明日のためのレッスンノート(vol.28)
吹奏楽におけるコントラバスへの理解と発展を願って毎週更新している「明日のためのレッスンノート」今週は、コントラバスのエンドピンにまつわるお話しを用意しました。
コントラバスには楽器の底部に床に立てて楽器を支えるための「エンドピン」という棒状のパーツがついており、楽器の高さも「エンドピン」で調節します。
近年、この「エンドピン」にまつわる質問を受けることが多くなりましたが、お話しを聞いていると、質問は大きく分けて3つに分かれることがわかりました。
中には、誤った指示を受け危険な状態で楽器を弾いている光景を見かけたこともあるので、この情報はコントラバスパートにアドバイスをしてくださる他パートの先生、顧問の先生とも共有していきたい内容です。
コントラバスの「エンドピン」にまつわる3つの質問
吹奏楽部のレッスンでコントラバスの「エンドピン」にまつわる話を聞くと、多くは下記の3つの内容になります。
- ホールではエンドピンのゴムキャップを外したほうが良いですか?
- エンドピンのゴムに穴があいてしまいました。
- 楽器が滑ってしまうんですけど、何か良い方法はありますか?
質問や相談は、大きく分けてこの3つに分かれますが「エンドピンも楽器によって複数のタイプがある」ため、それによって対策が変わってきます。
今回は、一般的に学校備品として部活動で良く見かけるタイプのエンドピンにスポットを当てて、部活動の現場でよくある質問・起きる問題の解決策を紹介します。
エンドピンのゴムは外したほうが良いですか?
この質問、コンクールや定期演奏会の前によく受けます。
まず「エンドピンには大きく分けて2種類のタイプがある」ということを知っておくことが大切です。
- ゴムキャップを外して床に直接刺して演奏するタイプ
テレビで見るオーケストラや吹奏楽団で使われている楽器は、ほとんどがこのタイプ。
エンドピンの先端は尖っており、床に刺して演奏することが可能です。
エンドピンを床に直接刺すことで音の振動を床に伝えて響きを増幅させるという効果があります。
「ネジ式のゴムキャップ」がついており、普段は安全のためゴムキャップを付けています。
- 滑り止めとして付いているゴムキャップを付けたまま演奏するタイプ
吹奏楽部をはじめとした音楽系部活動の楽器はこのタイプが多いです。
メーカーによってサイズの違いはありますが、エンドピンの先端は丸まっており、楽器を立てて演奏する際に滑らないようにゴムキャップがついています。
吹奏楽部のレッスンへ行くと「本番はエンドピンのゴムを外して演奏したほうが良い」と言われました、いった相談。
または「ゴムは外したほうが良いんですか?」と質問を耳にします。
コントラバス奏者としての答えは、こうなります。
床に刺して演奏できるタイプであればOKですが、そうでなければ演奏中に楽器が滑ってしまい危険なため、ゴムキャップは付けたまま演奏する。
「エンドピンには大きく分けて2種類のタイプがある」ことを知らずに、演奏中はエンドピンのゴムを外したほうが良い!とだけ指示をしてしまうと、楽器が滑って倒れてしまう危険性があるので、知っておきたい知識です。
エンドピンのゴムに穴が空いてしまいました
滑り止めとして付いているエンドピンのゴムは消耗品なので、使っていればすり減って穴が空いてしまいます。
穴が空いてしまったのは壊れたからではないので、顧問の先生に相談をして新しいゴムキャップを注文してください。
知っておこう!ゴムキャップのサイズには種類があるぞ
エンドピンのゴムは、楽器のメーカーや製造年によって様々な種類があるので、学校を通して楽器店へ注文する前に
- 楽器のメーカー
楽器の表板(正面)のf 字孔を覗くと楽器のメーカーがわかります。
※オリエンテという日本のメーカーですね!
- エンドピンの先端のサイズ
※ゴムが付いたままでわかりにくいですが、ゴムを外した際のサイズを測ってみよう
楽器店に注文して届いたゴムのサイズが合わなかったとなると、そこからまた注文をして、と結構な日にちが経ってしまいますので
- 楽器のメーカー
- エンドピン先端のサイズ
この2つをメモしておくと良いと考えます。
楽器が滑ってしまうんですけど何か良い方法はありますか?
最後はこちら。
楽器が滑ってしまうということは、エンドピンのゴムに穴がいているか、ゴムが付いていない状態でしょう。
そのまま演奏していると、いきなり滑ってしまうので非常に危険です。
近くに弦楽器を扱っている楽器店があれば良いですが、これまでの経験上コントラバスのエンドピンのゴムを常備している楽器店はあまり見かけません。
ゴム自体は¥100〜300ほどの値段で売られており、最近はAmazonをはじめとしたネットショップで注文もできます。
でも、どうしても見つからないという場合は、応急処置としてホームセンターで売っている椅子用滑り止めゴムキャップで代用できます。
エンドピン先端のサイズを測っておけば、ちょうどよいサイズで代用できます。
もし、学校にある楽器のサイズと近いものがあれば、もしもの時に役に立つことがあるかもしれません。
しかし、素材は少し硬めなため使用しているうちに擦れてきて滑りやすくなるため、あくまで代用品として使うくらいが丁度良いです。
過去の「ヒヤッと」体験談
過去に、エンドピンの滑り止めとして付いているタイプのゴムを外して、楽器が滑らないように構えて演奏している子を見たときに、これはマズイぞと感じました。
なぜ、エンドピンのゴムを外しているかと尋ねたら「先生から響きが増すから外したほうが良い」と言われたからとのこと。
先生は、とても良いアドバイスをしてくださってしましたが、いま生徒が弾いている楽器でそれをしてしまうと、楽器が突然滑ってしまう危険性があります。
こうした体験をしてから「もしかしてエンドピンに関することって案外知られてないかも」と思い、コントラバスのエンドピンにまつわる話を発信しようと思うようになりました。
おわりに
明日のためのレッスンノート、今週は「コントラバスのエンドピンにまつわるお話」をテーマに進めてきました。
コントラバスエンドピンのゴムを外して演奏をすれば、音の振動を床に伝えて響きを増幅させることができるけど、それは「床に直接させるタイプのエンドピン」だけの話。
学校の楽器のエンドピンに付いているのが、滑り止めのゴムキャップであれば、外さずそのまま演奏するということを知識として覚えていってください。
そして、誰かに「エンドピンはゴムを外さないの?」と聞かれたら、なぜそうなのをかを答えられるようにしておけば良いでしょう。
新年度になり新入部員がやってくる前に、演奏技術の向上はもちろんですがコントラバスを弾く上での知識を身につけていってください。
それでは、また!
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