてみよう!
- 駒の状態
駒は、弦の張力によって支えられ立っているだけなので、楽器をぶつけてしまったりすると動いてしまいます。楽器運搬の際には注意しましょう。
- 弦高は適切か(弦と指板の間)
弦高が高すぎると、まともに弦を押さえられません。
目安はG線10mm、D線12mm、A線14mm、E線15mm前後です。
こうした問題が、部活動でコントラバスを弾いている人が、弦をギュッと握って押さえてしまったり、押さえやすい指だけを使って弦を押さえてしまう原因のひとつだと考えています。
吹奏楽部をはじめとした、音楽系部活動の顧問の先生方へ!
本来、楽器を演奏するために必要な力、筋肉は楽器の練習を通して身につけていくものだと考えていますが、駒や弦高の状態に問題のある楽器で演奏を続けていると、怪我をしてしまう可能性があります。もし楽器の状態に問題があれば駒の調整や修理をおすすめします。
おわりに
『明日のためのレッスンノート』今週は、コントラバスの弦を押さえるときに知っておきたい左手の基礎を一緒に勉強してきました。
この「左手の基礎」を身につけられるかどうかが、大きく差がつくポイントであり、コントラバスを始めた人たちが乗り越える一つの壁です。
レッスンノートのはじめにも書きましたが、これまで弦を握って押さえてしまっていた人も、決して遅くありません。
今週のレッスンノートをきっかけに、左手の正しいフォームと指番号を見直して、日々の練習に役立ててください。パートの基礎練習、基礎合奏の時間に意識する習慣をつけていけば、大きな変化があると思います。
一緒に上手くなっていきましょう!
さて!次回『明日のためのレッスンノート』は左手を徹底的に鍛えるトレーニングを紹介します。
今週のレッスンノートで勉強した内容の応用編となるので、この1週間で左手の基本を覚えていきましょう。
それでは、また来週!
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