明日のためのレッスンノート(vol.24)
吹奏楽におけるコントラバスへの理解と発展を願って毎週更新している「明日のためのレッスンノート」今日からは、先輩になる前に取り組んでおきたいことを、いろいろとお話ししていきたいと思います。
先週まで続いた「コントラバスの運指表に基づいた12のポジション」本当によく頑張りましたね。運指表に基づいたポジションの音列を今の時期までに覚えておけば、大きな財産になると考えています。
さて、今週はホルジンガーの名曲「春になって、王たちが戦いに出るに及んで」に似せた「春になって、僕たちが新しい仲間を迎えるに及んで」というテーマで「今すぐできる!チェックリストを使った楽器の点検」をお話しします。
これは、僕が車を点検に出した時、整備士さんがチェックリストを見ながら該当する部分を点検していたのを見ていてひらめいたアイディアです。
春になって新しい仲間を迎える前に取り組んでおきたい準備をして、4月から胸を張って立派な先輩になってください。
新しい仲間を迎える前に取り組んでおきたいこと
3月になり、僕の活動拠点となっている千葉県や神奈川県は定期演奏会シーズンとなりました。
毎日、どこかで色々な学校が1年間の集大成となる演奏会を開催しており、僕も可能な限りたくさんの学校の演奏会へ足を運びたいと思っています。
そんな、演奏会の準備で忙しい時期ですが、4月になったら新しい仲間がやってきます。
どこかで時間を見つけて、新しい仲間を迎える準備をしておく。
演奏会前はかなり忙しくなることが予想されるので今のうちに手をつけておくのも良でしょう。
「楽器の状態」をチェックしよう!
新しく入ってくる後輩が使う予定の楽器、どのような状態になっていますか?
引退した先輩が使っていた楽器を使う、音楽準備室に眠っている楽器を久しぶりに出すなど、学校によってさまざまですが、楽器の状態チェックは1時間あれば十分です。
弦楽器は修理に多額の費用がかかる可能性もあるため、楽器の状態に問題があれば最低限の足回り(弦・駒・エンドピン)だけでも修理できると、弾きやすさがかなり違ってきます。
まずは、僕が講習会で使っている「楽器の状態チェックリスト」を使って点検してみましょう。
今回は「各部分でチェックしておきたい場所」を抜粋して紹介します。
楽器の状態についてチェックしておきたい項目は3つあって
-
楽器に「割れ」や「剥がれ」はないか?
弦楽器は木でできているため、湿度による影響を大きく受けるが楽器です。楽器の板が割れていないか、側面が剥がれていないかを一度チェックすると良いでしょう。特に、湿度の高い廊下や空調設備のない準備室などに保管してある楽器に起こるトラブルは接合部運の剥がれが多かったです。
-
エンドピンは調整可能か?
コントラバスを構えるとき、楽器の高さは奏者の身長に合わせて調節します。
エンドピンのネジが破損して調整できない楽器、ピンが曲がってしまっている状態、またネジが固くなって調整できない場合は修理が必要です。
-
エンドゴムはついているか?
以前に「エンドピンのゴムは外した方が良いですか?」という質問を受けたことがあります。
コントラバスのエンドピンは大きく分けて2種類のタイプがあり、ゴムを外して演奏できるのは「先端が尖っていて床に直接刺して演奏できるタイプのみ」です。
先が丸くなっているエンドピンに滑り止めとして付いているゴムを外すと、演奏中に楽器が滑ってしまい大変危険なので、覚えておいてください。
もし、エンドピンのゴムに穴が空いていたり、ゴムが付いていない場合は近くの楽器店に売っていることが多いので探してみてくださいね。
▽エンドピンについて詳しく知りたいあなたはこちら!
https://chigu-i.blue/?p=720
「その弦いつ張り替えた?」最低限チェックしておきたポイントはここ!
