コントラバス奏者、吹奏楽指導者、そして指揮者として活動している井口信之輔です。
洗足学園音楽大学を卒業し、現在は演奏家としての活動を軸に多方面にキャリアを広げ、吹奏楽指導の分野では年間40校を超える学校でコントラバスパートのレッスンや合奏指導をしたり、さまざまなコンセプトを掲げて活動している地域のアマチュア楽団とタッグを組み、指揮者として地域に根ざした音楽文化の発展にも取り組んでいます。
また、聖徳大学附属取手聖徳女子高等学校音楽科にてコントラバスの講師を務めています。
これまで、ブログやSNSを活用し吹奏楽におけるコントラバスのあり方や基本的な奏法、知識を発信してきました。そうした発信を見て、全国の吹奏楽部でコントラバスを演奏している中高生から質問や悩みの相談が届くようになり、自分が持っている知識や経験が何か役に立つかもしれないと思い、パートは自分一人だけ、周りにコントラバスを教えてくれる人がいないという環境の中で練習に励む全国の中高生に向けた発信をはじめました。
今年も吹奏楽コンクールの時期になったので、恒例となった吹奏楽コンクール課題曲コントラバスパートの徹底解説をしていきたいと思います。
パートは自分一人でも、誰も周りにコントラバスを教えられる人がいなくても、コントラバスのパートに生徒が入ったけれど先輩がいなくて他のパートの先輩が教えているという環境の中でも、このブログを読んだことがきっかけで、少しでも練習のヒントが得てもらえたらと思います。
今年もいい夏にしていきましょう。
それでは!
今日よりもちょっと良い明日に向けて、一緒に楽譜を見ながら練習していきましょう。
課題曲 Ⅱ ザ・ガーズ(The Guards)
課題曲 Ⅱ《ザ・ガーズ》をはじめて聴いた印象は、気品にあふれる音楽といった感じでした。
アルセナールや威風堂々、過去の課題曲だと式典のための行進曲「栄光をたたえて」のような雰囲気を持った音楽です。ぜひ、聴いてみて共通点を見つけてみてください。
それでは、コントラバスパートの楽譜を見ていきましょう。
- 最高音はG線のレ(D)最低音はE線のファ♭(Fes)
- 途中にarcoとpizzの持ち替えがあり
- 付点のリズムはボウイングを工夫することで弾きやすくなる
- 左手の基礎(弦を押さえる手の形)が大切だと感じる曲
音の高さはハーフポジションから第3ポジションで押さえられる範囲(取り方によって変わる)です。これは全ての課題曲に通ずることですが、◯◯ポジションという言葉でハテナが浮かんだ人は、コントラバスの運指表に基づく12のポジションを理解していきましょう。
細かい動きや付点のリズムはボウイング、左手の動きを工夫することが求められます。実は僕もどう演奏するか?けっこう悩んでいるところです。
四分音符にはテヌートが書かれていますが、この曲の雰囲気からテヌートはどう弾くか?を考えていくことがポイントです。そして、考えるだけではなかなか答えが出てきません。
ぜひ、同じような雰囲気の曲を聴いてヒントを得てみてください。
冒頭からAまで
冒頭からボウイングに悩みますね。
まずは、弓順で弾いてみてください。
すると、5小節目のシ♭(B♭)をダウンで弾くことができます。
でも、1小節目の2拍目が弾きにくく感じる人もいると思います。ここは旋律の流れからダウンで弾いた方が音楽の流れとしては自然です。なので、ダウンで弾き直すパターンも良いですね。
その場合、そのまま弾くと5小節目のシ♭(B♭)がアップになってしまうので、どこかで辻褄を合わせる必要が出てきます。音楽の流れを考えると、4小節目の2拍目にある八分音符をアップ、アップで弾くのが良いかなと思います。
5小節目のシ♭(B♭)の伸ばしはひと弓で弾久賀、返すとしたら1回かなと思います。
テヌートの弾き方を考える
9小節目からの四分音符にはテヌートが書かれています。音楽用語辞典で調べてみると、テヌートは音の長さを十分に保ってとあります。
仮に音の長さを十分に保って弾いてみると、どうでしょう?
