明日のためのレッスンノート(vol.18)
こんにちは!コントラバス奏者の井口信之輔です。
吹奏楽におけるコントラバスへの理解と発展を願って毎週更新している『明日のためのレッスンノート』ポジションの話が3週間続いたので、今週はまた一息ついて「先輩になるまでに覚えておきたいチューニング方法」のお届けします。
去年の11月末からコントラバスの運指表に基づいた12のポジションを一緒にマスターしてきて、先週で第3ポジションの練習まで終わりました。
ここまでポジションの練習を続けてきたら、少しは慣れてきましたか?
はじめは辛くて押さえられなかった弦も、押さえられてきたように思います。
気づけばポジションも進んできました。
ここまで一緒に頑張ってきてくれたあなたに、今日は『ワンランク上のチューニング方法』
をお伝えしていきたいと思います。
初心者で始めたあなたは、先輩になるまでにぜひ知ってもらいたいテクニックです。
学年が一つ上がるまであと2ヶ月。
どこまで力になれているかわかりませんが、一緒に頑張っていきましょう!
それでは、今週もちょっと良い明日に向けてレッスンノートを開いていきましょう。
第3ポジションまで一緒に練習してきてくれたあなたへ
『明日のためのレッスンノート vol.18』
今回はここまで一緒に練習していてくれたあなたに伝える『ワンランク上のチューニング方法』
これまでチューニングはどのようにやってきましたか?
- 各弦の開放弦を鳴らしてチューナーで合わせてきた
チューニングは時間をかけて丁寧に。
いつかそんな話をしたかと思います、もう慣れてきましたか?
はじめの頃は、楽器を支えるのに慣れておらず
音を出す→音程を見る→音を止めて楽器を支えてペグを回す→音を出す
の繰り返しだった人も、慣れてくると音を出しながら音程を見てペグを回せるようになったりしてきますし、そうなったきた生徒たちも多く見てきました。
- フラジオレットでチューニングをしている
この方法でチューニングしている方がいたらさし(すばらしい)です!
今日お話ししたい内容はコレ!
『フラジオレットを使ったチューニング方法』です。
経験者の方や、先輩から教わってきたという人も多いですが
- 初心者講習会
- 独学で練習に励んでいる人たち
に質問してみると「わからないです」という声を多く聞くこと、そして「フラジオレットで合わせる方法」を質問されることも多いです。
この方法を覚えると、舞台上や合奏中の隙間時間にも手短に音を合わせられ耳を鍛えることもできるので、ぜひマスターしていけたら良い思います。
フラジオレットって何?コントラバスを弾くために知っておきたい知識
フラジオレット(flageolet )は弦を指で押さえず軽く触れることにより倍音を出す奏法です。
ハーモニクス、倍音奏法という言葉を使うこともありますが、ここではフラジオレットという言葉を使ってお話ししていきます。
良い音で弾いてみよう!
- D線の開放弦をチューナーで合わせ
- 第3ポジションのA(ラ)の音の場所を押さえずに小指だけで軽く触れてみてください
すると、透明感のある柔らかいA(ラ)の音が出ませんか?
第3ポジションのA(ラ)の1オクターヴ上の音が出ます。
このとき、フラジオレットをキレイに響かせるコツとして
- 弓のスピードは少しゆっくり、ちょっと駒寄りを、弓と弦が直角になるように
弾いてみてください。
透き通ったキレイな響きは出せましたか?
フラジオレットを使ったチューニングに挑戦!
キレイな響きを出すことができたら、フラジオレットを使ったチューニングに挑戦です。
まずはチューニングの手順をお話しします。
※この手順はよくある順番なのでこの通りにやらなくてはならないということはありません
使用するのは全て第3ポジション
- D線の開放弦を合わせる(チューナーを使ってもOK!)
- D線のフラジオレットの音を基準にA線のフラジオレットを合わせる
- A線のフラジオレットの音を基準にE線のフラジオレットを合わせる
- D線のフラジオレットの音を基準にG線のフラジオレットを合わせる
これで各弦の音を合わせることができます。
この手順を頭に入れて、一つずつ詳しく見ていきましょう!
D線の開放弦を合わせ、D線の音にA線を合わせる
先ほど音を出したように、まずはD線の開放弦をチューナーで合わせ
- D線のフラジオレットの音を小指(4)で触れ
- A線の第3ポジションの人差し指(1)の場所に触れ音を出します
すると各弦とも同じA(ラ)の音が出るので、D線を基準にA線の音程を合わせます
D線のフラジオレットを基準に、A線のフラジオレットが高いかな?低いかな?
