先日、『今、自分が音大卒業を控えた学年だったら音楽を仕事にするために残りの3ヶ月で何をするか』というタイトルでブログを書いたらとてつもない量となり、文字数が2万文字を超えてしまったのですが、そのまま投稿したら読むのがとても大変だったので、何回かに分けてみようと思いました。
前回の記事では、この春に音大を卒業するとしたらそれまでにやることを書いていきました。
ここからは、もし過去の自分と(洗足の4年生で卒業試験を控えた頃)サシ飲みをする機会があったらこんな話をするんじゃないかなということを書いてみようと思います。
まずは、演奏を仕事に編。
元に記事はこちらです。
前回のブログで書いたことは音楽を仕事にすると決めた上で最低限やっておきたいドレスコード。
いわゆる、足し算で経験値を積み重ねていくところ。
ちなみに今、世間で流行っているSNSなんかは掛け算の世界。
気を衒った行動、斬新なアイディア、人と違う何かをする、これらもすべて掛け算。
音大を出たら多くの人がフリーになるけれど、フリーランス、個人事業主として個として生きていくということは、自ら活動の幅を広げていくことがとっても大切だということ。
この音大卒業後の話はもう多くの人が発信してるけど、もう一つ押さえておきたいことがあって時間をかけてコツコツと積み上げていく足し算の価値を安く見積もってに掛け算(いわゆる◯◯×◯◯)みたいな方へ行きすぎちゃうとあまり上手くいかない。
ちょっと残酷だけど、ゼロに何をかけてもゼロにしかならないということ。
練習も発信も誰も見ていないような場所でも小さな積み重ねがあって、その過程で出会ういろんな体験から生まれた好きや得意との掛け算で横に展開していく。
ということで、ここから自身の体験談を踏まえて【今、自分が音大卒業を控えた学年だったら音楽を仕事にするために残りの3ヶ月で何をするか】という話を展開していってみます。
まずは演奏を仕事に編。
目次
演奏を仕事に:オーディション情報を収集する
僕はプロのオーケストラに入団してコントラバス奏者になることを夢見ていました。
なので学生時代の飲み会での先生や先輩たちとの会話から生まれる「今度◯◯フィルがオーディションする」という話や「数年後に◯◯さんが定年されるから〜」という話はチェックしていた。
今なら、Twitterのメモ用アカウント(自分しかいない鍵アカ)ですぐメモすると思う。
学生の頃はオーディション情報が掲示されていたのを見ることが習慣になってたけど、卒業したら自ら探しにいかないと見つからない。
よく「コントラバス 募集」とか「コントラバス オーディション」と検索してたり。
演奏を仕事に:プロオケの先の予定をメモしておく
卒業したばかりの頃、とある出演依頼をいただいたものの日程がNGでお断りすることになったとき、その団体の年間スケジュールをチェックしまた声がかかるかもしれないと予定をチェックしていました。
当時はここまでしかできなかったけど、今だったら「ねぇ、◯◯フィルってリハーサル何日あった?」とか「だいたいリハっていつ頃入る?」と友人に聞いたりして仮説を立てます。
ちなみにこうした仮説はだいたい外れますが、リハーサルが入る時間や組まれる日程、主な会場なんかの情報は1日に2〜3件仕事を入れていくときに重宝します。
演奏を仕事に:音楽系求人サイトをチェックする
毎日、いや3日に一度でも音楽系の求人サイトをチェックします。
これは実際に今でも続けていて、僕がよく見るのはミュージックジョブネット。
ここから生まれた仕事が今も続いています。
ネットで仕事を探すのが怖いと思ったら、求人を出している相手を徹底的に調べます。
求人をコピペしたり、いろんなワードを組み合わせて相手を探りFacebookで検索をかけてみたり。
これらはヤバイ案件から自分を守るためにも役に立ちます。
演奏を仕事に:演奏したいを伝える
自分がやりたいことは口に出す。
僕が演奏関係の仕事を依頼するときは、その仕事に興味ありそうな人に声を掛けることが多く、そこでまず浮かぶのは「◯◯したい!」と言っている人。
上手いから声がかかるかというと、基本的にみんな上手いので「◯◯したい!」と自ら発信(SNSだけじゃなく)してる人に興味あるかを聞く方が多い。
誰かと【どんな人を呼ぶか】って話をしてるときも「◯◯って人がこういう仕事興味あるって言ってて、こんな子なんだけどどう?(SNSの写真を見せながら)」って会話が多め。
これは現場にもよると思うけど、僕が関わらせてもらってる現場はその人がいればより仕事が楽しくなるような人を求めてることが多いので「◯◯やりたいです!」はめちゃくちゃ強い。
これは例えばの話なので極端に書いてみると
- 演奏仕事の片手間で部活のレッスンをしている現場経験豊富な人と
- 部活のレッスンという仕事に興味があるけど指導経験が少ない人
だったら、同じギャラでも後者を呼んで一緒にご飯食べたりしながら指導者って仕事の魅力を語り合って成長していった方が長い目で見て部活動にとってもプラスになるよね。
演奏を仕事に:現場を利用しトライ&エラーを繰り返す
音楽家として仕事をしていく上で知っておきたいのがエキストラとしての心得。
これは多くの人が音大在学中に教わることだと思う。
ざっくり書くとこんな感じだとする
- 練習の◯分前には着いておく
- 挨拶をする
- ソロや関係ない曲を練習したり目立つようなことをしない
で、ここまでを押さえた上でこの心得を疑うんだ。
行く現場によって対応はどんどん変えた方がいい。
例えばコントラバス奏者であれば一度は頼まれたことがあるかもしれないのがエレキベースの演奏。
コントラバス奏者はエレキベースも弾けると思われているけど、実は全く別の楽器。
これがあまり知られていなく、全国の中高生や実はプロ奏者までもが苦労している経験があったりする。
僕もエレキベースは全くというほど弾けなかったけど、いただき物のベースを持っていたのでアマチュア吹奏楽団で「とりあえず音が欲しい」お願いされたことからはじまり、数年後にとある現場でいつもベースを弾いている奏者が参加できず僕がベースを弾くことになったのがきっかけで練習をはじめました。
とは言っても年に数回しか弾かないのでこのままじゃダメだと思い、エキストラで行くアマチュア吹奏楽団の練習時間を利用して実戦で学んでいきました。
ベースの依頼は積極的に受け、指揮者の方に挨拶をした際に「ベースは不慣れなので、目立つかもしれませんが練習中にいろんな音を出させてください」と一言伝え音質や音量バランスなどの実験する。
プロの現場であれば数十分のリハーサルで終わる曲も、アマチュア楽団であれば演奏会に向けて何日も練習する。この時間をうまく活用して練習時間にトライ&エラーを繰り返す。
この経験が大いに役立ちました。
おわりに
頑張っていればいつか誰かが見てくれることもあるかもしれないけれど、まず自ら動くこと。
情報を調べ、情報を仕入れ、仮説を立てて動いてみることを忘れずに。
次回はレッスンに関わる仕事がしたい!という部分を書いていきます。
続く。