コントラバスの弦は高価ですが消耗品です。
吹奏楽部でよく耳にするのは「弦は切れたら張り替える」ということ。
コントラバスの弦は高価なので気持ちはよくわかりますが、1〜2年で張り替えるのが理想と言われています。
弦の状態によっては怪我をしてしまうこともあるので「最低限チェックしておきたいポイント」を紹介します。
-
ささくれや地金が見えていないか
弦を押さえる部分がこのような状態になっていないか、ここだけでもチェックしておきましょう!
指板に手を添えて、上から下へと弦を撫でるように触ってみてください。
何か手に引っかかる部分はありませんか?
もし、このような状態であれば弦を交換した方が良いかもしれません。
実際に見てみないと具体的なアドバイスはできないので、顧問の先生やパート講師の先生に相談してみると良いでしょう。
僕は最近、初めて行く学校には張り替え必須なヤバい弦サンプルを持って行きます。
実際に手にとって見てみると、どのような状態かがわかりやすいかなと思います。
吹奏楽部、秋のレッスンが少しずつスタート。今日は久しぶりに行く学校なので「張り替え必須なヤバい弦のサンプル」を持って行きます。 pic.twitter.com/UpuvagPZkd
— 井口 信之輔 / コントラバス (@igu_shin) September 12, 2018
駒の状態チェックも忘れずに!
最後は駒の状態をチェック。
弦を押さえるのが大変、音程が定まらない、こうした悩みの原因が楽器にある場合、駒の状態に問題あることが多いと感じました。
-
弦高は高すぎないか
弦高とは、指板と弦の隙間のこと。弦高は◯◯でなければならないという決まりはありませんが、弦高の高さは楽器の弾きやすさに大きく影響します。
多くの教則本に書かれている目安は
- G線10mm、D線12mm、A線14mm、E線15mm前後
指板の切れ目に定規を当て、各弦までの間を測ってみてください。
-
駒に反りがないか、また駒の足は隙間はまくまっすぐ立っているか
駒が上向きに反ってしまったり、駒の足がまっすぐ立っているかもチェックしたいポイント。
弦の張力によって支えられ立っているだけなので、楽器をぶつけてしまい、まっすぐ立っていた駒が左右に動いてしまうことも多くありました。
駒が松ヤニの粉で汚れてしまっているのはよくない例です。
-
気をつけよう!駒の扱いには十分注意
先ほど書いたように、駒は弦の張力によって支えられています。
なので、駒が左右にズレていると思って弦を緩めて元に戻そうとすると、楽器の中にある魂柱が倒れてしまう危険性があります。
もし、駒がズレていたりした場合は、顧問の先生を通し楽器屋さんに診てもらうことをおすすめします。僕も、レッスンに行った際に多少のズレを直すことはありますが、駒に問題があると感じたら、顧問の先生へ報告し修理または調整をお願いするようにしています。
以上が、新しい仲間を迎える前にチェックしておきた部分です。
こちらは実際にレッスンや講習会で使っている楽器の状態チェックリスト
吹奏楽部用チェックリストもっと詳しく知りたい方は、こちらをプリントしてお使いください!
おわりに
「明日のためのレッスンノート」今週は、今すぐできる!チェックリストを使った楽器の点検方法を紹介しました。
良きコントラバスパートの伝統を作るには、良い下準備からです。
新しい仲間を迎えるその前に!ぜひ楽器の状態をチェックしてみてくださいね。
今週は演奏会のお知らせです!
僕がコントラバスを弾いている吹奏楽団の第20回記念演奏会です。
吹奏楽と合唱の共演で名作映画の数々を取り上げた映画音楽公演です!
ブラス・エクシード・トウキョウ
第20回記念コンサート
THE ULTIMATE MOVIES vol.2
2019.3.2(土)東京芸術劇場コンサートホール
開場16:00 開演17:00
指揮 津堅直弘 大滝実
プログラム
映画「ロード・オブ・ザ・リング」
「スター・ウォーズ」他
チケット:全席指定
S席5.000円
A席3.500円
B席2.500円
C席1.500円(※チケットぴあのみ販売)