コントラバス奏者、指揮者、吹奏楽指導者の井口信之輔です。
吹奏楽におけるコントラバスへの理解と発展を願ってというテーマを掲げ、全国の吹奏楽部をはじめとした音楽系部活動でコントラバスを弾く中高生に向けてレッスンブログを書いています。
このメッセージを届けたいのは、これまで多くの相談がSNSに届いた
- パートは自分一人だけ
- 周りにコントラバスを教えてくれる人がいない
という地域で音楽活動をしている中高生。
レッスンブログのタイトルは、今日よりもちょっと良い明日を迎えることが上達への近道だと思い『明日のためのレッスンノート』と名づけました。
ちょっと良い明日というのは、新しい知識を仕入れて迎える翌日のこと。
その知識を持って練習に励み、試行錯誤していく過程で人は成長していきます。
パートは自分一人だけ、周りにコントラバスを教えてくれる人がいなくても、インターネットを通じてプロセスを共有しながら一緒に練習してみませんか?
レッスンノートは小学校のクラブ活動、大学のサークルや社会人オーケストラ、吹奏楽団、マンドリンオーケストラなのでコントラバスを弾く方々にも繋がる内容です。
日々の練習に悩んでいたら、1日のどこかでブログに遊びにきてくださいね。
これは、僕が車を点検に出した時、整備士さんがチェックリストを見ながら該当する部分を点検していたのを見ていてひらめいたアイディアです。
春になって新しい仲間を迎える前に取り組んでおきたい準備をして、4月から胸を張って立派な先輩になってください。
新年度を迎える前に、やっておきたいいくつかのこと
3月もあと少しで終わりを迎え4月になったら新しい仲間がやってきます。
この時期、吹奏楽部のレッスンで僕がよく中高生に伝えることは
- 楽器の状態をチェックしておくこと
- 後輩指導のノウハウを伝えること
です。
今回のレッスンノートでは、春になって僕たちが新入部員を迎えるに及んで準備しておきたいことを書いていきます。
弦楽器はとても繊細な楽器であることを知る
音楽室や準備室にある楽器、もしかしたら新しく入ってきた後輩が使うかもしれません。
この記事を読んで、学校の使ってない楽器を思い浮かべてみてください。
今、どのような状態になっていますか?
木を使用している弦楽器は、梅雨の季節の湿気や寒い時期の乾燥など、湿度の影響を受けやすく湿度管理がとても大切な楽器です。
しかし、多くの学校の準備室などは十分な湿度管理ができる設備がないため、気づかない間に湿度の変化の影響を受け楽器が割れていたり、剥がれていたりすることも考えられます。
修理に当てられる予算が限られている学校でも、楽器の状態に問題が見つかれば最低限の修理・調整(弦・駒・エンドピン)だけでもできると、弾きやすさがかなり違ってきます。
まずは、明日の部活ですぐにできる!楽器の状態チェックポイント4選を書いていきます。
楽器の状態チェックポイントその①:楽器の割れや剥がれはない?
ここで紹介するところは、僕もはじめての学校にレッスンに行ったり、久しぶりにいく学校や務めている音楽教室で必ずチェックする部分です。
各チェツクポイントを紹介していくので、一緒に知識を広げていってください。
楽器に「割れ」や「剥がれ」はないか?
弦楽器は木で作られているため、湿度の影響を大きく受けてしまう楽器です。
冬の時期の乾燥で楽器の板が割れていないか、梅雨など湿気が気になる時期を経て楽器の側面が剥がれていないかを一度チェックしてみてください。
楽器の乾燥対策にはダンピット(dampit)というアイテムを使います。
チューブの中に水を含ませ、f字孔から差し込むことで楽器の内側から加湿することができます。
楽器の状態チェックポイントその②:楽器を支えるエンドピン
コントラバスを演奏するとき、楽器の高さはエンドピンというピンを伸ばして奏者の身長に合わせて調節します。
エンドピンでチェックしておきたい部分は以下の通り
- ネジが破損していないか
- ピンが曲がって抜き差しができない状態になっていないか
- ネジが固く、また曲がってしまい調整できない状態ではないか
です。
心当たりがある場合は場合は修理が必要になってくる可能性があります。
この写真は数年ぶりにコントラバスを希望する生徒が入部し楽器を出したところ、エンドピンのソケットの部分が腐食して折れてしまったものを新しいものに交換したものです。
エンドゴムはついているか?
