勝手にプログラムノート

空の王者だけが知る世界。S.ライニキー/鷲が舞うところ Where Eagles Soar

アメリカ合衆国の作曲家スティーヴン・ライニキー(1970〜)の作品で、メイン州にあるアカディア病院から創立10周年を記念して委嘱され誕生した作品。

メイン州はアメリカ合衆国本土およびニューイングランド北東部に位置し、同州の美しさ、壮大さを描写したというメッセージが残されている。

この曲との出会いはよこはま月曜吹奏楽団第三回演奏会で、演奏会のオープニングとして取り上げたことがきっかけだった。

空の王者だけが知る世界

吹奏楽作品を集めた人気シリーズ「ニュー・ウインド・レパートリー」2004年のCDに収録されている作品で、短い序奏を含む「急・緩・急」の三部形式で書かれた曲。

タイトルにもある「鷲」はアメリカ建国直後からの象徴とされていて、その見た目や力強さから「自由」や「勇気」を感じたというエピソードも残されてる、まさに空の王者だ。

威風堂々とした序奏を経て解き放たれる(B♭sus4→B♭→E♭)変ホ長調の5度の響きは空の王者が果てしなき世界へと飛び立つ姿を思わせ、ユーフォニアム・ホルン・テナーサックスが奏でるメロディに一気に心を奪われた。

遠く離れたアメリカの空には天空を舞う空の王者だけが知っていて、僕たちには知らない世界が広がっているのだろう。

そんなことを思わせる、S.ライニキー/鷲が舞うところ Where Eagles Soar

再びこの曲を演奏する機会を楽しみにしていると同時に、吹奏楽指導者としてのレパートリーとして持っておきたい一曲になった。

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イグチシンノスケ

千葉県出身。 船橋市立葛飾中学校管弦楽部にてコントラバスと出会う。 千葉県立市川西高等学校吹奏楽部を経て洗足学園音楽大学へ入学。 2022年春学期東京音楽大学指揮研修講座修了。 在学中より「吹奏楽部におけるコントラバスの現状」に着目し、多くの講習会に講師として参加。大学卒業後はフリーランスのコントラバス奏者としてオーケストラ、吹奏楽、室内楽をはじめ楽器製作ワークショップやレコーディングなど多方面での演奏活動をする傍ら、吹奏楽指導者・アマチュアオーケストラのトレーナーとしても活動しており、中でも吹奏楽におけるコントラバスの指導に力を入れている。 これまでにコントラバスを寺田和正、菅野明彦、黒木岩寿各氏に師事。指揮法を川本統脩、三河正典各氏に師事。よこはま月曜吹奏楽団指揮者。初心者と子どものためのオーケストラpìccolo音楽監督。板橋区演奏家協会理事。取手聖徳女子高等学校音楽科非常勤講師。

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