先日、『今、自分が音大卒業を控えた学年だったら音楽を仕事にするために残りの3ヶ月で何をするか』というタイトルでブログを書いたらとてつもない量となり、文字数が2万文字を超えてしまったのですが、そのまま投稿したら読むのがとても大変だったので、何回かに分けてみようと思いました。
元に記事はこちらです。
目次
はじめに
音楽を仕事にして30代を迎えアラサーと呼ばれる世代の後半に差し掛かると、音楽の仕事でも20代の頃とは違った景色が見えてくる。
それと同時に20代の音楽家や現役の音大生に演奏やレッスン依頼、いわゆる仕事をお願いすることも多くなってきた。
また、会話の中で「次を育てる」とか「若手を起用しませんか?」なんて言葉が出てくるようになった。
おかしいな、つい最近まで育ててもらってたのに、いや今もそっち側な気がするんだけれどもね。
そんなことを思いながら、20代の音楽家や現役の音大生からこの先の進路や卒業後のこと相談なんか聞きながら、今もし自分が音大卒業を控えた年だったら何をするかなあなんて考えることがあったので、ちょっと考えてみました。
30代になって見える音楽の世界
ともに駆け抜け夢を語り切磋琢磨した同世代の仲間たち、お世話になった先輩達が大学で教えるようになったり、オーケストラの入団を決めたり、どっかの協会の理事のようなポジションに付いてたり、結婚して家で音楽教室を開講したり、演奏家としての経験を生かし各地のアマチュアオーケストラや吹奏楽団、ブラスバンドの指揮者に就任したりするような話を耳にする。
学校の先生も世代交代する時期なのか、年の近い大学の後輩が吹奏楽部の顧問となり講師として声をかけてもらい一緒に仕事をするような関係になったり、友人の音楽教室の発表会にゲストで出演といった仕事のスタイルもここ最近になってからだ。
しんちゃん、今何やってんの?
僕は学生の頃、しんちゃんとかしんくんとかしんさんって呼ばれてた。
で、僕は今何をしているか?というと、吹奏楽指導者としての原点である神奈川県に移住し、千葉と神奈川の二拠点生活を送りながらコントラバス奏者、吹奏楽指導者、指揮者として活動している。
SNSでは指導者としての面を全面的に出して発信しているけど、演奏活動とレッスンの割合は前に計算したときに6:4くらいでコントラバスを弾いている時間の方がちょっと多い。
もう少し細かく見てみると秋から冬にかけては演奏7:レッスン3くらいで夏は1:9くらい。
それから最近になって増えたのが、誰かに仕事を紹介すること。
中でも多いのが
- 企画モノのオーケストラ(いわゆる寄せ集めのプロオケ)
- アマチュアオーケストラのエキストラ
- アマチュアオーケストラのゲストトップ
- 吹奏楽部の講師(主にコントラバス)
で、最近は付き合いのある20代の音楽家や卒業したばかりの音楽家にお願いをすることが多い。
アマチュアオーケストラのゲストトップなどは、洗足学園や昭和音大で一緒に時間を過ごしてきた仲間にお願いし、自分も一緒に勉強をさせてもらってる。
声をかける基準は「◯◯をやってみたい」と自ら発信している人が多く、そうした声は一緒になったリハーサルの休憩時間や帰りの電車、ご飯や飲み会の席で聞き覚えておく。
出演料や交通費の交渉をすることもあれば、条件が厳しいと思っても僕は経験を稼ぐというのも大切だと思うので「そういえば◯◯がこんな仕事やってみたいって言ってたな」って顔が浮かんだらどんどんお願いするようにしている。
でも、僕の関わらせてもらってるアマチュアオーケストラや吹奏楽団は各団体の予算の中でしっかりと僕らのギャラを作ってくれているのでとても感謝しています。
そうなってくると、セットで耳にするのが音大を卒業してからの仕事の話でこれはもう星の数だけSNSで発信されたり議論されてきた。
特にコロナ禍でこの話は一気に加速したよね。
僕もこの手の話はかなりしている方だと思うけど、コロナ禍もあって大きなダメージを受けている音楽の世界で、もし自分が今、音楽で食べていきたいと音楽家を夢見る音大生だったら何をするか?
