明日のためのレッスンノート

年間40校を超える吹奏楽部を指導する立場から見た『上達が早い人に共通する3つのこと』

このレッスンノートは、吹奏楽におけるコントラバスへの理解と発展を願ってというテーマを掲げ、2016年から発信してきた吹奏楽部でコントラバスを弾くために、知っておきたいことをまとめてきたレッスンブログです。

タイトルの明日のためのレッスンノートという名前は、全国の中高生からコントラバスの質問、相談が届いていた頃、ブログを通して今日よりもちょっとだけ知識の増えた明日を迎えて練習に出かけてもらえたらという思いで付けました。

このレッスンノートを読めば、吹奏楽やオーケストラなど音楽系部活動でコントラバスを弾く中学生、高校生、大学サークルやアマチュア楽団など趣味で演奏活動をされている大人の方まで、コントラバスを弾く上で知っておきたい知識が身に付きます。


こんにちは。コントラバス奏者、吹奏楽指導者、指揮者の井口信之輔です。

クラシック音楽を中心にコントラバス奏者として活動するほか、中学高校の吹奏楽部やオーケストラ部、大学サークルでコントラバスの講師を務めたり、アマチュア楽団の指揮・指導にあたっています。また、茨城県にある取手聖徳女子高校の音楽科でコントラバスの講師を務めています。

お知らせ

まず、ひとつお知らせです。

僕がコントラバスの講師を務める取手聖徳女子高校では、受験生応援サイトというページ音楽科の紹介動画をはじめ学校生活の様子を発信しているスクール☆PVや吹奏楽部の活動の様子などを発信しています。

 

また、今年度の音楽科レッスンシリーズの日程が決まりました。

レッスンシリーズは、音楽科で楽器の演奏指導をしている先生方のレッスンを無料で体験できるイベントです。高校音楽科や音大への進学をお考えの方、吹奏楽部などで演奏している楽器のレッスンを受けてみたい方、 音楽が好き!という方などが受講しています。

取手聖徳女子高校を受験で考えている、また一度音楽科の先生のレッスンを受けてみたいという方など、ぜひ一度ホームページをご覧になってください。

取手聖徳女子高校のホームページはコチラ


前回は、楽器が上手くなりたかったら自分は下手という思い込みから卒業しよう!というテーマで、下手(へた)という言葉について、コントラバスの先生、そしてメンタル心理カウンセラーの資格を活かして思うことを書いてきました。

楽器が上手くなりたかったら、まずは下手という思い込みの脱却からというのが前回のまとめ。

そして、今回は年間40校を超える吹奏楽部を指導する立場から見た「上達が早い人に共通する3つのこと」、というテーマで解説していきたいと思います。

センス、才能、努力量?上達が早い人って周りと何が違うのか、一度は気になったことありませんか?今回のレッスンノートは多くの中高生を指導してきて感じた上達のヒントを書いてみます。

 

最初はとにかく量をこなす

上達が早い人に共通する3つのこと、まずはじめは量をこなす人です。

いわゆる、よく練習する人ですね。

演奏の質を追求するために、量をこなすというのは必要不可決な通り道です。

これは昭和、平成、令和と時代の価値観が変わっても変わりません。

長時間練習をしろと言うわけでなく、まずは与えられた時間で量をこなすこと。

1時間でも2時間でも十分です。

なぜ、1時間でも2時間でも十分かと言うのは次に解説します。

また、量をこなす中で小さなできた!に気づくこと、そして上達したと感じる素直さも大切です。

コントラバスは弦も太く押さえるのも大変で、音程もなかなか定まらないので一番大変な時期ですが、小さな成功体験(できるようになってきた)を素直に受け止め喜びを感じることができたら、どんどん楽器の魅力にハマっていくと思います。

このハマるという感覚がとっても大切なのです。

タイパ&コスパの良い練習をする

次に挙げられるのが練習の効率化です。

最近の言葉を使うと、タイパそしてコスパの良い練習をすること。

量をこなすという考えとは正反対に思えますが、量をこなす中で無駄を感じることができてはじめて効率化を図ることができると考えています。

限られた時間でたくさんの曲を練習するためには練習の効率化がキーポイントとなると書きました。

では、どうやって練習の効率化をすれば良いでしょうか?