次はエンドピンの先端についているゴムキャップについて見ていきます。
以前に「エンドピンのゴムは外した方が良いですか?」という質問を受けたことがありました。
コントラバスのエンドピンは大きく分けて2つのタイプがあり、ゴムを外して演奏できるのは先端が尖っていて床に直接刺して演奏できるタイプのみです。
先が丸くなっているエンドピンに滑り止めとして付いているゴムを外すと、演奏中に楽器が滑ってしまい大変危険なので覚えておいてください。
もし、エンドピンのゴムに穴が空いていたり、ゴムが付いていない場合は近くの楽器店に売っていることが多いので探してみてくださいね。
過去のTweetをたどると、共和ゴムのNo.5というサイズが多くの楽器にちょうど良いようです。
オリエンテの楽器にはオリエンテ用のゴムも売られているのでこちらもチェックしてみてください。
多くの学校にあるコントラバスのエンドピンに合うゴムキャップは共和ゴム(KYOWA)no.5というサイズ。ゴムは何年も使用していると穴が開いてしまうことがあります。エンドピンのゴムが近くに売ってないという人はネットでこのサイズを調べてみてください。他のメーカーからも出てるかも。 #コントラバス pic.twitter.com/t8CjjpvqR7
— 井口 信之輔 / コントラバス (@igu_shin) July 23, 2019
楽器の状態チェックポイントその③:弦の状態を知ろう!
コントラバスの弦は高価ですが消耗品です。
吹奏楽部でよく耳にする、弦は切れたら張り替えるというのは間違った知識なので忘れます。
コントラバスの弦は1〜2年で張り替えるのが理想と書かれていることが多いですが、部費の予算的にもこのサイクルで張り替えるのは難しい学校も多いと思います。
僕も3年くらい張っていることがありますが、音量が出なくなったりチューニングが狂いやすくなったり、弦が硬くなったりと少しずつ劣化してきます。
実際、新品の弦と古くなって硬くなった弦を見比べてみると、その差は驚くほど違います。
吹奏楽部で「どんな弦が良いですか?」と聞かれたときに僕が紹介するのは、ピラストロ社から出ているフレクソコアという弦。
オーケストラでもポピュラーな弦の一つで、柔らかい音色の中にもしっかりと芯のある音が特徴です。
弦を買うときはオーケストラチューニング!
コントラバスの弦は(G-D-A-E線 オーケストラチューニング)です。
H線は5弦コントラバスに張る弦、ソロ用・ソロチューニングと書かれた弦は高音域のソロを弾く専用の弦なので吹奏楽をはじめとしたアンサンブルの中では使用しません。
弦から「ささくれ」や「地金」が見えていないか
弦を押さえる部分がこのような状態になっていないかチェックしてみます。
指板に手を添えて、上から下へと弦を撫でるように触ってみてください。
何か手に引っかかる部分はありませんか?
実際に見てみないと具体的なアドバイスはできないですが、もしこのような状態であれば弦を交換した方が良いと判断します。
僕は最近、初めて行く学校には張り替え必須なヤバい弦サンプルを持って行くことがあります。
実際に手にとって見てみると、どのような状態かがわかりやすいです。
吹奏楽部、秋のレッスンが少しずつスタート。今日は久しぶりに行く学校なので「張り替え必須なヤバい弦のサンプル」を持って行きます。 pic.twitter.com/UpuvagPZkd
— 井口 信之輔 / コントラバス (@igu_shin) September 12, 2018
楽器の状態チェックポイントその④:駒の状態を見てみよう!