自分の耳で聞き分けて、音程を調整します。
このとき、弓のスピードは一定に保つように意識しましょう。
A線の音にE線を合わせる
A線の音を合わせたら次はA線とE線を合わせていきます。
- A線のフラジオレットの音を小指(4)で触れるとE(ミ)の音が鳴り
- E線の第3ポジションの人差し指(1)の場所に触れ同じ音を鳴らします
すると各弦とも同じE(ミ)の音が出るので、A線を基準にE線の音程を合わせます
D線の音にG線を合わせる
最後はD線に戻り、D線とG線を合わせていきます。
- D線のフラジオレットの音を人差し指(1)で触れるとD(レ)の音が鳴り
- G線の第3ポジションの小指(4)の場所に触れ同じ音を鳴らします
すると各弦とも同じD(レ)の音が出るので、D線を基準にG線の音程を合わせます
これがフラジオレットを使ったチューニング方法です。
うまくできましたか?
ポイントは「響き」を聴いて合わせる
コントラバスの4つの弦は音が違うほか、各弦が持つ音色があります。
なので各弦のフラジオレットも同じ音でも音色が若干違うこともあるということを覚えておくと良いでしょう。
なので、音色の違いが音程の違いのように聞こえてしまうこともありますが、音程を合わせるときはフラジオレットの響きを聴いて合わせてみてください。
そのためには、あまり弓をたくさん返しすぎず、丁寧なボウイングを心がけます。
弓のスピードが変わると、息のスピードが変わるように音程も変わりますので注意しましょう。
慣れないうちはチューナーを使って丁寧に
フラジオレットのチューニングは「響き」を聴いて合わせるのがポイント。
でも、慣れないうちは音程の高低差の聞き分けも難しいと思います。
その場合は、チューナーを使って各弦を丁寧に合わせてみてください。
はじめは、開放弦のチューニングより時間がかかるかもしれませんが、フラジオレットを使ったチューニングを覚えるために、時間のあるときに練習です。
迷ったらちょっと音程を下げてから合わせていく
フラジオレットを使ったチューニングを覚えるにあたり、音程の高低差を耳で聞いて合わせるのが難しいと思ったら、まずちょっと音程を下げて合わせていくと合わせやすくなります。
- D線の開放弦を合わせD線→A線のフラジオレットを合わせる
このときに、A線の音程を低いと感じるまで下げてから少しづつD線の音程に寄せていくと合わせやすいです。
あなたのペースで練習し、耳を育てていってください。
軽く触れるという解説、指を軽く引っ掛けるというコツ
フラジオレットを弾くとき、教則本などには指を軽く弦に触れると書かれています。
僕も今回のレッスンノートでは指を軽く弦に触れるという言葉を使ってきました。
もう一つの考え方として、指を弦に軽く引っ掛けるという方法があります。
僕はいつもこの方法で音を出しており、指を軽く弦に引っ掛けることによりキレイなフラジオレットをしっかりと出すことができます。
オーケストラのチューニングの様子を見てみよう!
吹奏楽ではBを基準としてチューニングすることが多いですが、オーケストラではAを基準にチューニングをします。
- オーボエの素敵なAの音がコンサートホールに鳴り
- コンサートマスターがそのAを基準に自分の楽器のAを合わせます
- そして、合わせたAを弾き各セクションがその音を基準にAの音を合わせ各弦を合わせます
- そのときにコントラバスはフラジオレットのチューニング方法で合わせていきます
これまでオーケストラのコンサートに行ったことないという人は、ぜひ注目してみてください!
これからオーケストラで演奏してみたい!という人も、ぜひ覚えておこう!
おわりに
『明日のためのレッスンノート』今週は、フラジオレットを使ったチューニングの方法のお話をしてきました。
この方法は冒頭でも書いたように、先輩になるまでにぜひ知ってもらいたいテクニックです。
弦楽器は演奏していると弦が緩んで音程が下がってくることもあるので、合奏中に「音程がおかしいな?」と思ったとき、ちょこっと音程を確認するときにも使えます。
そして、前回のレッスンノートで書いたように、このチューニング方法を身につけるには第3ポジションで左手の形がしっかりと作れることが絶対条件です。
第3ポジションまで一緒に練習してきてくれたあなたは、ここで新しいチューニング方法を覚え、またポジションを一つずつマスターしていってください。
次回!『明日のためのレッスンノート』は「第3と第4の中間ポジション」の解説へと進んでいきます。
このポジションは2017年度の課題曲2番「マーチ・シャイニング・ロード」の最高音で出てきた音が登場します。
また、来週も一緒に頑張っていきましょう!
それではまた!今週も、ありがとうございました。