明日のためのレッスンノート2020(vol.5)
吹奏楽におけるコントラバスへの理解と発展を願って春まで更新。
「明日のためのレッスンノート」
今日のテーマは「エレキベースに慣れるために取り組んでおきたいトレーニング」
吹奏楽部ではコントラバス奏者がエレキベースを弾くというスタイルが多くの学校で定着していますが、実はこのスタンスに多くのコントラバス奏者が悩んでいることがあります。
これ、本当に全国の吹奏楽指導者に伝えたい。
コントラバス奏者はエレキベースも弾けるのか?
今回はコントラバスとエレキベースの話をしていこうと思います。
目次
「コントラバス」と「エレキベース」は別の楽器
まず、結論から話をするとコントラバスとエレキベースは全く別の楽器。
楽器の構えはもちろん、奏法も違えば弦の押さえ方も違います。
だから「コントラバスが弾けたらエレキベースが弾けるの?」と聞かれたら、僕はONと答えるけれど、コントラバスとエレキベースには共通点もあるため、そうした部分を生かして「コントラバス奏者がエレキベースも弾けるようになる」ことは非常に良いことだと考えています。
コントラバスとエレキベースの共通点
コントラバスとエレキベースは別の楽器だけど共通点もある
- 開放弦と音の並びが同じ
低い音から(ミ-ラ-レ-ソ)と弦が張られて音の並びも同じです
- チューニングが同じ
開放弦が同じ音なので、チューニングの方法も同じです
弾き方も一緒じゃないの?
ここ良く聞かれることなんですが、奏法は全く違います。
右手の指の動かし方も、左手の弦の押さえ方も違うんです。
音の並びは同じだけど、コントラバスは縦に手を動かしエレキベースは横に手を動かす。これだけで身体の使い方も変わってくるので、慣れるまでは本当に手が動かない。
右手の違い
コントラバスも弦を指で弾くピッチカート(pizz)という奏法がありますが、吹奏楽やクラシックを弾くときのpizzは弓を持って弾くことが多く、右手で音の方向性を描くように弾いた後に弦から手を離すことが多いですが、コントラバスでポップスの曲のベースラインを弾くときやエレキベースを弾くときの指弾きは、弓は持たず弦を弾いた後に隣の弦に指を当てて止めます。
また、エレキベースの基本的な奏法として知られている人差し指と中指を交互に使う「2フィンガー」という奏法も、吹奏楽やクラシックを弾いていると使う機会がほとんどないので、慣れていく必要があります。
だけど、慣れておくとコントラバスを弾く上でも大きなメリットがあるのでぜひトライしたいところ。特に、デイヴィット・ホルジンガーの「スクーティン・オン・ハードロック」に泣かされた吹奏楽部のコントラバス弾きは、ぜひ2フィンガーを覚えておくと良し。
左手の違い
弦の押さえ方に関しては
- コントラバス
人差し指(1)中指(2)小指(4)※薬指(3)は小指の補助
- エレキベース
人差し指(1)中指(2)薬指(3)小指(4)
コントラバスは「2の指と3の指はくっつけて離れないように!」と教わり、エレキベースは「2の指と3の指は離して」各フレットを押さえます。
なのでコントラバスの運指に慣れてるとエレキベースの運指は少し辛いことがあるので、そうした場合はコントラバスと同じ運指(1-2-4)でベースを弾くようにします。
一つの手の形で押さえられる音の数は減るけれど、これでもOK。
エレキベースの楽譜をコントラバスで弾くときは?
逆にエレキベースの楽譜をコントラバスで弾くことがあります。
この場合、ピッチカートで弾いたところで音が消されてしまって聴こえないことが多いので、ピッチカートを工夫して入れつつ、基本的にアルコ(弓で)で弾くことをおすすめしてます。
オクターヴで動く8分音符は音を下げるなど工夫して弾くか、あえてチューバ譜を弾くなんて方法もあるので経験に合わせてこの辺りを工夫すると良いかと考えています。
エレキベースは1日5分のトレーニングで慣れる
これは僕の体験談です。
とある本番でエレキベースを弾くことになり(いわゆるベースデビュー)猛練習をしました。
このときの経験があって、今仕事でベースを弾くことがあるのですがこの時に何をやっていたかというと「1日10分の基礎トレーニング×1ヶ月」です。
他に曲の練習もしていましたが、毎日欠かさずやっていたのが1日10分のトレーニング。
最初は指が動かないので10分も持つことなく数分でバテては手を休ませて10分間の間に休憩を何度も挟んでの繰り返しでしたが、エレキベースの弦を押さえるフォームに慣れてくると少しずつ弾けるようになってきて最後は10分通しで練習していました。
これをいきなり10分で区切ると手を休めながらでも辛いので、僕が吹奏楽部のレッスンで使用している5分トレーニングの楽譜を公開します。
1日5分のベーストレーニング
毎日欠かさずやっていたエレキベースの練習、いわゆる指のトレーニングです。
僕はエレキベースの運指に慣れるため(1-2-3-4)ベースの運指で練習していましたが、この楽譜はコントラバスの運指で弾けるように書かれています。
音が高くなるにつれフレットの間隔が狭くなるので、コントラバスの運指で弾きにくくなってきたらエレキベースの運指にもトライしてみてください。
また指弾き(2フィンガー)で弾きますがコントラバス奏者の視点から
- 人差し指=ダウン
- 中指=アップ
と考え交互に動かしてみると弾きやすいかもしれません。
2フィンガーの奏法に関しては、いろいろなベーシストたちがyoutubeにレッスン動画を上げているのでそちらを参考にしてください。
1日5分のトレーニングこの楽譜の使い方
楽譜は自由に使ってください(ダウンロードもプリントもOK!)
メトロノームのテンポを60に設定する(八分音符=120でもOK!)
スマホのタイマーを5分10秒からスタート、準備と弾く前のカウントを忘れずに一つ一つ丁寧に弾く。かなり遅いので左手でしっかり弦をとらえるイメージを忘れずに。
疲れたら無理をしないで休む。
また休まったら途中から弾き始める。
翌日は振り子式メトロノームであればメモリを1上げて、電子メトロノームなら3〜5ずつテンポをあげるて、これを1ヶ月毎日練習する。
開放弦があっても、弦を押さえて音を出します。
「◯フレット」ではなく、コントラバスの運指表のポジションで書いているのでベースを練習しながら、あまり弾くことのないポジションの音の並びも覚えていくとコントラバスに役立ちます。
おわりに
吹奏楽部のレッスンへ行き、コントラバスパートだからとエレキベースの楽譜を渡され、構えも奏法も全く違う楽器の弾き方を教わる機会もそうなく練習している中高生からの悩み、相談を聞くたびにコントラバスとエレキベースは全く別の楽器だということを知ってもらいたく声を上げてきました。
でも、エレキベースを習得することはコントラバスを弾く上でメリットだらけ。
だからこそ、今度は自分がベースを練習してそこで得たことをどんどん発信していきます。
ベースかっこいいよね。
弾けたらマジでかっこいいから頑張ろうね。
実際に使用しているエレキベース関連のグッズを紹介します
新・ベーシストのための全知識
吹奏楽部でエレキベースを弾く人、そして最近ベースを始めたよって人におすすめの本。
クリップチューナー
リーズナブルで使いやすい。駒に挟んで合奏中のチューニングもスムーズに。
コントラバスのレッスンは平山音楽院へ
レッスンは月1回からOK
楽器と弓の貸出あり「湘南台教室・上永谷教室」でレッスンをしています