コントラバス奏者、吹奏楽指導者、よこはま月曜吹奏楽団指揮者の井口信之輔です。
オンラインコミュニティ「コントラバス研究室BASSROOM」の運営をしたり、オンラインでもレッスンをしたりしています。
さて、僕は歴史や神話、伝説などを描いた吹奏楽作品を好んで聴くのですがその中でもトップクラスに好きな作品が、スペインの作曲家フェレール・フェランの作品。
交響曲第2番「キリストの受難」です。
フェランは作曲家、指揮者、ピアニストとして活躍していますが日本では吹奏楽作品が多く知られており、この作品は日本で彼の名が知れ渡った作品の一つ。
イエス・キリストの誕生から復活までを3楽章構成の交響曲で描いた超大作で、フェランの代表作と言っても良いかもしれません。
「キリストの受難」の録音といえば
「キリストの受難」が日本にやってきてからこれまで、多くの人が触れてきた録音は
- ヘンリー・アダムス指揮 ブニョール・ラ・アルティスティカ交響吹奏楽団
の録音だろう。いわゆる参考演奏としてこのCDを聴いていた人も多いと思う。
他にも「ダグラス・ボストック指揮 近畿大学吹奏楽部の定期演奏会」のライブ録音は有名で、キリストの受難といえばこの2つの演奏の録音を聴いたりしていた。
フェランの作品を楽しむために
クラシック音楽であればモーツァルトを例に出してみたり、吹奏楽であればスウェアリンジェンやライニキーなど、作品を聞くと「◯◯っぽさ」を感じることがあるだろう。
フェランの作品にもそうしたところがあり(僕は勝手に「フェラン節」と呼んでる)
- 半音で行き来する音形(特に低音楽器が多く受け持つ)
- 上行・下行する木管楽器のスケール
- 3連符を中心とした細かいリズム(打楽器・金管楽器が多く受け持つ)
- 巨大なスクリーンに広がる壮大な世界を思わせるコラール風のメロディ
この辺りを押さえておくと、作品をより楽しめるのかもしれない。
フェランの作品の第一印象はとにかく「カッコいい」そして「よく鳴る」印象。
指導者目線で考えると「同じようなことが続く激しい曲」で終わってしまうこともあるので、作品の特徴を押さえておくのがいかに大切かは演奏を聴くたびに感じる。
作曲者自らが指揮する演奏が熱い!
「キリストの受難」の演奏といえば、先ほど書いたものをずっと聴いてきたけれど、先日出会った録音が個人的にとても好みな演奏で、最近はずっとこの演奏を聴いています。
作曲者自らが指揮を振る「作品集」に収録されており、交響曲第1番「砂漠の嵐」はライブ録音になっている(キリストの受難もライブっぽい)
冒頭のフルートソロからこの先に起こる不吉な予感を思わせる第一楽章前半の緩徐部はゆったりとしたテンポで歌われ(個人的にあのバストロンボーンの一音は全力で欲しい)、攻撃的なテンポで描かれる「幼児虐殺」のシーン(トランペットが最高!)の攻めっぷりや、第三楽章の裁判の情景、鞭で打たれ釘で貼り付けられるシーンの生々しさ、マーラーの交響曲第2番「復活」のラストを思わせる壮大さといい、ど迫力のサウンドで楽しめる「キリストの受難」
いつか、吹奏楽指導や演奏の現場でこの作品と再会できるのを楽しみにしています。
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