先日、アパッショナート弦楽合奏団の演奏会を指揮する機会に恵まれました。
この企画は2017年に開催された演奏会に続き、第二回の企画。
今回は「挑戦」という言葉がぴったり当てはまるそんな演奏会でした。
夏から5回の練習を経て迎えた演奏会を少し振り返ってみようと思います。
いや、マジで楽しかった。
アパッショナート弦楽合奏団終演!団員さんのディッタースドルフ超良かったしみんなで練習重ねて挑んだ「フィレンツェの思い出」もやりきった。一つのチームとして数ヶ月駆け抜けてきたメンバーとのお別れは寂しいけど「またやりたい!」と「楽しかった!」の声が何より嬉しかった!次は神奈川で✌️ pic.twitter.com/mJpOxNqKjG
— 井口 信之輔 / コントラバス (@igu_shin) September 8, 2019
弦楽アンサンブルとのご縁
アパッショナート弦楽合奏団の企画は2年前に同名のオーケストラ(アパッショナート管弦楽団)の弦楽器セクションと演奏会を開催したのがはじまりでした。
当時も少ない練習で挑戦的なプログラムを組んでおり、当日は朝からカラオケボックスに集まりパート練習をした記憶があります。
こうしてみんなで何かに向かうって楽しいですよね。
そんな演奏会を経てまたお声がけいただいたのが今年。
- モーツァルト/アダージョとフーガ
- ディッタースドルフ/コントラバス協奏曲第2番ニ長調
- チャイコフスキー/フィレンツェの思い出
と、届いたプログラムがまた挑戦的で楽しみになったと同時に、僕に務まるのかという思いがありました。
ただ、これも「挑戦」だなと思いお引き受けさせていただき夏から練習がスタートしました。
ディッタースドルフを指揮する側に
今回のプログラムで一つ注目したのが、ディッタースドルフのコントラバス協奏曲。
この曲はコントラバス奏者を目指すものなら全ての人が通る道であり学ぶ曲。
オーケストラの入団試験でも必ず演奏するといった曲でした。
僕も学生の頃、そして卒業してから幾度とこの曲を弾いてきましたが、まさか指揮をする側になるとは思ってもいませんでした。
手元にあるピアノ伴奏版と弦楽合奏版の楽譜をを照らし合わせながら、今回の編成に合わせて音を付け足したりarcoやpizzの指示を変更したり、いつもと違う視点でこの曲と向き合えたことはとても良い経験でした。
効率よく練習をするために
メンバーは何度か集まって練習を重ねていましたが、僕と合わせるのは5回だけ。限られた時間でこれだけの難曲をどう作っていくか、ここで求められるのは練習の効率化。
今年の夏に吹奏楽部に向けて送っていたフィードバックをここでも実践。
録音を聴き直し練習ポイントを具体的に細かくまとめメールで送るという試みをしてみました。
でも、ちょっと待った。
実験思考
練習ポイントをまとめてメールで送れば合わせるべき場所を共有できる。
でも、ちょっと待って。
俺だったら指揮者から「次回までに◯◯を練習しておいてください」ってメールが届くよりも練習したくなるメールが届いた方が面白い。
みんな、それぞれの仕事があり、家庭があり、めちゃくちゃ忙しい中で音楽活動をされている。
そしたら、指揮者がフィードバックとコラムを掛け合わせた読み物としてのメールを送ってみたらどうか。
楽譜を見てフィードバックをみながら練習をするより、日常のどこかで「へぇ、そうなんだ〜」と眺められるような読み物を作ってみる。
そうとなれば早速実験開始。
合奏中にした話に練習ポイントを掛け合わせたメールを作って送る。
実際にやってみて感想を聞いたら、とても良かったという声をたくさんいただたので、この実験は良かったのかもしれない。
そうとなれば、今後さらにアップデートさせていきます。
それぞれの「挑戦」
メンバーの方々がどう思っているかはわからないけど、この2ヶ月半のストーリーを振り返って出てくるのは「挑戦」という二文字だった。
モーツァルトの複雑に絡むフーガの形が少しずつ見えていく過程、ディッタースドルフの協奏曲の全楽章に挑んだ姿、フィレンツェの思い出はRPGの世界で勇者率いるパーティーが全総力を挙げてラスボスに挑むような空気が見えた。
録音を聞きなおすと反省点が山ほど見えてくるけどこれは次回の課題。
終演後、ほとんどのメンバーが打ち上げに参加して「お疲れ様した!」と乾杯するとともに「またやりたい!」という声が上がったのが何より嬉しかった。
おわりに
誰かと楽器を弾くだけでなく、誰かが旗を立ててそこに賛同した仲間が集まっていろんなことをやって本番を迎える日までの物語を走り抜るのが演奏会の楽しみ。
僕もこの2ヶ月半の物語の中で感じたこと、得たこと、学んだことをまたどこかで活かせていけるように頑張っていきたいと思います。
アパッショナート弦楽合奏団の皆さん、お疲れ様でした!
これからも良い音楽を。