コントラバス奏者、吹奏楽指導者、そして指揮者の井口信之輔です。
コントラバス奏者としての活動を軸に、その経験を指導者としての活動に還元し昨年は中学高校40校、アマチュアオーケストラ、吹奏楽団7団体の音楽指導に関わってきました。
さて、SNSで個人の活動を誰でも発信できるようになった今、僕も自身の活動や考えていることを発信してきました。
これまではTwitterが主でしたが、最近はInstagramを活用できるようにしたいと思いストーリー機能の使い方を覚えたり、今の自分はどんな使い方が良いかと試行錯誤しています。
そんな中、アンケート機能というものを使ってブログのネタを募集してみようと試みたら、早速メッセージが届いたのでいただいたネタを記事にしていきます。
ということで、今回のタイトルは吹奏楽指導をするのに勉強になった本、読んでおいたら良い本はありますか?です。
あります。
めちゃくちゃあります。
でも、ちょっと驚かれます。
吹奏楽指導と本
僕が「吹奏楽指導をやりたい!」と思ったのは2008年の3月。
母校の吹奏楽部の定期演奏会を聴いて、胸の奥から熱い思いが込み上げてきたのがきっかけでした。ここに過去の自分の体験や、吹奏楽が好きという思いなどが重なり「俺もバンド指導やりたい」という思いが生まれたのを今でも覚えています。
で、吹奏楽指導を仕事にしたいと思っても当時は吹奏楽指導を勉強する機会なんでありませんでした。本当はあったのかもしれなくて、僕が気づかなかっただけかもしれないけどね。
そして、僕は専門としているのが弦楽器。
となると、吹奏楽のことでわかるのって曲のことだけなんですよね。
当時から高校時代に吹奏楽部で演奏した曲や、吹奏楽部の顧問の先生の影響とファンタジーの世界が好きなこともあり歴史や神話系の曲にはやたら詳しかったのを覚えています。
井口先生の持論に、魔女系の曲にハズレはないというものがあります。
で、そんな中で僕が吹奏楽指導について学ぼうと思ったとき、たくさんのことを教えてくれたのが本でした。
今でも読み返し、記憶に残っている本
吹奏楽指導をしたいと思ったとき、手に取ったのはたくさんの本。
もう、本当にたくさんの本を読みました。
他にも指導DVDを買ったり、図書館で借りて見ていたり、クリニックや講習会に勉強をしに行ったり最近では指揮を学びに行ったりとしましたが、今回は本にスポットをあて、そして今でも読み返す記憶に残っている本を紹介していこうと思います。
吹奏楽指導者を志す人の参考になれば嬉しいです。
吹奏楽指導をするのに勉強になった本:音楽関連
吹奏楽指導をする中で、たくさん読んだのは音楽関連の本。
僕は吹奏楽という分野に限らずいろいろな本を読んでいました。
中でも記憶に残っている本6冊を書いていきます。
ルフトパウゼーウィーンの風に吹かれて
まずはこちら。NHK交響楽団第一コンサートマスターの篠崎史紀さんの著書。
篠崎先生は昭和音楽大学に合奏研究員として務めていた頃、弦楽合奏の授業に来てくださった先生で的確でわかりやすく、ユーモアあふれる指導がとても勉強になりました。
中でも、アンサンブルの中での呼吸の話や合わせるポイントで「集合」という言葉を使う指導が印象に残り、僕の「集合」という言葉はここから来ています。
演奏家としてはもちろん、教育者としても素晴らしい先生で、コンサートマスターの視点から見たオーケストラや音楽教育について思うことについて綴られている一冊。
これで納得!よくわかる音楽用語のはなしーイタリアの日常会話から学ぶ
過去にブログやTwitterでも何度か紹介している本で、いわゆる音楽用語がイタリアの日常会話ではどのように使われているかが書かれている本。
吹奏楽部で生徒に調べてもらうことが多い音楽用語、本当はこんな意味があるんだよっていう発見は楽譜の見え方を変えてくれるかもしれません。
楽譜に「速く、快活に」と書き込んだAllegroという言葉、イタリアの日常会話ではどのような意味で使われているか知っていますか?
息を聴けー熊本もう学校アンサンブルの挑戦
「お前たちの武器は、その耳だ!」視覚障害を持つ8人の生徒が全日本アンサンブルコンテストに挑戦した話。楽譜はどうするのか、出だしの合図はどうする?
