吹奏楽におけるコントラバスの魅力を全力で語ってみた

明日のためのレッスンノート(vol.15)

こんにちは!コントラバス奏者の井口信之輔です。

10月から毎週更新を続けてきた『明日のためのレッスンノート』も今年最後の更新となりました。

コントラバスを弾くにあたって知っておきたい知識の話から、講習会でお話をする基礎の話、そしてコントラバスの運指表に基づいた12のポジションの解説へと進めてきました。

Twitterでも「レッスンノート、とても役に立っています!」と声をかけてくれることもあり、とても嬉しく思いました。

来年もより中身の濃いレッスンノートを書いていきたいと思いますので、よろしくお願いします!

 

さて、今年最後のレッスンノートは番外編!として、Sarahahや質問箱でもメッセージをいただいた、吹奏楽におけるコントラバスの魅力について書いていきます。

吹奏楽において唯一の弦楽器であるコントラバス、その魅力は一体なんなのか。

吹奏楽を愛するコントラバス奏者の僕と、Twitterで♯げんばすの魅力を付けてつぶやいてくれた人たちの声を載せながら、お話していきたいと思います。

それでは、今年最後のレッスンノートを開いていきましょう!

実はチューバの先輩?コントラバス

そもそも何でコントラバスが管楽器の中にいるの?

実は、遠い昔からコントラバスは管楽合奏の中に参加していたのです。

まずは、コントラバス誕生の話を少し。

コントラバスはこうして生まれた(簡単に)

コントラバスは16世紀にヴィオール族の最低音楽器であるヴィオローネから発達しました。

そして、その後の流れをまとめてみると

  • 17~18世紀には構造、チューニング法、弦の数などが異なる様々なタイプの楽器が登場
  • 19世紀にはヴィオローネにあったフレットがなくなり
  • 20世紀のはじめに弦の数も今と同じ4弦に落ちついたと言われています。

詳しくはこちら

縁の下の力持ち! 音楽を支え、ときに優しい音色でソロを奏でるコントラバスの魅力

チューバの誕生日

コントラバスは16世紀にヴィオローネから発展したことに対し、吹奏楽でコントラバスとともに低音域を担当するチューバは、誕生日が1835年9月12日と言われています。

ここまでをまとめると、コントラバスが今の形に落ち着いたのは、チューバ誕生より後ですが、チューバが誕生する前からコントラバスは、管楽アンサンブルの中には参加していたという流れがわかると思います。

有名な作品としては、1783〜1784に書かれた、モーツァルトの管楽セレナード第10番 変ロ長調「グラン・パルティータ」でしょうか。

吹奏楽におけるコントラバスの魅力

管楽合奏の中で低音域の音量を充実させたければ、人数を増やせばきっと解決するでしょう。

吹奏楽作品の中にはコントラバスが編成に入ってない曲、オプションパートの曲もあるので、必ずしも必要であるとは思いません。

しかし、コントラバスが入ることによって弦楽器の響きが加わりサウンドがガラリと変わるとはよく耳にするものです。

言葉だけで表現するのは難しいですが、吹奏楽にコントラバスが入ることを温かい紅茶にミルクを入れたようになるとイメージしています。

透き通った紅茶にミルクを注ぐとカップの中でふわっとミルクが広がりますよね。

ミルクの甘みでまろやかになった紅茶。

でも、それは飲んだ人にしか分からない。

音楽も同じで、吹奏楽にコントラバスが入るとどうなるかは言葉だけでは伝えきれない、実際に演奏会に足を運んで演奏を聴いて、はじめてその必要性を理解できるのかなと思っています。

  • コーヒーや紅茶にミルクを入れた味
  • 入浴剤を入れたお風呂(入浴剤のこなこそ弦の響き)
  • ラーメン二郎にニンニクを入れたときのウマさ(オプションですけど弦バス入れますか?)
  • 中本の蒙古タンメンを食べたときに感じる、辛さの中に隠れた旨さ

吹奏楽におけるコントラバスは、そういったものに近いと思っています。

あれ、違う?

小編成におけるコントラバスの魅力

吹奏楽コンクールでは30人以下で出場するB部門を小編成の部としています。

こうした少人数のバンドの中に、きちんと基礎を身につけたコントラバス奏者が一人いるだけで、周りの吹きやすさが違ってきます。

また、人数が少ない場合はファゴットやバスクラリネットの楽譜を演奏することもあります。

移調楽器の楽譜を弾くとなると読み替えが大変ですが、指揮者と相談しながら「ここはアルコ(弓)で弾いた方が良いか、ここはピッチカート(指)の方がいいんじゃないか」と工夫していくことによって、その曲をより面白いものにできるのもコントラバスならではの魅力だと思っています。

もちろん、コントラバスはコントラバスの楽譜を弾くという考えもありで、バスがいない曲があるからこそ、コントラバスが入ったときにその必要性を感じることもあるでしょう。

大編成におけるコントラバスの魅力

吹奏楽コンクールではB部門に対し、55人以下で出場する大編成の部をA部門としています。

編成が大きくなるとコントラバスの人数も2本、または3本と増えていくことが多いですよね。

大編成で、ある程度の音量となればコントラバス単体の音は聴こえないかもしれませんが、吹奏楽の中で大切なのは弦楽器の響きを加えることと考えると、低音セクションの中でしっかりと聴こえていたら十分だと考えています。

クラリネットオーケストラでの体験談

洗足学園の学生だった頃、クラリネットが70名ほどいるクラリネットオーケストラに参加していました。

クラリネットがオーケストラの各パートを担当し、そこにコントラバスが2〜3本入ります。

クラリネットがこれだけ集まった中でも大音量となればコントラバスの音は聴こえないと思っていましたが、同じ低音域を担当していた仲間に話を聞くと

  • 後ろから弦の響きが聴こえてくると、とても吹きやすい
  • 管楽器はブレスを取るので、そうしたときに後ろからコントラバスが音を出してくれているととても楽に吹ける

