明日のためのレッスンノート(vol.9)
こんにちは、コントラバス奏者の井口信之輔です。
吹奏楽におけるコントラバスへの理解と発展を願って更新している『明日のためのレッスンノート』
今週は『コントラバスの音階練習、指使いって意識してる?』をテーマに、パート練習から基礎合奏にも役に立つ、全調スケールを覚えていきましょう。
これまで、吹奏楽部の初心者講習会で必ず伝える左手の基礎を学び
左手の基礎を覚えた上で、弦を押さえる力をつけるトレーニングを紹介してきました。
多くの学校をレッスンしてきて感じた経験談ですが、初心者・経験者問わず
- 左手で弦をギュッと握って、あるいは人差し指だけで押さえている人
- 左手の基礎を身につけ、指番号を理解して弦を押さえている人
この2パターンに分かれているという話もしてきました。
これまでにも書いてきましたが、左手の基礎を身につけられるかどうかで、コントラバスの演奏技術に大きな差がつきますので、ここはしっかりと押さえておきたいポイントです。
目次
コントラバスの弦を、ギュッと握ってしまっている人へ
きっと押さえ方がわからない、あるいは、初心者で弦を押さえるのが大変で、音程の目印が付いている場所を押さえやすい指で押さえていた人が多いと思います。
癖が付いてしまっていても「左手の形を作るぞ!」と習慣付けていけば改善されるでしょう。
ぜひ、これまで伝えてきた左手の基礎・指番号を覚えて日々の活動に生かしてください。
左手の基礎を身につけ、指番号を理解している人へ
左手の基礎、指番号はわかってるよ!というあなたは、指番号付き全調スケールを、パートの基礎練習や基礎合奏に生かしてみてください。
そして、ときには「これはこっちの方が良いんじゃないか?」と指番号を疑うことも大切です。
それぞれのレベル、目標に合わせて全調スケールにチャレンジしていきましょう。
自分のペースで構いませんが、継続は力なりという言葉があるように、続けることが大切です。
それでは、今日よりもちょっと良い明日に向けて、レッスンノートを開いていきましょう!
コントラバスにおけるスケール練習(音階)の重要性
音楽を知らない人でも、つい楽器を持つと「ドレミファソ〜♪」と音を出してしまうような身近な存在で、どんな楽器でも、はじめたら必ず通る道でもある音階練習。
なぜ、音階練習が重要とされているかというと
音楽のほとんどが、音階と分散和音の組み合わせでできているからです。
コントラバスも基礎合奏のスケール練習ではだめなのか
スケール練習は基礎合奏のテキストを使っています、という声を聞きますが基礎合奏のテキストにはフィンガリング(指使い)が書かれていません。
指番号も覚えて、効率の良いフィンガリングを自分で決められるレベルになれば問題ないですが、もし、そうでなければ「このスケールはこういう指で押さえればいいんだな」と各スケールのフィンガリングを覚えておくと良いでしょう。
左手の形が基礎合奏になったとたんに崩れてしまわないように、スケールやハーモニー練習でも左手の形とフィンガリングを考える習慣をつけていこう!
「今まで教わった指使いと違う」と思ったあなたへ
教則本によって書かれてる指使いに違いがあるように、その人の手の大きさの違いで押さえやすい指は違います。
この教則本に書かれている指使いを100%正解とせず、ときに疑いながら、自分の押さえやすいフィンガリングにアレンジして使うこともおすすめです。
以上のことを頭に入れて、全調スケールに挑戦していきましょう!
全調スケールに挑戦!
コントラバスはギターのようなフレットがないので「自分の耳と指の感覚」で音程を作っていきます。指板のところにシールや鉛筆で書いてある印(しるし)はあくまで目安。
この印(しるし)に頼りすぎてしまうと、指の感覚でしか音程を取ることができなくなってしまうので、必ず「自分の耳と指の感覚」のセットで音程を作っていく習慣をつけていきましょう。
いま弾いた音に疑問を持ったら、まずは自分の頭の中で「この音程は高いのか、低いのか」を考えて、チューナーを使って音程を確認していくと良いでしょう。
全調スケール(音階練習)この楽譜の使い方
楽譜はC-dur(ハ長調)からはじまって
- 長調
- 短調(旋律的短音階、和声的短音階)
のセットで書かれています。
基礎合奏で取り組んでいる調、演奏している曲の調など、どの調からはじめても良いでしょう。
初心者のあなたはB-durからはじめても大丈夫です。
全調スケールに挑戦するあなたに送る「目標」
全調スケールをマスターするぞ!と練習に励むあなたには、こんな目標を送ります。
- 3月31日までに全調スケールをマスターしよう!
学年が一つ上がる前に、全調スケールをマスターして、新入部員の後輩と一緒に練習しながら、一つ一つ教えてあげてください。
きっと、良き伝統になると思います。
コントラバスのポジションは「知識と身体」で覚えよう!
コントラバスのポジションを覚えるコツは「知識と身体」で覚えること。
- 知識で覚えること
コントラバスの運指表と12のポジション
開放弦は低い弦から4度ずつ上がる(ミ→ラ→レ→ソ)
弦を押さえると他の音が出て、たとえばA線の一番上のあたりを押さえるとシ♭(B)の音が出る
シ♭(B)の次はシ(H)の音が出て、その次はド(C)の音が出る、ということは半音ずつ音が上がっていく
A線でド♯(Cis)まで押さえたらレを押さえなくても隣のD線に行けば同じ音が出る、など
- 身体で覚えること
自分が弾いている楽器の音程の幅(例:指の間は広いのか狭いのか)
ポジションの「縦と横の関係」
いま鳴っている音に対する「音の並び、音の前後関係」など
ここまでで「どーいうこと?」と思ったことは、次回以降で解説していきます。
知識と身体で覚えることは逆転することもできますが、ここでは僕の考えを提示します。
上記のことを、全調スケールの楽譜を使って覚えていきましょう。
さいごに
『明日のためのレッスンノート』今週は、コントラバスの音階練習、指使いって意識してる?をテーマに、パート練習から基礎合奏にも役に立つ、全調スケールをお伝えしてきました。
今の時期から学年が上がるまでの目標として、ぜひ全調スケールに挑戦してみてください。
そして、スケールを攻略していくと、どこかで音程がうまく取れない調に出会うと思います。
たとえば、初心者のあなたはB-dur(変ロ長調)を弾いてC-dur(ハ長調)を弾いてみてください。
音程はうまく取れましたか?
うまく取れたら次に進んで、うまく取れなかったらポジション移動のコツを覚えると良し。
『明日のためのレッスンノート』次回は「コントラバスを演奏するために知っておきたい、ポジション移動のコツ」そして「コントラバスの運指表に沿った12のポジションの解説へ」と入っていきます。
少しずつ、専門的な内容へと入っていきますが、もし何かわからないことがあればTwitterのDMなどで気軽に相談してくださいね。
それでは、また来週!