手探りで彼らを指導し、ともに涙を流した一人の打楽器奏者が綴る物語です。
僕がアンサンブルコンテストで部屋の電気を消して合わせる時間を作ったり、目を閉じて息で合わせるようなアドバイスをするきっかけになったのが、アイコンタクトができなければ息を聴くという言葉でした。
吹奏楽部員のための楽典がわかる本
合奏指導の中で音楽理論の話をするとき、心掛けているのがわかりやすく伝えること。
楽器を演奏する上でとっても大切な部分ではあるけれど、説明するのがちょっと難しく、ついつい専門用語を多用してしまいそうな分野で、過去の僕はそうでした。
吹奏楽作品を多く生み出している広瀬勇人さんの著書で、吹奏楽部員向けにわかりやすく書かれているので、僕はこの本を参考に合奏指導の中で音楽理論、楽典の話をしています。
音楽力を伸ばす「譜読み」の基本〜楽譜攻略の13ステップ
お次はこちら。譜読みの基本をとってもわかりやすく解説した一冊で、これは初心者指導やパート練習、個人レッスンの中でとても役に立っています。
特に口を使って声に出して読む、手を叩く、そして口と手を合わせていくなど、つい飛ばしてしまいそうな部分をしっかり押さえた一冊で、リズムがわからないという相談を生徒から受けたときは、この本を参考に解説をしています。
脱・銅賞バンド大作戦!〜今日からできる54の方法
吹奏楽指導をやりたい!という思いを胸に大学の図書館で見つけた一冊で、学生時代は図書館に通い、吹奏楽指導関連の本をたくさん借りていました。
銅賞を抜け出すために何をすれば良いか?というわかりやすいタイトルが目を引き手にしました。
まさに、今からできる部活動の意識改革、運営面の見直し、練習の向き合い方を書いた本で、ビジネス書に近い書かれ方をしています。一生懸命練習しているという面だけでは解決できないヒントがあるかもしれません。
吹奏楽指導をするのに勉強になった本:音楽以外の書籍
次は、音楽以外の分野の本。
音楽指導のヒントはさまざまな分野にも広がっていると感じています。
僕はビジネス書や自己啓発書、エッセイなどが好きでよく読んでいるのですが、その中で吹奏楽指導に役に立った本を紹介していきます。
キャバクラ嬢の作法 お客さまから感謝され月収100万円手に入る7つのルール
まずはキャバクラの世界から一冊。この本に出会ったのは洗足学園の学生の頃で、当時いろんな分野の本に興味を持っていたときに見つけた本です。
相手の良いところを見つけて伝えるというのは実は難しいもので、褒める、喜ぶ、味方になるということで相手は自信を取り戻すというメッセージは音楽指導にも繋がること。
僕の指導スタイルの基盤の一つになった一冊。
この本を紹介すると驚かれますが、まずは読んでみてください。
体罰のすすめ 子供が社会に出て困らないために
まず先に書いておきますが、体罰を肯定しているわけではありません。
だけれども、今の日本の風潮に少し疑問を感じるところがあります。
それは、頭ごなしになんでも「ダメ」とバツをつけてしまうこと。
体罰は確かにダメだと思うけど、「昔だったら殴られてた」なんて言葉を耳にするってことは体罰が容認されていた時代、体罰を良しとしていた時代があったわけだよね。
体罰はダメと否定をする前に、その時代の価値観に触れてみたことってある?