  • ボウイングを書く
  • 難しい場所はフィンガリングを書く
  • 迷ったら基礎に戻る

練習の効率化を図る鍵はこの3つです。

上達が早いなと感じる人は、ここをしっかりと押さえています。


楽譜が配られたらボウイングを書く

新しい楽譜が配られたら、弾きながらボウイングを考えていきましょう。

ボウイングを決める時に大切なのは「とりあえず◯◯」とざっくり決めておくこと。

最初から完璧なボウイングを考える必要はありません、特に吹奏楽作品は拍子の変化も多くボウイングが決めにくいので、練習していくうちにどんどんボウイングが変わっていくことがあります。

なので「とりあえず、今はこんな感じ」と楽譜にボウイングを記入してみてください。

また、ボウイングは濃い鉛筆でしっかりと書くこと。

たまに薄い字でヒョロヒョロと書いたような楽譜を見かけますが多くの場合、書いただけで情報としてキャッチできてないパターンが多い傾向にあります。

上達を妨げないために気をつけたいこと

  • ボウイングを決めておらず、なんとなく弾いてしまっていないか
  • 今、自分がダウン・アップどっちで弾いているか理解できているか
  • 楽譜に書かれている情報が薄くて見えないようなことはないか

ボウイングを間違えるのは誰にでもありますが、本人が気づかず何度も同じミスをしている人を見ると、とてももったいなく思ってしまいます。

ボウイングの決め方がわからない人は、ダウンからはじめて全て弓順で弾いてみてください。

僕の場合、レッスンではまず初心者は楽譜のすべての音(同じ音形除く)にボウイングを書き、慣れてきたら少しづつ書き込みを減らすように伝えています。

楽譜が配られたら指番号(フィンガリング)

次に、左手の運指、指使いを記入すること。

  • 速弾きをするところ
  • 音程が合わないところ
  • 音が跳躍するところ

などは、音符の上に「0.1.2.4(3)」とフィンガリングを記入しておくことをおすすめします。

上達を妨げないために気をつけたいこと

  • 指番号もボウイングと同じで濃い鉛筆でしっかり書かれているか
  • 不要になった情報を消しゴムで消しているか

レッスンでは、ボウイングと同じで同じ音を除くほとんどの音に指番号を振ります。

そして、次第にその指番号の書き込みが不要と感じてくるので少しずつ消していきます。

指番号、ボウイングとともに正解、正しい答えはありません。

細かく書いた方が良い部分、メロディを大きな枠として捉えて細かい書き込みをしない方が良い部分など音楽はさまざまですが、まずは必要な情報をわかりやすく書くという視点を持ってください。

メトロノームを使って丁寧に練習する

最後はメトロノームを使って丁寧に練習するということです。

テンポの速い曲、リズムが複雑な曲、また難しい部分があるような場合はメトロノームを使ってテンポをしっかり落としてゆっくり丁寧に練習をしてみてください。

ゆっくり練習をする意味

テンポを落としてゆっくり練習する意味は、音の確認だけではありません。

  • フレーズのはじまりと終わりを理解する
  • 音の方向性を確認する(どこに向かう?)
  • 音と音の間を練習する

というようなことにも繋がってきます。

初心者であれば、フレーズのはじまりや終わりを意識すること、音の方向性というのは少し難しい髪sれませんが、音と音の間を練習するという視点は日々の練習で意識できると良いと考えます。

ある音から次の音へ行くときの身体の動き、弦楽器であれば押さえる音同士の距離、押さえ方などなど実際のテンポで音を出していると一瞬で過ぎ去ってしまう時間にこそ、実は考えることがたくさんあるのです。

上達を妨げないために気をつけたいこと

  • 適当なテンポ、勢いで弾こうとしない
  • メトロノームを鳴らして音を出す前に心の中でカウントをする
  • 間違えたら何度も弾き直さず止まる
  • 大きな流れを練習しているときは間違えても弾き続ける

