課題曲を徹底分析!

2021年度全日本吹奏楽コンクール課題曲「コントラバスパート」を徹底分析!「龍潭譚」編

吹奏楽におけるコントラバスへの理解と発展を願って毎週更新、明日のためのレッスンノート。

先週から、2021年度全日本吹奏楽コンクール課題曲コントラバスパートの徹底分析をはじめ今回は課題曲2「龍潭譚」のコントラバスパートを解説していきます。

これまでのように、パートは自分一人だけ、周りにコントラバスを教えてくれる人がいないという人に向けて課題曲の練習ポイントを書いていくので、練習の参考にしていただけたら嬉しいです。

何かわからないことがあれば、気軽に質問してくださいね。

課題曲Ⅱ「龍潭譚」

この曲を取り組む前に知っておきたいこと

  • コントラバスの最高音はG線のE(第4ポジション)
  • 第1ポジション(ファーストポジション)のDesの位置を覚える
  • 楽器の特徴を知って音程を合わせる

まずはここを押さえて、一緒に研究してみよう。

冒頭〜25まで

しばらくお休みで、コントラバスが入ってくるのは9小節目から。

ここで質問、このミ♭(Es)の音はどこでとる?

考えられるのは

  • D線のハーフポジションにあるミ♭(Es)押さえて指番号は1
  • A線で第2と第3の中間ポジションにあるミ♭(Es)を押さえて指番号は4

このどちらかのパターンに分かれると思いますが、これはどちらでもOK。

D線で取ると、次にポジション移動が必要で11〜12小節目はそのまま弾ける。

そしてA線で押さえると12小節目でポジション移動が必要になってきます。

ファゴット、トロンボーンやユーフォニアム、チューバと同じタイミングで音を出す場面でボウイングは(アップ)がおすすめ。

ここは少し弓を多めに使って響きのある音が出せたらいいと思う場所。

2小節間でかかっているスラー(10-11/12-13)は弓が足りなかったら途中で返せば良し、拍の頭で返すよりも裏で返した方が弓を返したことがわかりにくいときもあるので研究してみよう。

pizz(p)の音づくり

14小節目のpizzは一緒に音を出す仲間の息の速さを感じ取れるといいかもしれない。

自分で息をフッと吐いてみて、その息のスピードでpizzを弾いてみたらどうなる?

それから音の方向性なんかも考えられたらもっと良くなる。

ダーツを投げるようなイメージで音を飛ばしてみよう。

15小節目のpizzは少し鳴らしにくくて音程の取りにくいラ♭(As)、ここはポジションを理解していると同じ手の形で押さえられるから工夫してみる。

そして次の16小節目は音程に注意してハッキリと音を提示しよう。

知っておきたいボウイングの工夫

たまに僕のもとに「弾き始めはダウンじゃないとダメですか?」という質問が届くけれど、弾き始めはアップだって全然OK。

例えば18小節目は(アップ)からスタートした方が弾きやすい(試しにダウンで弾き始めてみて弾き比べてみるとわかるはず)

20小節目が少し難しくて、ここはfだけど弓を使いすぎないように注意。

1拍目は弓を少なく、二分音符で弓先まで使ってOK、21小節目はクレッシェンドが書かれているから弓先から元に向かってクレッシェンドを仕掛けよう。

楽譜通りに弾くことも大切だけど、楽器の都合上そうはいかないこともあるので、スラーの途中で弓を返してもOKってことは吹奏楽を弾く上で知っておくと良し。

第1ポジション(ファーストポジション)を覚える

23小節目はppでレ♭(Des)の音が書かれてて、一緒に音をだしている楽器も少ない。

こういう場面で大切なのは良い音程で指板の上を響きのある音で弾くこと。

そして、24小節目に入ったら弓先からクレッシェンドのはじまりだ。

25〜70まで

25小節目からのファ(F)の音は押さえるのが大変だけど頑張ってみよう。

(ダウン)で入って27小節目あたりで(アップ)、29小節目からの音形は(ダウン)スタートで弾いてみるとどう?

