コントラバス奏者、吹奏楽指導者、指揮者の井口信之輔です。
コントラバス奏者としての活動を軸に、全国各地の吹奏楽部やオーケストラ部でコントラバスを教えたり、大学のサークルやアマチュアオーケストラの弦楽器のトレーナーをしたり、さまざまなコンセプトを掲げて活動しているオーケストラや吹奏楽団とタッグを組んで指揮者というポジションから各地の音楽文化発展に努めています。
さて、ブログで楽典や音楽理論の話をわかりやすく解説していくということではじまった楽典講座。
前回は音程を正確に音の距離を表すため、長◯度、短◯度、完全◯度といったように区別して音程を表していく中から完全系の音程を学びました。
- 完全ルートの音程は全部で4つ
- ふたつの音の距離の違いで完全という言葉が増または減という言葉に変わる場合がある
- 増と減の違いは完全音程より音の幅が広いか狭いか
というのが、前回のまとめです。
今回は、長、短・完全といった言葉を添えて音程を表していく中から長・短系(長・短ルート、長・短コース)の音程について詳しく解説していきます。
いわゆる2つのルートに分かれる中の長・短ルートの音程です。
楽典講座を通して知ったことが、日々の音楽活動のプラスになったら嬉しいです。
それでは、井口先生の「宇宙一わかりやすい!」 楽典講座スタートです!
長・短ルートの音程
前回の講座で完全ルートの音程を解説したので、今回は長・短ルートの音程について詳しく見ていきましょう。
楽典の参考書では長・短ルートの他に、長・短コース、長・短系という書き方をします。
また長と短文字が逆になり短長系と書かれている参考書もあります。
これまで学習した完全、長・短ルートを一つの図に書き出してみると短長と書いた方が理にかなっていますが、短調と勘違いしてしまうようなところもあるので、楽典講座では長・短ルートという書き方をしていきます。
長・短ルートの音程は4つ
2度、3度、6度、7度
これらが長・短ルートに分類される音程です。
完全ルートにあった増・減といった言葉は今の時点では出てきません。
あとで図にすると全てがつながるのでお楽しみに!
ふたつの音の距離が近い、濁った響き:長2度、短2度
まずは2度。
理解度1
2度の音程はふたつの音が少しだけ離れています。
ドーレ、レーミ、ミーファ、ファーソ
完全1度の音程から少し広くなって2度になると、どんな響きがするでしょう?
ふたつの音の距離が近いので、濁った響きが感じられます。
理解度2
そして2度の中での音の距離を考えてみると
ドーレ:全音一つ
レーミ:全音一つ
ミーファ:半音一つ
ファーソ:全音一つ
ソーラ:全音一つ
ラーシ:全音一つ
シード:半音一つ
と、ここでも全音と半音つまり音の距離に違いが生まれてきます。
理解度3
ここがポイントで楽典ではこの違いを
- 全音一つのときは長2度
- 半音一つのときは短2度
と呼びます。
距離が長いと長2度、短いと短2度ということになりますね。
心地よい響き、でも…:長3度、短3度
続いては3度の音程
理解度1
3度は下の音から指を3本折って数えた音程。
下の音がドであればミ、レであればファ、ミであればソとなりよく聴いてみると心地よい響きがしますが、今は見せていないもう一つの表情があるということに気がつくことになります。
理解度2
3度の音程を理解したら、ふたつの音の距離を調べてみましょう。
ド(レ)ミ:全音二つ
レ(ミ)ファ:全音一つ、半音一つ
ミ(ファ)ソ:全音一つ、半音一つ
ファ(ソ)ラ:全音二つ
ソ(ラ)シ:全音一つ、半音一つ
ラ(シ)ド:全音一つ、半音一つ
シ(ド)レ:全音二つ
理解度3
3度の中でも、音の距離が少し違う音程があることがわかりました。
楽典では
- 全音一つ、半音一つを長3度
- 全音三つを短3度
と呼びます。
距離は離れるけれど、安定した響き:長6度、短6度
続いては6度の音程
理解度1
6度は下の音から指を6本折って数えた音程。
下の音がドであればラ、レであればシ、ミであればドとなり、ふたつの音の距離は離れるけれど安定した響きがするのが特徴です。
理解度2
6度の音程を理解したら、ふたつの音の距離を調べてみましょう。
ド(レ)(ミ)(ファ)(ソ)ラ:全音四つ、半音一つ
レ(ミ)(ファ)(ソ)(ラ)シ:全音四つ、半音一つ
ミ(ファ)(ソ)(ラ)(シ)ド:全音三つ、半音二つ
ファ(ソ)(ラ)(シ)(ド)レ:全音四つ、半音一つ
ソ(ラ)(シ)(ド)(レ)ミ:全音四つ、半音一つ
ラ(シ)(ド)(レ)(ミ)ファ:全音三つ、半音二つ
シ(ド)(レ)(ミ)(ファ)ソ:全音三つ、半音二つ
理解度3
6度の中でも、音の距離が少し違う音程があることがわかりました。
楽典では
- 全音四つ、半音二つを長6度
- 全音三つ、半音二つを短6度
と呼びます。
頭の中を整理しよう!
