明日のためのレッスンノート

『コントラバスを弾く、すべての人たちへ。』中高生から大人まで、春まで一緒に練習しませんか?演奏活動がもっと楽しくなるための「レッスンノート」をはじめます。

コントラバス奏者、吹奏楽指導者、指揮者の井口信之輔です。

2017年から吹奏楽におけるコントラバスへの理解と発展を願ってというテーマを掲げ、全国の吹奏楽部をはじめとした音楽系部活動でコントラバスを弾く中高生に向けて『明日のためのレッスンノート』と題したレッスンブログを書いてきました。

僕のSNSに届くメッセージの多くは

  • パートは自分一人だけ
  • 周りにコントラバスを教えてくれる人がいない

という地域で音楽活動をしている中高生たちから。

吹奏楽コンクールのオーディションがあるけど誰からも教わったことがない、コントラバスだけパート講師の先生が来ない、外部講師の先生に指摘されたことがわからないなどなど。

そんな全国の中高生たちから届く悩みや相談を聞く中で、誕生したのがレッスンノート。

吹奏楽部でコントラバスを弾くために、知っておきたいことを毎週書き綴っていくことで、全国の吹奏楽部をはじめとした音楽系部活動におけるコントラバスの発展に努めたいと続けてきました。

これまで2017年、2018年、2020年とアップデートしながら書き続けてきました。

忙しさや、全く筆が進まないときもあって二度ほど途中で辞めてしまったこともありましたが、また今年も気持ちを新たに書いていこうと思います。

レッスンノートは、実際にレッスンで伝えている内容を書いていきます

明日のためのレッスンノート(以下、レッスンノート)は僕が実際に吹奏楽部をはじめとした音楽系部活動や受験生、アマチュア奏者のレッスンをしていく中で伝えている内容を順を追って書いていきます。

文章だけで伝えられることには限界があるので、言葉だけで解説して混乱を招いてしまうような部分に関しては省略しつつ、それでも過去に多くのコントラバスを弾く人たちがレッスンノートを役に立ててきてくれたという体験を元に、伝えられることを書いていきたいと思います。

僕が全ページ無料公開している『明日のためのレッスンノート』はもちろん、これまで多くの人たちが練習のパートナーとして活用してきたコントラバスの教則本を参考にしながらも練習していけると思います。

ぜひ、これから少しずつ一緒に練習していきましょう。

吹奏楽部、管弦楽部、弦楽合奏やマンドリン、アマチュアオーケストラに吹奏楽団、きっと他にもいろんな場所でコントラバスを弾いている方がいらっしゃると思いますが、きっと音楽活動のプラスになれると信じています。

さて!前置きはこれくらいにして『明日のためのレッスンノート』2022スタートです!

まずは練習前に、楽器の状態をチェックしよう!

レッスンをはじめる前に、まずは楽器の状態をチェックしてみましょう。

特に部活動で長年にわたり使われてきた楽器は弾きにくいと感じている原因が楽器の状態にあることも多いので、この機会に自分の弾いている楽器の状態をチェックしてみてください。

楽器の状態チェックは1時間あれば十分です。


弦・駒・エンドピンを調整または交換するだけでも弾きやすさが変わる

弦楽器は修理に多額の費用がかかる可能性もあるため、楽器の状態に問題があれば最低限の足回り(弦・駒・エンドピン)だけでも修理できると、弾きやすさがかなり違ってきます。

楽器の状態チェックは、僕もはじめてレッスンに行く吹奏楽部やオーケストラ部で必ず取り組むことで、今回は各部分でチェックしておきたい場所抜粋して紹介します。

楽器に「割れ」や「剥がれ」はないか?

弦楽器は木でできているため、湿度による影響を大きく受ける楽器です。

楽器の板が割れていないか、側面が剥がれていないかを一度チェックすると良いでしょう。

とくに湿度の高い廊下や空調設備のない準備室などに保管してある楽器に起こるトラブルは、接合部分が剥がれてしまっているという状態が多かった印象です。

エンドピンは調整可能か?

コントラバスを演奏するとき、エンドピンという長さが調節できるピンを奏者の身長に合わせて調節していきます。

  • エンドピンのネジが破損して調整できない楽器
  • ピンが曲がってしまっている状態
  • ネジが固くなって調整できない

このような場合は、修理が必要です。

写真は過去にレッスンで見かけて数年ぶりに準備室から出したコントラバスのエンドピンのソケット部分が痛んで折れてしまっていた状態です。

このような場合はソケットごと交換となりました。

エンドゴムはついているか?