ここは細かいですが、練習の効率化を考えると数回ゆっくりなテンポで練習して、感覚を掴んだらテンポを上げていった方が近道です。

また、一度音を間違えたときは一度止まる、通して弾いているときなどは間違えても弾き続けるなど、自分は今どんな練習をしているか?を考えられると良いと考えています。


まとめ

それでは、今回のレッスンノートのまとめです。

上達が早い人に共通する3つのことは

  • はじめは量をこなす
  • タイパ&コスパの良い練習をする
  • メトロノームを使って丁寧に練習をする

ということでした。

まずは量をこなしてある程度、弾けるようにする。

そして、楽譜に必要な情報をしっかりと書き込み無駄な練習を減らす。

最後に勢いで弾かず、メトロノームと合わせて丁寧に練習する。

これらのことは、意識次第で今すぐにでもできるので、ぜひ日々の練習に取り入れてみてください。

上達が早い人の多くが、上記のことを守って練習に励んでいます。

センス、才能もあるかもしれませんが、今できることをすぐにやる。

これが上達への近道かもしれません。


明日のためのレッスンノートはコントラバスという楽器を手にしたけれど、パートは自分一人だけ、周りにコントラバスを教えてくれる人がいないという環境で練習に励んでいる人たちに向けて書いています。

初心者の方も、経験者の方も、そして部活動で春から先輩になる人たちも参考にしてみてください。

コントラバスに関する質問や相談は、Instagram、LINE公式アカウント、X(Twitter)などで受け付けています。何かしらの形でメッセージを送っていただけたら答えていきますので、お気軽に連絡してきてください。

それでは、ここまで読んでいただきありがとうございました。


明日のためのレッスンノートは、一冊の教則本にしたものを全ページ無料公開をしています。ダウンロードは自由となっているので、興味のある方は下記のページからダウンロードしてください。

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またコントラバスの個人レッスンも受け付けているので、興味のある方はブログのお問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。

井口コントラバス教室

コントラバス奏者、指導者の井口信之輔が主宰するコントラバス教室です。

レッスンは1回ごとにお互いの都合の良い日にちに開講します。

詳しくは、この記事の最後にあるコントラバスのレッスンについてをご覧ください。

指導実績

第1回中学生、高校生の為のコントラバス・ソロコンテスト

中学生部門:金賞 高校生部門:金賞、銀賞

第2回中学生、高校生の為のコントラバス・ソロコンテスト

中学生部門:金賞、銀賞 高校生部門:金賞

優秀指導者賞受賞

第3回中学生、高校生の為のコントラバス・ソロコンテスト

中学生部門:金賞・技能賞、銀賞 高校生部門:金賞、銀賞

優秀指導者賞受賞

全日本 中学生・高校生 管打楽器ソロコンテスト

金賞・地区代表

合格実績

埼玉県立松伏高校音楽科

聖徳大学附属取手聖徳女子高校音楽科

フェリス女学院大学音楽学部

日本大学芸術学部

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イグチシンノスケ

千葉県出身。 船橋市立葛飾中学校管弦楽部にてコントラバスと出会う。 千葉県立市川西高等学校吹奏楽部を経て洗足学園音楽大学へ入学。 2022年春学期東京音楽大学指揮研修講座修了。 在学中より「吹奏楽部におけるコントラバスの現状」に着目し、多くの講習会に講師として参加。大学卒業後はフリーランスのコントラバス奏者としてオーケストラ、吹奏楽、室内楽をはじめ楽器製作ワークショップやレコーディングなど多方面での演奏活動をする傍ら、吹奏楽指導者・アマチュアオーケストラのトレーナーとしても活動しており、中でも吹奏楽におけるコントラバスの指導に力を入れている。 これまでにコントラバスを寺田和正、菅野明彦、黒木岩寿各氏に師事。指揮法を川本統脩、三河正典各氏に師事。よこはま月曜吹奏楽団指揮者。初心者と子どものためのオーケストラpìccolo音楽監督。板橋区演奏家協会理事。取手聖徳女子高等学校音楽科非常勤講師。

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