さて、次が問題。

同じこと考えてる人、多いんじゃないかな。

ボウイングに正解はない

人はどうしても「正解」や「正しい答え」を求めてしまうけど、正解ってひとつじゃなかったりするよね。

コントラバスも同じで正しいボウイングっていうのはないと思って良いと思ってる。

トイズ・パレードを全部(アップ)で弾いてくださいとか別だけどね。笑

29小節目からの弾き方が難しいと思うんだ、これどうする?

ダウンからはじめて弓順で弾く

これはOK。初心者やボウイングの(ダウンダウン)や(アップアップ)と言われて疑問が浮かぶ人はまず弓順で弾いてみるといいかもしれないね。

ダウン→ダウン、アップ・ダウン・アップ

1拍目のファーファを(ダウン→ダウン)次のファファファを(アップから弓順)この方法で弾けば全ての小節が同じボウイングになる。でも、ちょっと弾きにくいかな?

ダウン→アップ、ダウン・アップ・アップ

次は弓順で弾いて最後を(アップ・アップ)とする方法。少しだけボウイングのテクニックが必要だけど、この方法が弾きやすいかもしれない。

でも、実際に合奏で弾いてみないとわからないところが多くて、結局どの弾き方が自分にとってベストなのかはやってみないとわからないから、いろいろトライしてみよう。

音づくりのコツ

29小節目の音形、四分音符にはスタッカートが書かれてないよね。

でもこの音符を長ーく弾いてしまうと少し重くなるかもしれない。

じゃあどうする?って考えてみると

  • ティンパニの音のイメージ
  • pizzで弾いたときの響きを弓で表現するにはどう弾く?
  • 弓の使いを息の使いで考えると、弓(息)のスピードはどうなるだろう

この辺りをベースに考えて、音形をセクションで合わせてみるといいかもしれないね。

どんなボウイングでも絶対にバッチリ決めたい場所がある

これだけ盛って書いて、どこだと思う?

場所は48小節目。

どんなボウイングで弾いても、ここの十六分音符はバッチリ決めたいよね。

ここは(ダウン)で弾いてみるといいかもしれない。

60小節目からpoco rall. この先3小節もボウイングの工夫があっても良し。

とにかく、いろいろトライしてみよう。

どんなに小さいことでも書き込む習慣をつけ、とりあえず弾いてみる。

トライ&エラーが成長のもと。

pizzは少し大きめに弾いてみる

65小節目のpizzはpって書いてあるけど少し大きめに弾いて良いと僕は考える。

そして、ここにこの曲の最高音のミ(E)が出てくる。

高い音って難しいように思う人が多いけど実はそうでもない。

指の間隔は狭くなるし、弦も押さえやすくなる。

実はハーフポジションが一番難しいって知ってた?

pizzとarcoの持ち替えは間に合いそうだね、焦らず持ち替えて弾いていこう。

70〜86まで

またお休みが続いて、次の出番は76小節目。

ここは(ダウン)から弓順になるけど、急ぎやすい音形だから気をつけよう。

どうしても転んでしまう人は(アップ)スタートで練習してみてね。

78小節目は前の小節の3拍裏からの動きをキャッチして弾くのを忘れずに。

スタッカートの弾き方

82小節目のような音形が出てきたときに飛ばして弾くと言われたけど飛ばし方がわからないという声が結構多かったりする。

いわゆる弓の毛を弦の上でバウンドさせるスピッカートという奏法だけど、これらは言葉だけで説明するのは難しい。

講習会で「そこはスピッカート!」と言われてハテナが浮かんだ人もいるだろう。

この辺りは文章だけで説明して混乱させてしまうと良くないので割愛させてください。

ここで言えるのはスタッカートは音と音の間を開けると考えて一つ一つの音を弾ければ良いというところで弓の毛は飛ばさなくっても良いと僕は考える。

ここで押さえておきたいのは

  • accel.がどこからスタートするか予測すること
  • 85小節目の1拍裏からのアクセントをバッチリ決めること

85小節目は1拍目裏に(アップ)と書いておくとわかりやすいかもしれないね。

86〜98まで

86小節目は(ダウン)で弾いて途中で(アップ)に返すでOK。

だけど次がめちゃくちゃ大切で、87小節目の4拍裏をどうするかってところ。

ここ、みんなどうする?