長・短ルートの音程の中にも距離が広い音程、狭い音程がありました。
これを書き出してみると
同じ音程の中でふたつの音の距離が広いと長、狭いと短という言葉がつく
という形になります。
この時点で完全ルートの音程のことは無視して構いません(一緒に考えると混乱します)
まず、ここまで理解ができたら残りの音程を確認していきましょう。
距離は離れるけれど、濁った響き:長7度、短7度
最後は7度の音程。
7度の音程は長・短ルートの音程ではふたつの音の距離が一番離れている音程です。
理解度1
ピアノの鍵盤をイメージすると低いドと高いシを一緒に弾いたときの響きで、音の距離は離れるけれど濁った響きがします。
写真撮影で「あとちょっと左か右に寄って!」と言うように調整することで心地よい響きを得られるのが特徴で「ん?」と感じる響きといった言い回しも良いかもしれません。
理解度2
7度の音程を理解したら、ふたつの音の距離を調べてみましょう。
ド(レ)(ミ)(ファ)(ソ)(ラ)シ:全音五つ、半音一つ
レ(ミ)(ファ)(ソ)(ラ)(シ)ド:全音四つ、半音二つ
ミ(ファ)(ソ)(ラ)(シ)(ド)レ:全音四つ、半音二つ
ファ(ソ)(ラ)(シ)(ド)(レ)ミ:全音五つ、半音一つ
ソ(ラ)(シ)(ド)(レ)(ミ)ファ:全音四つ、半音二つ
ラ(シ)(ド)(レ)(ミ)(ファ)ソ:全音四つ、半音二つ
シ(ド)(レ)(ミ)(ファ)(ソ)ラ:全音四つ、半音二つ
理解度3
7度の中でも、音の距離が少し違う音程があることがわかりました。
楽典では
- 全音五つ、半音一つを長7度
- 全音四つ、半音二つを短6度
と呼びます。
長・短ルートの音程まとめ
それでは、長・短ルートの音程のまとめです。
- 長・短ルートの音程は全部で4つ
- 同じ音程の中でふたつの音の距離が広いと長、狭いと短という言葉がつく
- 完全ルートの音程(増、減含む)のことは考えない
今回の長音程、短音程の響きの違いは、言葉だけで理解するよりもピアノやキーボードで音を出して違いを感じてみると、よりわかりやすいと思います。
楽典は完璧に覚えてから次に進むより、ざっくり覚えて振り返ることが大切なので同じところを読み返してみたり、実際に音を出して聴き比べてみてください。
次回、井口先生の「宇宙一わかりやすい!」楽典講座は、一目でわかる!音程完全攻略マップというテーマで解説していきます。
これまでの音程の復習と、新しく臨時記号の付いた音程の紹介し音程の総まとめとなります。
楽典を、そしてより楽譜を深く理解する上でとても大切な回となるのでこれまでの講座を読んで復習もしてみてください。
これで、また楽典への理解が深まると思います。
それでは、また次回の楽典講座でお会いしましょう!