ちょっとべったりしすぎてしまうかもしれません。
ここでマーチを演奏するときのヒントを書くと、マーチを演奏するコツはその伴奏で歩けるか?です。テヌート、スタッカート、アクセントなど何が書かれていれも、マーチの伴奏は自分たちの演奏で歩けるか?という視点を持ってみてください。
実際にパートで誰かに歩いてもらったり、足踏みをしながら音符を歌ってみるとどんな感じのニュアンスで弾けば良いかのヒントが得られます。
それから、旋律が付点で書かれていることが大きなポイントになります。
- 付点音符が持つ推進力
- 半音で進行する四分音符はどこへ向かうか?
- その伴奏で歩けるか
この3つを考えてみると、マーチという形式の中でテヌートがついた四分音符をどう演奏すれば良いかのヒントになると思います。
Aの4小節前からの部分はボウイングに悩むところです。
13小節目のシンコペーションは弓順でも弾けますが、14小節目からの付点のリズムで弓がどんどん先へ行ってしまったり、音が短くなったりしてしまう傾向にあります。実際にレッスンでもよく見かけるパターンで、ダウンからはじまる弓順で弾きはじめた場合は付点のリズムをダウン→ダウン、アップ→アップという形にするとスムーズに音楽が流れます。
もし、13小節目をアップで弾きはじめるとしたら、次の付点はアップ→アップ、ダウン→ダウンと続き、15小節目も1拍目はアップ→アップ、2拍目でダウン→アップにして16小節目をダウンから弾くと自然な流れになると考えています。
AからBまで
しばらくは同じ形になるので、29小節目の解説をしていきます。
13小節目と同じシンコペーションの形ですが、次は付点のリズムが下行せず、上行してから下っていきます。ここもダウンから弓順で考えると、付点のリリズムはダウン→ダウン、アップ→アップとなります。そのまま弾くこともできますが、32小節目がダウン→アップになり移弦の方向からしてアップが少し弾きにくい部分でもあります。
なので、もし最後がアップで終わることが難しい場合、31小節目の付点のリズムだけダウン→アップの形にすると、2拍目の四分音符のテヌートがダウンで弾くことができ、32小節目がアップ→ダウンでスッキリ入り終わります。
この辺りは、僕も指導校ごとにボウイングを変えています。
レッスンにおけるボウイングの決め方
少し話が脱線しますが、基本的にレッスンでは生徒たちが考えたボウイングを尊重しています。その中で、ここは変えた方が良いと思った部分は変えていきます。レッスン回数、生徒一人一人の演奏レベルや理解度に対して変えたりしているので、特に課題曲2番は指導校によってもボウイングが大きく違います。もし、生徒でこの記事を読んでくれてて自分たちが教わった弓と違うということがあっても大丈夫なので安心してください。
BからCまで
裏打ちのリズムは、弦の上に弓を置き八分休符を感じると弾きやすくなります。
35小節目からの動きはダウンでスタートし弓順、36小節目がダウンで終わります。
次の裏打ちは再びダウンで弾きます。
39小節目からも再びダウンで弾きはじめ以降は弓順で良いと考えています。四分音符がアップになりますが、そのままの流れで44小節目の2拍目がアップになり、Cまで弓順でOKです。
35、39小節目をアップで弾くというパターンもあります。
どちらにしろ、どこかでボウイングを工夫しなければならない部分なので、柔軟性を持って一番弾きやすいと感じるボウイングを考えてみてください。
Cの1小節前でこの曲の最高音レ(D)が出てきます。
このBからCの部分は基礎・基本ができているかで大きく弾きやすさが変わります。
ボウイングの知識、弦を押さえる左手の形を身につけ練習に励んでください。
CからDまで
この形はダウンではじめ、2拍目もダウンで以降は弓順で弾くと、53小節目の2拍目からの八分音符で下行する音をダウンから弾き以降も自然な流れで弾いていきます。
続く四分音符がダウン、ダウンで59小節目はどちらからスタートでもOK。