最後は駒の状態をチェックしていきます。
- 弦を押さえるのが大変
- 音程が定まらない
こうした悩みの原因が楽器にある場合、駒の状態に問題あることが多い傾向にあります。
これから紹介するポイントを明日の部活動でチェックして見てください。
弦高は高すぎないか
弦高(げんこう)とは、指板と弦の隙間のこと。
弦高は◯◯でなければならないという決まりはありませんが、弦高の高さは楽器の弾きやすさに大きく影響します。
弦高の高さっての目安
弦高の高さに決まりはありませんが、多くの教則本を参考にすると
- G線10mm
- D線12mm
- A線14mm
- E線15mm前後
となっています。
高さを測るときは、指板の切れ目に定規を当て各弦までの間を測ってみてください。
駒に反りがないか、また駒の足は隙間はまくまっすぐ立っているか
駒が上向きに反ってしまったり、駒の足がまっすぐ立っているかもチェックしたいポイントです。
弦の張力によって支えられ立っているだけなので、楽器をぶつけてしまったことでまっすぐ立っていた駒が左右に動いてしまうことも多くありました。
駒が松ヤニの粉で汚れてしまっているのもよくない例ですなので覚えておきます。
気をつけよう!駒の扱いには十分注意
先ほど書いたように、駒は固定されているのではなく弦の張力によって支えられています。
なので、駒が左右にズレていると思って弦を緩めて元に戻そうとすると、楽器の中にある魂柱が倒れてしまう危険性があります。
そうなると専門的な知識とリペアの技術が必要になってくるため、もし駒がズレていたりした場合は、無理に直そうとせず顧問の先生を通し楽器屋さんに見てもらうことをおすすめします。
僕も、レッスンに行った際に多少のズレを直すことはありますが、駒に問題があると感じたら、顧問の先生へ報告し修理または調整をお願いするようにしています。
以上が、新しい仲間を迎える前にチェックしておきた部分です。
ダウンロード自由な楽器の状態チェックリスト!
こちらは実際に僕が作ってレッスンや講習会で使っている楽器の状態チェックリストです。
無料で公開しているのでダウンロードして自由に使ってください。
楽器の状態チェックリスト2020
おわりに
明日のためのレッスンノート、今週は、春になって僕たちが新入部員を迎えるに及んでをテーマに明日の部活ですぐにできる!楽器の状態チェックポイント4選を書いてきました。
今回のレッスンノートで紹介した楽器の状態チェックリストは、車の整備士さんがチェックリストを使いながらプロの視点で車を点検し、僕に今の車の状態を説明してくれたことからヒントを得て作ったものです。
春になって僕たちが新入部員を迎えるにその前に、部室にある楽器の状態を全てチェックし修理の有無を判断し良い状態で新しい仲間を迎え入れてください。
良きコントラバスパートの伝統を作るには、良い下準備から。
もし、何かわからないことがあれば気軽にDMまたはLINE公式アカウントからメッセージを送ってくださいね。
それでは、次回のレッスンノートでお会いしましょう。
コントラバス奏者、指導者 井口信之輔からのお知らせ
神奈川県横浜市、藤沢市にある平山音楽院という音楽教室でコントラバスのレッスンをしています。
横浜市営地下鉄ブルーライン上永谷駅、小田急・相鉄・市営地下鉄各線の湘南台駅から徒歩5分くらいのところにある教室で
- 駅から近い
- レッスン用の楽器と弓のレンタルあり
- 月1回から受講可能
です。
パートは自分一人だけ、周りにコントラバスを教えてくれる人がいないという中高生から社会人の方まで幅広い層がレッスンに来ています。
体験レッスンもやっているので、ご興味ある方は平山音楽院を尋ねてみてください。
夏に鎌倉で吹奏楽やりたい人、大募集!
併せて、平山音楽院で毎年開催される一大イベント、平山音楽院オーケストラの定期演奏会で演奏する吹奏楽ステージの参加者を一般公募することになりました。
4ヶ月間の限定参加で、入団などの手続きはありません。
練習は全部で6回、毎回の練習には各パート平山音楽院の講師が演奏・指導に入り演奏のサポートもしていくので、久しぶりに楽器を演奏する人も安心して参加することができます。
期間限定の参加となるので演奏会が終わったら解散!
コロナ禍で演奏活動ができなかった方も、楽団に入団して続けられるかはわからないけど久しぶりに吹奏楽がやりたい!って方も、この機会にぜひ、一緒に演奏してみませんか?
詳しくは平山音楽院のホームページをご覧になってください。
僕のブログでも一般公募のお知らせをしています!
アマチュアオーケストラへの指導依頼、増えています
ここ2年でアマチュアオーケストラの弦楽器トレーナーとしての依頼が増えています。
弦分奏では、譜読みから日々の練習方法、アンサンブルの組み立て方まで丁寧にわかりやすくレクチャーしていきます。指揮者・音楽監督を務める初心者と子どものためのオーケストラpìccoloのYouTubeチャンネルでレッスン風景がアップされているのでご覧になってください。
レッスン、演奏会へのエキストラ出演などは
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