まず否定をする前に、それらが良しとされていた時代の価値観に触れてみようと思い手にした本。
確か絶版になっており中古で入手したかなり古い本です。
やめないよ 三浦知良
日本サッカー界のスター、三浦知良選手のエッセイ「やめないよ」
今も現役であり続けるキング・カズのサッカーに対する熱い思いが書かれた本で、カズのこれまでの数々の行動に心を動かされて読んだ本。指導者としての精神面を成長させてくれる一冊でした。
カズ語録 不屈の魂が身につく218の言葉
キング・カズといえば僕が幼稚園、小学生の頃にヴェルディ川崎で大活躍したスーパースターでした。小学生の頃はサッカー少年だったのでカズダンスを踊りおやつにJリーグチップスを食べ、Jリーグのカップラーメンを買い缶バッジを集めてJリーグカレーで子供がラモスに変身するCMが大好きでした。
そんなサッカー少年の憧れだった選手のかっこよさといったらもう最高です。
カズみたいなサッカーへの熱い思いを吹奏楽に捧げたいとそんな思いで買った本。
吹奏楽指導を仕事にするために参考になった本
吹奏楽指導に関わる仕事がしたいといっても「OK!じゃあよろしく!」とすぐにできるわけではありません。
まず僕であればコントラバス奏者である他、コントラバスのレッスンをしているということを認知されなくてははじまらないし、コントラバスの指導を必要としている人がいないと話は成立しません。
先ほど紹介した書籍、脱・銅賞バンド大作戦!ではありませんが、一生懸命やっていたらいつかという保証はないのです。
一生懸命努力していたら、誰かが見てくれていることもあるなんですね(実は運ゲー)
なので、よく耳にする言葉ですがこれだけだとギャンブルなんです。
じゃあ、どうすれば良いか。
自らやりたいことは口に出す、発信をする、そして知ってもらうこと。
厳しい言い方かもしれないけど、どれだけ頑張っても、努力をしても、知られていなければ存在しないようなものなのです。
吹奏楽指導をしたいと思ったら、音楽指導の勉強やさまざまな分野から学びを得ると同時に、自らの存在を発信して行くことが必要不可欠です。
ここから紹介するのは、吹奏楽指導者として活動の幅を広げていこうと思ったときに参考にした本です。
革命のファンファーレ 現代のお金と広告
まずはキングコングの西野亮廣さんの著書、革命のファンファーレ。
僕は2017年ごろからブログやTwitterを駆使して活動の幅を広げるということをやってきましたが、活動のベースとなっているのはキングコングの西野さんで大きく影響を受けた人の一人です。
少し前の本になりますが、今でも十分活用できる一冊でフリーランスとして自分の名前で仕事をしていく上で知っておきたいノウハウがたくさん詰まっています。
新世界 西野亮廣
こちらもお笑い芸人、西野亮廣さんの著書。語りかけるような文章にこれまでのキャリアを振り返るような内容と合わせて、今の日本に強く感じる人と違うことをする人への批判に対しての冷静な分析、お金や信用に対しての考え方。そして多くの挑戦と失敗、批判を浴びてきた西野さんが思う今の社会における具体的な生き残り方戦略など、個人の名前で仕事をしていくフリーランスとして一度は読んでおくと良いと感じる本。
死ぬこと以外かすり傷
幻冬社の編集者・箕輪厚介さんの著書で、サラリーマン編集者として働き数々のベストセラーを生み出しながら、オンラインサロンや全国各地での講演会などさまざまなことを手がけていく箕輪さんの熱量に触れられる本。
疾走感あふれる心地よさと熱量が活動の幅を広げたいと思っていた自分に突き刺さりました。
2018年に神奈川県進出計画と打ち出し神奈川県に仕事の幅を広げたいと思っていた頃は、ひたすらこの本を読み、車の中では箕輪さんの出ているYouTubeの動画を流し、オーディオブックでも聴き、ひたすら箕輪厚介という一人の人間に憑依していました。
こちらは漫画もあります。
ビジネス教養 行動経済学
吹奏楽指導をする中で心理学の分野に興味を持ち、心理学の勉強をする中で見つけた行動経済学の本。心理学と経済学を掛け合わせた一冊で、人間の非合理的な意思決定を学び部活動運営の参考にしてみようと読んでいる本です。部活動運営の他、ホームページの作り方、レッスンメニューの構築方法などさまざまな場面で役に立ちそうな一冊です。
指導経験を足し算で積み重ね、掛け算で知識を広げる
吹奏楽指導において参考になった本はたくさんありますが、ここで紹介した本は吹奏楽指導をやりたい!と思った頃から今に至るまで読んできた中で多く読み返した本たち。
吹奏楽が好き!という気持ちを持ちつつも弦楽器を専門として指揮を振った経験もあまりなく、吹奏楽の指導なんてやったことのない当時の僕が、吹奏楽指導をやりたいと思いまず動いたのは本を読むということでした。
音楽だけでなくさまざまな分野の本や価値観に触れてみると、どんどん世界が広がってくる。
- 指導経験は足し算でコツコツと積み重ね
- 自分の好きや興味のある分野で触れたヒントを掛け合わせて
- 知識や言葉の引き出しを広げていく
僕はこのステップで吹奏楽指導者というキャリアを広げ、2022年はたくさんの方々が声をかけてくださり年間40校のレッスンに関わらせていただきました。
といっても、まだまだ学びの途中であり勉強を続けていく身です。
だけれども、どんな過程であっても自らのことを発信することはとっても大切。
またここから頑張っていこうと思います。
吹奏楽指導に参考になった本、ぜひ皆さんも教えてください!