63小節目からのスタートもダウンまたはアップどちらもOKです。
DからEまで
Dのはじまり65小節目の2拍目をダウンにしてしまえば、あとは冒頭と同じです。
77小節目からのシンコペーションのリズムはダウンから弾いた方が自然、だけどアップから弾くとテヌートアクセントをダウンで弾けるという利点があります。
好きな方でやってください。
休符があり、84小節目はダウンスタート。pizzの持ち替えはパートの中で誰が最後までpizz.を弾いて誰が早く終わらせて弓で弾くかを考えてみてください。このpizz.はEからの音楽に続く架け橋です。
EからFまで
ここからは普段、レッスンで伝えていることを書いてみます。
コントラバスと打楽器以外のパートで四分音符を持つパートにはsost.(ソステヌート)という指示が書いてあります。意味は調べてもらうとして、テヌートととも似ていますよね。
「この四分音符はどう演奏すべきか?」と、理論的な議論がされることも多いですが、とても大切なことなのですが、この曲に似た雰囲気の曲をいくつか聴いて伴奏の形の共通点を見つけることが大事だと考えます。
- 行進曲「威風堂々」第1番のトリオの部分(くら寿司のCMのやつ)
- 式典のための行進曲「栄光をたたえて」
- 「アルセナール」(コンサートマーチ)
- ニュー・サウンズ・イン・ブラス NSB第38集 スーパーマリオブラザーズ(ラスト)
ソステヌートの意味、テヌートとの違いを調べたら、あとはいろんな音楽に触れてみてください。共通点を探すこと、イメージを持つことがテクニックを生み出すことにも繋がります。
やってみよう!!!
FからGまで
ここからarcoになりますが、前の音がpizzで間に休符がないので持ち替えが難しい部分です。パートが複数いるのであれば、最後までpizzを弾く人と、pizzを早めに終わらせてarcoから入る人で分けても良いと考えます。
arcoの部分はダウンでひと弓、そのまま弓順で弾き108小節目、112小節目の2拍目は表拍のスラーを弾いた半分の量で裏拍の音を弾くことがポイントです。勢いで弾いてしまいやすい部分なので、一度ゆっくり練習してみてください。こういう部分は理論的に考えるとわかりやすいです。
Gに入る前のテヌートの書かれた四分音符は、弓の真ん中あたりから弾きはじめ、使う弓の量を増やすことでクレッシェンドをしてシ♭(B♭)へ進みます。
GからHまで
マーチを演奏するコツは、その伴奏で歩けるか?でした。
再び四分音符でマーチの歩みを作っていきます。
音の長さは耳で感じていきましょう、旋律の性格やスネアドラムのリズム、推進力からイメージしてみてください。
Hの2小節前の動きはGからの音楽をどう終わらせるか?でボウイングを決めてみてください。
弓順でも良いですし、141小節目の1拍目をダウンで弾き、2拍目をもう一度ダウンで弾き直すパターンも良いでしょう。この弾き方の方が音楽の終止感は強くなります。
初心者や、まだダウン→ダウンが難しい場合は弓順でも大丈夫です。
HからIまで
151小節目はアップからスタートします。
そして、弓順でクレッシェンドをしていくと、155小節目( I )のアクセントを持つシ♭(B♭)がダウンで弾けます。そして、一つ先の話をすると、156小節目からのシンコペーションのリズムはもう一度、ダウンから弾いていきます。
ダウンで弾いて、弓を戻してダウンで弾くという動作は意外と難しいので、頭で理解できる早さから練習してみてください。
IからJまで
155小節目をダウンで弾き、156小節目から再びダウン。
160小節の同じリズムも再びダウンで弾いていき、以降は弓順です。
163小節目からは2小節でアップに返し167小節のアクセントを持つラ(A)はダウン。
168小節目からの形はダウン→アップ→ダウン、170小節からも同じです。
JからKまで
Jからは冒頭と同じ形になりますが、ダウンで弾きはじめ2拍目のラ♭(As)をもう一度ダウンで弾きます(冒頭はここをアップで弾いていましたね)