これを本気で考えてみました。
今、音大卒業を控えた学年だったら残りの3ヶ月で何をする?
僕が今もし音大卒業を控えた学年、例えば洗足学園音楽大学の4年生だったら何をするか?
これはもうシンプルで、目立とうとして気を衒ったことや斬新なアイディアを出す、人と違う何かをするのではなく自分が何者なのかを知ってもらうプラットフォームを作ること。
いわゆる、自分に興味を持ってくれた誰かが「井口って人は何をやってるの?」って思った疑問を解決できる場所を作るということ。
場所はどこに?というとインターネットとリアル。
世界に向けて発信できるインターネットは空中戦、人と会うことで世界が広がるリアルは地上戦って分けてみるとわかりやすいかもしれないね。
で、肝心の何を作るかという部分を話すと
- ホームページ
- 名刺
これだけ。
これなら明日にでもできるし、行動力のある人はここまで読んでもう動き始めると思う。
ホームページもいきなりお金をかけて豪勢なもの作らずスマホ一つで作れる無料のものでOK。
まずはお金をかけずに自分で自分のプラットフォームを生み出してみる。
ホームページに載せるもの
ホームページに何を載せるかと考えてみると、僕は4つだけ。
- プロフィール
- 自分の活動スタイル
- レッスンの情報
- お問い合わせフォーム
これでOK。
プロフィールは学内の演奏会で使ったものをコピペして、写真は誰かにスマホで撮ってもらったり。まずは今あるものを載せてみて長く感じたら調整する程度。
自分の活動スタイルは今自分がやってること、どんな考えを持っているか、ホームページにきてくれた人に対して何を伝えたいかがわかると良いよね。
好きなクリエイターのページを真似してみたりしても良いし、自分が目指している音楽家の先輩のホームページを参考にしてもOK。
僕は学生の頃からレッスンに興味があったのでレッスンの情報は間違いなく書くと思う。お金はどうだろう、学生の頃はお金に関して本当に何も知らなかったので交通費だけでOKです!とか書きそう。
もし、まだわからなかったら卒業後はレッスン活動もしていくと書くだけでも良いよね。
それから忘れちゃいけないのがお問い合わせフォーム。
自分に興味を持ってくれた人が連絡をするまでの導線設計とテストメールを送って届くかまでの確認も忘れずに。
名刺は今すぐにでも作ったほうがいい
インターネット上にホームページがあると、自分を24時間365日宣伝してくれる。
最初はほとんど見られないけど一切気にしなくてOK。
生まれたばかりのサイトなんて誰も知らないし、大切なのは育てるという意識。
生み出したら終わりなのか、生み出したら育てるかの違いは押さえたほうが良し。
それから忘れちゃいけないのが名刺。
今、名刺を持ってなかったらすぐに作ろう。いつどこで誰から名刺を頂戴するかわからないし、その名刺交換が自分の活動の幅を広げてくれることがある。
実際、僕は大学1年生の頃にパソコンで作れる自作の名刺を作って持ち歩いてたけど相当珍しく、周りで名刺を持たない理由を聞いたらその多くがまだ自分には早いだった。
今だったら「なんで早いって思うの?」と直球で質問してしまいそうだけど、未だにこの理由はよくわからない。
それから名刺を頂戴したのに持ってなくて渡せないのは失礼だよね。
礼儀や上下関係、言葉使いに厳しい音楽の世界、意外なところで粗相してること多いかも。
名刺に何を載せる?