以前に「エンドピンのゴムは外した方が良いですか?」という質問を受けたことがあります。

また外部講師の先生から「エンドピンのゴムは外した方が響きが良くなる」と言われエンドピンのゴムを外して弾いている様子を見かけたことがありました。

確かに、エンドピンのゴムを外すことで響きが豊かになることはありますが、中には滑り止めとして取り付けられている場合もあるので、まず自分の楽器のエンドピンはどのようなタイプなのかを知っておくことが大切です。

コントラバスのエンドピンは大きく分けて2種類のタイプがあり、ゴムを外して演奏できるのは「先端が尖っていて床に直接刺して演奏できるタイプのみ」です。

この写真は学校の楽器に多くあるエンドピンで、よく見ると先端が丸くなっているのがわかると思います。

先が丸くなっているエンドピンに滑り止めとして付いているゴムを外すと、演奏中に楽器が滑ってしまい大変危険なので、覚えておいてください。

もし、エンドピンのゴムに穴が空いていたり、ゴムが付いていない場合は近くの楽器店に売っていることが多いので探してみてくださいね。

「その弦いつ張り替えた?」最低限チェックしておきたポイントはここ!

コントラバスの弦は高価ですが消耗品です。

吹奏楽部でよく耳にするのは弦は切れたら張り替えるということ。

コントラバスの弦は1〜2年で張り替えるのが理想と言われています。

消耗品である弦は、その状態によって怪我をしてしまうこともあるので最低限チェックしておきたいポイントを紹介します。


ささくれや地金が見えていないか

弦を押さえる部分が写真のような状態になっていないかチェックしてみてください。

指板に手を添えて、上から下へと弦を撫でるように触ってみてください。

ザラつくような感覚、何か手に引っかかる部分はありませんか?

もし、このような状態であれば弦を交換した方が良いかもしれません。

実際に見てみないと具体的なアドバイスはできないのですが、弦にザラつきを感じたり、チクチクという痛みが感じられたら怪我をしてしまう可能性があるので、顧問の先生やパート講師の先生にげんの交換は可能かと相談してみると良いでしょう。

今すぐできる!駒の状態もチェックしよう

最後は駒の状態をチェックしていきます。

  • 弦を押さえるのが大変
  • 音程が定まらない、
  • 押さえている指が痛くなる

こうした悩みの原因が楽器にある場合、駒の状態に問題あることが多いと感じました。


弦高は高すぎないか

弦高ってなに?

弦高とは、指板と弦の隙間のこと。

弦高は◯◯でなければならないという決まりはありませんが、弦高の高さは楽器の弾きやすさに大きく影響します。

多くの教則本に書かれている目安は

G線10mm、D線12mm、A線14mm、E線15mm前後

指板の切れ目に定規を当て、各弦までの間を測ってみてください。

駒に反りがないか、また駒の足は隙間はまくまっすぐ立っているか

駒が上向きに反ってしまったり、駒の足がまっすぐ立っているかもチェックしたいポイント。

弦の張力によって支えられ立っているだけなので、楽器をぶつけてしまい、まっすぐ立っていた駒が左右に動いてしまうことも多くありました。

駒が松ヤニの粉で汚れてしまっているのはよくない例です。

気をつけよう!駒の扱いには十分注意

先ほど書いたように、駒は弦の張力によって支えられています。

なので、駒が左右にズレていると思って弦を緩めて元に戻そうとすると、楽器の中にある魂柱が倒れてしまう危険性があります。

もし、駒がズレてしまっていた場合は、顧問の先生を通し楽器屋さんに診てもらうことをおすすめします。僕も、レッスンに行った際に多少のズレを直すことはありますが、駒に問題があると感じたら、顧問の先生へ報告し修理または調整をお願いするようにしています。

以上のポイントが楽器の状態でチェックしておきたい部分です。

今回のまとめ

まずが自分の弾いている楽器の状態をチェックするというところからはじまりました。

皆さんの楽器はどのような状態でしたか?

今回は各部分でチェックしておきたい場所を抜粋して書いてきましたが、もっと詳しく知りたい!という方は、全ページ無料公開しているコントラバスの教則本『明日のためのレッスンノート』を活用してください。

また、弦楽器のメンテナンスについて詳しくなりたい!

という方にはこちらの本がおすすめです。

一冊持っておくと、コントラバスをはじめとした弦楽器のあらゆる部分のメンテナンスについて解説されています。

今回のレッスンノートはここまで。

次回から、どんどん音を出していきましょう!