理由としては174小節目の2拍目が八分音符から四分音符に変わっており、171小節目の2拍目をダウンで弾き直すことによって4小節ごとの動きを自然に作ることができるからです。
なので、175小節目は再びダウン、ダウンになります。
ここはレッスンで弓順にした学校もありますが、どちらのボウイングでもOKです。
183小節目ダウンスタートの弓順、184小節からの付点のリズムはダウン→ダウン、アップ→アップ、185小節目がダウン→ダウンで2拍目の十六分音符はスラーをアップであと弓順。
Kの1小節前のシ♭(B♭)の四分音符はダウンで弾き直さず、前の流れからアップで弾きます。
テヌートが書かれていること、そしてシ♭(B♭)は次のミ♭(Es)に向かう役目を持っているので、アップで弾き、八分音符のミ♭(Es)をダウンで弾きます。
Kからラスト
ここからは臨時記号が増え複雑になってきます。
ボウイングの提案
187小節、189小節、191小節の1拍目と2拍目にある八分音符は全てダウンで弾く
192小節の2拍目の付点のリズムは弓順
194小節目2拍目のシ♭(B♭)はアップでミ♭(Es)はダウン
終わりの2小節、2拍目を再びダウンで弾くと山型アクセントがダウンになり曲が終わる
左手(指)の提案
初心者:全ての音に音名を書く(♯、♭による読み方に注意)
経験者:音名は理解していたら書かなくても良し、指番号を振ってゆっくりから練習
コントラバスの運指表を参考にハーフポジションから第3ポジションまでの範囲(取り方によっては2と3の中間ポジションまで)で全ての音がカバーできます。190小節目のラ♭(As)はG線だけでなく、D線にもあります。他にも191小節目のミ♭(Es)はD線だけでなくA線にも音があります。
この辺りを理解し、どんな指使いで弾いていくかを考えてみてください。
以上が課題曲2番「ザ・ガーズ」の解説です!
インターネットに溢れる情報をヒントに練習するにあたって
課題曲2番《ザ・ガーズ》を解説してきましたが、いかがだったでしょうか?
コントラバスのパートを解説してきましたが、これは僕の考え(解釈)であって正解や正しい答えではありません。
今はSNSをはじめインターネットに吹奏楽コンクールや課題曲に関する情報が溢れかえっています。
さまざまな情報をヒントに練習することはとても良いと思いますが、自分の考えを持つということを忘れないでください。
「ブログで井口先生がこう書いてたからこう弾く」ではなく、「自分もそう思うからこうやって演奏する」という考えを大切にしてくれたら嬉しいです。
僕は情報を置いておくので、困ったときにはいつでも覗きにきてください。
でも、自分軸を忘れることがないようよろしくお願いしますね。
それでは!次回は課題曲 Ⅲ《あつまれ おもちゃのマルチャ!》のコントラバスパートを徹底解説していきたいと思います。
お知らせ
それでは、最後にお知らせです。
コントラバスのレッスンを体験しよう!
僕がコントラバスの講師を務めている聖徳大学附属取手聖徳女子高等学校では、音楽科の先生のレッスンが体験できるレッスンシリーズを開催しています。
参加は無料、コントラバスのレッスンは僕が担当します。
高校では大好きな音楽を思いっきり勉強したい!
音楽大学への進学に興味がある
初心者だけど、一度レッスンを体験してみたい
など、少しでも興味を持っていただけたら、ぜひレッスンシリーズへお越しください。
下記の日程が難しい場合も、一度ご相談ください。

高校の音楽科って将来はプロを目指したり音大進学を目指している人だけでなく、音楽が好き、高校では音楽を思いっきり勉強したいとさまざまな志を持った生徒たちが勉強しています。
コントラバス 練習お役立ちアイテムを紹介!
コントラバスの練習に必要なものをレビュー付きで紹介しています。
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