(ダウン)で弾くには88小節目が弓足りなくなる。

繋げて弾いてもおかしいよね。

弓を残しておく工夫

87小節目の4拍裏はfで弾く分の弓を残しておくのがベスト。

つまり87小節目を(アップ)から弾きはじめて、付点二分音符は弓の真ん中よりも少し元までしか使わない。

そして、少しまだ空いてしまっても良いと思うから弓の残りの部分で4拍目裏を(アップ)からガッツリ弾く。

これで、ここは上手くいくはず。部活が始まったらトライしてみよう!

94小節目はpizz。休符の間を使って音程をチェック。

ティンパニとコントラバスが一緒に入る場面ってことも知っておこう。

98〜ラスト

吹奏楽部の合奏でチューナーを使うこと自体、悪いことだと僕は思わない。

音程を聴き分ける力がまだなければどんどん頼れば良いし、効率よく使えばいい。

でも、耳で聴き分けないといけない部分もあって98小節目なんてまさにそれ。

ここは音程がなかなか合わない部分になると思うんだけど、なぜだと思う?

きっと、チューナーの真ん中に音を合わせても音程は揃わない。

ここで一つ楽器の特徴を知っておこう。

楽器の特徴を知る

吹奏楽には大きく分けて管楽器と僕ら弦楽器という楽器があるよね。

これらの楽器の特徴を書いてみるとこうなる

  • 弦楽器は温度が上昇すると音程が下がってくる
  • 管楽器は温度が上昇すると音程が上がってくる

合奏前に全体チューニングで音を合わせても演奏中にこうした音程のズレが生まれてくる。

ここを押さえておかないと、いくら合奏中に自分がチューナーで合わせても音程は揃わない。

話を戻して98小節目のファ(F)の音は少し高めに聴こえてくる可能性が高い。

僕はこういう場面になると、少し高めにファを弾いて管楽器に寄せていくようにしている。

音を出して、濁りを感じたら自分を疑って微調整。

あまりに高すぎたら、コントラバスは弓の毛2〜3本でかすれる程度の音量でも良いかもしれない。

103小節目のレ♭(Des)は響きのある音で弾いてみて、この曲は静かに終わる。

こうして考えてみると、音楽的に難しい部分が多いのが課題曲2番。

この課題曲を徹底分析シリーズが練習の役に立ったら嬉しいです。

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それでは、また!


YouTubeでレッスンノート課題曲徹底分析の記事を執筆している風景を配信しています。

これは前回の課題曲1番「トイズ・パレード」の作業風景。

今回は先に記事を配信し、あとで記事を読みながら解説する動画をライブ配信する予定です!

お楽しみに。

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イグチシンノスケ

1987年、千葉県生まれ。 船橋市立葛飾中学校管弦楽部にてコントラバスと出会う。 千葉県立市川西高等学校を経て洗足学園音楽大学へ入学。 在学中より「吹奏楽部におけるコントラバスの現状」に着目し多くの講習会に講師として参加。大学卒業後はフリーランスのコントラバス奏者としてオーケストラ、吹奏楽、室内楽をはじめ楽器製作ワークショップやレコーディングなど多方面での演奏活動をする傍ら、吹奏楽指導者・アマチュアオーケストラのトレーナーとしても活動しており、中でも吹奏楽におけるコントラバスの指導に力を入れている。 これまでにコントラバスを寺田和正、菅野明彦、黒木岩寿各氏に師事、指揮法を川本統脩氏に師事。現在、昭和音楽大学合奏研究員、ブラス・エクシード・トウキョウ メンバー。また、日本アロマ環境協会 アロマテラピーアドバイザーの資格を持つ。

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