名刺に何を載せるかは名前と楽器、それから自分を表現する一言やキャッチコピーを考える。
僕は今、名刺の裏に吹奏楽におけるコントラバスへの理解と発展を願ってと載せてブログのQRコードを貼って、その方が自分のことを思い出したときにすぐブログにアクセスできるような設計をしてる。
それから香が好きなのでゼラニウムの香づけをして印象に残る名刺に仕上げてる。
最後に、こうやって書いてるけど僕もたまに忘れたり切らしてるときあるんだ。
ごめんなさい。
卒業までにお世話になった方の連絡先リストを作っておく
ホームページと名刺ができたら次は何する?
SNSで発信?
いや、SNSはずっと後でいい。
音大に入学するまで、それから在学中にお世話になった主科の先生はもちろん、ソルフェージュの先生やピアノの先生の連絡先ってすぐに出る?
それからボランティアでもお金が発生してなくてもレッスンをする機会があった中学校や高校吹奏楽部の顧問の先生、飲み会でいろんな話を聞かせてくれた大学の先輩。
エキストラ先でお世話になったアマチュアオーケストラや吹奏楽団の方なんかも交流があれば。
卒業試験を終えて、卒業が確定し、卒業式を迎えたらお世話になった方々一人ずつに連絡をする。
電話でもメールでも手段はなんでも良い、卒業演奏会への出演が決まれば案内も忘れずに。
一つの節目にお世話になった方々への感謝と今後の抱負を述べる。
もしかしたら、そこから新しい道が広がっていくかもしれないよね。
一括送信で済ませてたらきっと生まれなかったご縁
僕は今年の秋にメールアドレスを変更した際、過去のメールを全て遡ってお世話になった人たち一人ずつに手紙を書くように近況報告や過去にエキストラでお世話になったお礼を書いて送った。
そしたら出演依頼をいただいたり、また連絡を取り合うようになった人がいたりしたんだけど、これは一括送信で済ませてたら生まれなかった縁だと思う。
世の中が便利になればなるほど人と人との繋がりの価値がグッと上がる。
楽をするか誰かを想像してひと手間をかけるか、これはまたあとで説明するね。
生き方を追いたくなる人を何人か見つける
次はこれ。
この世界って、師匠に惚れて弟子になって修行をするじゃないですか。
音楽以外にも人柄や仕草に影響を受けたり、どことなく似てきたり、学んだりする。
それに近く、この人の生き方って憧れるなって人を何人も見つけておく。
ここで大事なのが音楽の世界だけに止まらないこと。
どんな世界だって良いし、著書を読んだり動画を見たりこの人のこの部分を真似したいなって生き方を追いたくなるような人を見つけておく。
思いっきり音楽に打ち込む、さらう
最後はこれ。
もう最後!?と思うかもしれないけど
卒業して思うのは、学生の頃の練習環境ってほんとに恵まれてたってこと。
特に僕はコントラバスという大きな楽器なので練習場所に困ることが多々ありました。
自宅で音が出せなくてカラオケボックスやスタジオで練習してる人もいるし、音楽教室でのレッスンの合間で自分の練習をする人もいる。
卒業後の練習環境って人によって全然違うけど、音が出せる場所がある学生時代ってやっぱり良いなと思うし、音楽を仕事にすると決めたら何より大切なのが楽器の練習。
音楽家としての活動の軸となるのは学生生活だし、最後まで本気で音楽に打ち込む。
卒業して「あの頃、めちゃくちゃ練習してたよね」って話が酒のつまみになれば最高じゃない?
まとめ
自分が何者かを知ってもらうためのプラットフォームと名刺を作る。
そしてお世話になった方々の連絡先リストを作ったら好きな人の本を読んだり動画を見たりする習慣を付ける。動画はながら聴きでOK。
で、今の練習環境を生かして最後まで音楽、楽器の練習に打ち込む。
以上が、今もし自分が音大卒業を控えた学年(学部の4年生とか院生)だったら音楽を仕事にするために残りの3ヶ月で何をするかと考えたときにやっておくことです。
続く。