コントラバスのレッスン、質問や相談はいつでも受け付けています

明日のためのレッスンノートを読んでいく中で生まれた疑問、質問や相談は僕の各SNSアカウント、またはLINE公式アカウント『コントラバス研究室BASSROOM』でお答えしています。

これまで100人以上の中高生やアマチュア音楽家の方々の質問に答えてきました。

 

おまけ:著者の紹介 井口信之輔(いぐちしんのすけ)ってどんな人?

まずは、著者の紹介をしていきます。

僕は船橋市立葛飾中学校の管弦楽部でコントラバスと出会い、千葉県立市川西(市川昴)高校で吹奏楽部に入部し、洗足学園音楽大学でコントラバスを学びます。

幼少の頃から吃音があり、改まった場面で喋る時に言葉が出てこないようなことがありました。

元々はプロのオーケストラ奏者を目指して音大に進み練習に励んでいましたが、人前で楽器を弾くときに極度のあがり症に悩むことになり、その時の心理状態が吃音で言葉が出てこない時と同じだと感じ、これは長期戦になると思い、自分を活かせる場所はどこか?と探すようになります。

吹奏楽指導に興味を持ちったきっかけは、2008年に開催された千葉県立市川西高校吹奏楽部第21回定期演奏会を聴いてから。

そこで演奏された「ナスカ」ー地上に描かれた遥かなる銀河/八木澤教司の演奏を聴き「俺もバンド指導やりたい!」と思ったところにはじまります。

2016年から本格的にSNSでの発信はじめ、全国の吹奏楽部でコントラバスを弾く中高生からの相談をきっかけにブログで吹奏楽部でコントラバスを弾くために知っておきたい知識を発信し、演奏家としてインプットしたことを指導者としてアウトプットするサイクルを繰り返し、現在に至ります。

近年の指導実績

主な指導実績はプロフィールに載せていますが、ここでは最近の指導実績を紹介します。

指導校

今年は中高、合わせて吹奏楽部から弦楽合奏、オーケストラ部まで約33団体。

主に関東圏内(東京・神奈川・埼玉・千葉)にオンラインレッスンで地方の学校の指導に関わらせていただきました。コントラバスのレッスンから合奏指導まで幅広く指導にあたっています。

また、今年から関東圏内の公立中学校で部活動指導員として吹奏楽部のサポートをしています。

指揮者、トレーナー

よこはま月曜吹奏楽団(指揮)
初心者と子どものためのオーケストラpìccolo(指揮・トレーナー)
シンフォニックアンサンブル・ブーケ(弦楽器トレーナー)
アルモニオーゾコンチェルト(トレーナー)
オオルリ弦楽アンサンブル(トレーナー)
平山音楽院オーケストラ(2019年弦楽オーケストラ、2021年子供の弦楽合奏の指揮・指導を担当)
市川ウインドーケストラ第5回演奏会(指揮)

入賞・合格実績

第1回中学生、高校生の為のコントラバス・ソロコンテスト
中学生部門:金賞 高校生部門:金賞、銀賞

第2回中学生、高校生の為のコントラバス・ソロコンテスト
中学生部門:金賞、銀賞 高校生部門:金賞

2020年度:高等学校音楽科合格1名

部活を引退した後もレッスンで出会った生徒と繋がっていることが多く、進学や就職をしてそれぞれの場所で活躍している姿を見るのが楽しみの一つです。

夢、そしてそれぞれの目標に向かう姿を応援しています!

好きな食べ物は立ち食いそば、趣味は釣りとドライブ、小田急線。

今は心理学の勉強をしています。

ざっと書いてみましたがこんな人です。

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イグチシンノスケ

千葉県出身。 船橋市立葛飾中学校管弦楽部にてコントラバスと出会う。 千葉県立市川西高等学校吹奏楽部を経て洗足学園音楽大学へ入学。 2022年春学期東京音楽大学指揮研修講座修了。 在学中より「吹奏楽部におけるコントラバスの現状」に着目し、多くの講習会に講師として参加。大学卒業後はフリーランスのコントラバス奏者としてオーケストラ、吹奏楽、室内楽をはじめ楽器製作ワークショップやレコーディングなど多方面での演奏活動をする傍ら、吹奏楽指導者・アマチュアオーケストラのトレーナーとしても活動しており、中でも吹奏楽におけるコントラバスの指導に力を入れている。 これまでにコントラバスを寺田和正、菅野明彦、黒木岩寿各氏に師事。指揮法を川本統脩、三河正典各氏に師事。よこはま月曜吹奏楽団指揮者。初心者と子どものためのオーケストラpìccolo音楽監督。板橋区演奏家協会理事。取手聖徳女子高等学校音楽科非常勤講師。

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