そんなことを話してくれました。

先ほど書いた低音セクションの中でしっかりと聴こえていたら十分という考えは、洗足学園のクラリネットオーケストラを通して学びました。

なので、大編成のときはときにチューバに任せ、ときにコントラバスがサポートする。

そんな考えに至りました。

これを聴け!吹奏楽作品でコントラバスがオイシイ曲

吹奏楽作品の中にも、コントラバスが大活躍する曲があります。

ここでは、僕が大好きな曲を2曲紹介してみたいと思います。

  • ベルト・アッペルモント/交響曲第1番「ギルガメシュ」

ベルギーの作曲家、アッペルモント初の交響曲。

人類最古の世界文学と言われる「ギルガメシュ叙事詩」を題材にした作品で、第1楽章の冒頭から5弦コントラバスが大活躍します。

吹奏楽の響きで蘇る人類最古の世界文学。ベルト・アッペルモント/交響曲第1番『ギルガメシュ』

  • ヤン・ヴァン・デル・ロースト/交響詩「スパルタクス」

同じくベルギー出身の作曲家ヤン・ヴァン・デル・ローストの作品。

ローストはアッペルモントの作曲の先生にあたる人です。

失われた自由を求め、古代ローマの奴隷や剣闘士たちが起こした反乱を書いた音楽劇。

美しい中間部でコントラバスのピッチカートが響きます。

失われた自由を求めて…古代ローマの剣闘士が起こした反乱を描いた物語/ヤン・ヴァン・デル・ロースト 交響詩『スパルタクス』

楽器ケースが寝袋に?疲れたときはケースで仮眠

コントラバスは大きいので楽器のケースに人が入ってしまいます。

中は楽器を保護するためにクッションが入っているのでフカフカ。

楽器ケースを開いて、靴を脱いで足からケースに入れば寝袋に。

チャックを閉めて目を閉じればもう夢の中。

ツイッターで聞いてみた ♯げんばすの魅力

この記事を書くにあたってツイッターで吹奏楽におけるコントラバスの魅力を聞いてみようと思いました。

そこで思いついたのが『♯げんばすの魅力』というハッシュタグをつけてつぶやいてもらうこと。

https://twitter.com/igu_shin/status/943108610686468097

見切り発車でツイートしてみたら、何人かがつぶやいてくれました。

やっぱり「響き」って大事ですよね!

抱きつくと癒される。

そのまま寝落ちして楽器ごと倒れ込みそうになった後輩がいました。

そうそう、搬入のとき楽!

帰りもいろんなお店に寄れるし最高です。

車みたいに楽器をいじるのも楽しいですよね。

レッスンで、家にあるエンドピンを持ってきてエンドピン弾き比べ大会なんかやりました。

スパルタクス本当に良い、ドキドキするけど。

ドラゴンクエスト1の「広野をゆく」でもピッチカートが大活躍します。

※鍵アカウントの人、載せられずにごめんなさい!

ツイッターではこんな声が上がりました。

つぶやいてくれた方々ありがとうございました!

おわりに

明日のためのレッスンノートvol.15は、吹奏楽におけるコントラバスの魅力を全力で語ってみました。

これまでDMや質問箱でも、吹奏楽の中でコントラバスがいる意味がわかりませんというメッセージを何件かいただいていたので、そうした悩みを持つ人の元にもこの記事が届いてくれたら嬉しいです。

今年は、こうしてレッスンノートを書いて発信したり、言葉だけで伝えるのが難しい楽器の質問を質問箱で答えてみたり、今の自分の手札を発信することに力を入れてきました。

はじめは、まだまだ勉強中の自分が発信なんてと思っていましたが、レッスンに行けばそんな自分を先生と呼んでくれる人たちがいて、楽器を好きになってくれる人がいて、そんな環境でレッスンをさせていただいて、こんな自分でも今持ってる手札を伝えることで誰かの役に立つことができるんだなと感じました。

まだまだ、至らぬところだらけですが、そんな自分でも何かの役に立てると思って、全国にいるパートに自分一人しかいない環境、周りにコントラバスを教えてくれる人がいない環境で練習に励んでいるコントラバス奏者たちの力になれたらと、これからもレッスンノートを更新し続けていこうと思います。

 

2017年のレッスンノートはこれでおしまいです。

来年は1月の2週目からレッスンノートをスタートさせようと思います。

また、一緒に頑張っていきましょう。

何かわからないことがあれば、いつでも連絡してきてください。

答えられることに限りはありますが、何か力になれたらと思います。

吹奏楽におけるコントラバスへの理解と発展を願って。

ABOUTこの記事をかいた人

1987年、千葉県生まれ。 船橋市立葛飾中学校管弦楽部にてコントラバスと出会う。 千葉県立市川西高等学校を経て洗足学園音楽大学へ入学。 在学中より「吹奏楽部におけるコントラバスの現状」に着目し多くの講習会に講師として参加。大学卒業後はフリーランスのコントラバス奏者としてオーケストラ、吹奏楽、室内楽をはじめ楽器製作ワークショップやレコーディングなど多方面での演奏活動をする傍ら、吹奏楽指導者・アマチュアオーケストラのトレーナーとしても活動しており、中でも吹奏楽におけるコントラバスの指導に力を入れている。 これまでにコントラバスを寺田和正、菅野明彦、黒木岩寿各氏に師事、指揮法を川本統脩氏に師事。現在、昭和音楽大学合奏研究員、ブラス・エクシード・トウキョウ メンバー。また、日本アロマ環境協会 アロマテラピーアドバイザーの資格を持つ。