コントラバス奏者、吹奏楽指導者、指揮者の井口信之輔です。
コントラバス奏者としての活動を軸に、全国各地の吹奏楽部やオーケストラ部でコントラバスを教えたり、大学のサークルやアマチュアオーケストラの弦楽器のトレーナーをしたり、さまざまなコンセプトを掲げて活動しているオーケストラや吹奏楽団とタッグを組んで指揮者というポジションから各地の音楽文化発展に努めています。
さて、ブログで楽典や音楽理論の話をわかりやすく解説していくということではじまった楽典講座。
全3回にわたる音名の解説を終え、テスト問題を解いていただきました。
今回から楽典講座は新しいテーマの解説です。
楽譜を眺めていると、いろいろな高さの音が並んでいるのがわかります。
音の名前はわかったけれど、音の高さや距離を表す言葉っていうのはあるの?というところ。
ここを一緒に考えていきたいと思います。
楽典講座を通して知ったことが、日々の音楽活動のプラスになったら嬉しいです。
それでは、井口先生の「宇宙一わかりやすい!」 楽典講座スタートです!
ふたつの音の高さや距離を表すことば
楽譜を眺めていると、いろいろな音が並んでいます。
前回までの講座でその音の名前を理解することができましたが、音の高さや距離を表す言葉もあるのでしょうか?
この、音の高さや距離を表す言葉というのが音程といいます。
ふたつの音というのがポイント
英語で音程のことをインターバル(interval)といいます。
インターバル(interval)翻訳をすると、合間、間隔、隔たりという意味です。
ここをよくある楽典の難しい言葉で書いてみると音程とは二つの音の高さの隔たりのことであるという感じになります。
まずは、音程というのはふたつの音の高さや距離を表す言葉ということを覚えておきましょう。
音程は「数字」と「度」という言葉で表す
音程はふたつの音の高さや距離を数字と度という言葉で表します。
数字というのは1、2、3、4。
そこに度という言葉を添えて音の距離を1度、2度、3度という言葉で表していきます。
音楽理論では度数(どすう)という言葉が使われる
ふたつの音の高さや距離を◯度という言葉で表し、この単位のことを度数(どすう)といいます。
下の音を基準に音の距離を数えてみよう
それでは、最後にふたつの音の距離を数えてみましょう。
音程を数えるときは下の音を基準に離れている音までの距離を◯度という言葉で表します。
そして基準となる音も数えるというところがポイントになるのでここは覚えておきましょう。
音程の数え方
楽譜やピアノの鍵盤をイメージしてみてください。
ド(C)の音を基準にいくつか考えていきます。
- ド(C)とミ(E)の音程は何度?
この場合、ド(C)の音から「ド→レ→ミ」と順番に数えて3つ目の音がミ(E)になるので答えは3度です。
- ド(C)とソ(G)の音程は何度?
ド(C)の音から順番に数えてソ(G)の音は5つ目にあるので答えは5度となります。
音程を数えるとき、基準となる音も数えるところがポイントになるということを覚えたら指を折って数えていくとわかりやすいです。
音程は音名よりも覚えることがたくさんあるので最後に復習を兼ねて練習問題を用意しました。
ポイントは基準になる音(下の音)も数えるというところです。
- ド(C)とファ(F)の音程
- ミ(E)とソ(G)の音程
- レ(D)とシ(H)の音程
- シ(H)とド(C)の音程
ヒント:ファ(F)とド(C)の音程は基準となる音(ファ)から数えて5つ先がドになるので5度
ここまで理解ができたら、次回はもう少しそれぞれの度数について考えていきます。
まとめ
それでは、今回の講座のまとめです。
- 音程というのはふたつの音の高さや距離を表す言葉
- 音程は数字(1、2、3)と度という言葉を使って表す
- 下の音を基準に離れている音までの距離を数える
そして、音程は基準となる音も数えるところがポイントになります。
ここを理解していないと、数字がズレてしまうので気をつけてください。
音程とピッチの話
最後に一つ、気をつけておきたいことを書いておきます。
ここまで読んで、もしかしたら疑問に感じた人もいるかもしれません。
吹奏楽部などの部活動では音が合わないことに対して音程が悪い、音程が合わないと言います。
また、同じような言葉で「ピッチが悪い」とか「ピッチを合わせて」という指摘をされた人もいるかもしれません。
この音程とピッチの話は少しややこしいですが、一度整理しておくとより理解が深まると思います。
少し専門的なところまで踏み込んでいますが、音程とピッチの違いを簡単に書くとこうなります。
- 音程
ふたつの音の高さや距離
- ピッチ
ひとつの音に対する高さ(基準となる周波数に対するその音自体の高さ)
上記のような違いがあった上で、音楽の世界ではこれら全てをひっくるめて音程という言葉を使っていることがあるというところがあります。
けっこう曖昧になっている部分でもあるので音程とピッチの違いは理解しておき、音程とはこうあるべき、ピッチとはこうであると絶対的な正解にとらわれないことも大事かと思います。
そして、楽典の参考書を何冊か読んでみると音程に関しても、二つの音の隔たり、ふたつの音の高さの関係、二つの音の距離を測るものなどいろいろな書き方がるので、ここではわかりやすくふたつの音の高さや距離という言葉で解説しています。
大切なのは完璧に理解することではなく、80%わかっておいて余白を残すことです。
音楽に絶対的な正解がないのと同じで、楽典(音楽理論)をざっくり知った上で残りの余白部分は自分なりの解釈で穴埋めしていく方が覚えるスピードも早くなります。
楽典は完璧に覚えてから次に進むより、ざっくり覚えて振り返ることが大切です。
今回は長くなりましたが、ぜひ読み返して覚えていってください。
次回、井口先生の「宇宙一わかりやすい!」楽典講座は、より正確に音程を理解するために知っておきたい2つのコースというテーマで解説していきます。
そばうどん、和食洋食、パンとご飯みたいな感じで実は音程ってちょっと分かれていくところがあるんです。
一体、どうやって分かれていくのか?
それでは、また次回の楽典講座でお会いしましょう!
練習問題の回答
- ド(C)とファ(F)の音程
4度
- ミ(E)とソ(G)の音程
3度
- レ(D)とシ(H)の音程
6度
- シ(H)とド(C)の音程
2度