今年は吹奏楽コンクールが2年ぶりに開催されました。
緊急事態宣言や、まん延防止等重点処置の影響で多くの制約がある中での活動。
それでも生徒たちは創意工夫し練習を重ねコンクールに挑戦してきました。
そんな姿を見て、僕もこれまで通りの指導と併せていろんな工夫してみようと考えました。
コロナ禍における吹奏楽指導
コロナ禍における吹奏楽指導は
- 練習時間が限られている
- レッスンに行ける機会が少ない
- 緊急事態宣言などの影響でレッスンが中止になる可能性がある
といった状況の中でした。
そんな中、指導する側として何ができるかを考え、今年は3つ新しい試みを取り入れました。
思いついたらとりあえずやってみる。
そしてやりながら改善し、手応えを感じたら採用し上手くいかなかったら改善する。
そんな感じでコロナ禍のレッスンで取り入れた3つのことを書いていきます。
YouTube限定公開動画
まず、コロナの影響でレッスンの中止、延期が続く中で初心者のコントラバスの生徒を教える機会がありました。周りに先輩もいないので独学での練習を頑張っていました。
しかし、あと1ヶ月でコンクール。
活動時間も限られていて、2時間ほどのレッスンで何を伝える?
まず楽器の扱いから基礎基本を伝え、曲の練習。
曲の練習を通して基礎の必要性を伝え、楽譜にボウイングと指番号を書き込んで終了。
そして、アフターフォローとしてYouTubeで課題曲と自由曲を解説した動画を作るという試み。
アカウントは僕の全然更新していないYouTubeチャンネル。
この先、いつレッスンが中止になるかわからないのでYouTubeを使って曲の練習ポイントを解説して各校毎に動画を制作。練習のヒントを親指に届け、いつでも見られる状態にしました。
YouTube動画を作るときに大切にしていたこと
YouTubeの動画を作るときは、以下のことを大切にしていました。
- 外部講師はあくまで部外者であることを忘れない
- 必要以上に教えすぎない
- 吹奏楽指導は信頼関係の上に成り立っていることを忘れない
まず、僕ら外部講師はあくまで部外者。
なので、まずYouTubeの動画でアフターフォローをすることを顧問の先生に提案します。
そして、先生から許可をいただいた上で動画を作り限定公開で公開し、動画のリンクは顧問の先生経由で伝える。
レッスンの予定などを直接生徒とやりとりすることもありますが、こうした新しい試みは必ず顧問の先生を通して行うということを大切にしてきました。
そして、レッスン時間や回数、経験年数や曲の難易度などを総合的に判断して、フォローがあった方が生徒たちにとってプラスになると思った時だけ動画を作る。
良かれと思って何かをやったり教えすぎるのは良くないし、相手が望んでいるかわからないことをやるときは、ここの線引きがとても大切。
動画は、演奏の中で学校名や生徒の名前を呼んだりしていたので限定公開だけどシェアは自由。
なので顧問の先生の視聴はもちろん、パートで共有してもいいし使い方は自由。
そこには、吹奏楽におけるコントラバスの役割をいろんな人に知ってもらうきっかけになればという思いもありました。
ひたすら録音を送ってもらってコメント
僕はコントラバスパートの指導のほか、全体を見る合奏トレーナーとしても吹奏楽部に関わることがあります。
音楽室や体育館で録った課題曲や自由曲の録音を送ってもらい、ひたすらコメント。
長文になることが多いですが、LINEやメールで審査員になったつもりで改善点や良かった点を書いていき、コメントは顧問の先生を通して生徒たちにシェア。
これは僕自身も何度も録音を聴き直し改善点を伝えていくのでとても良い経験となりました。
録音へのコメントで大切にしていたこと
録音にコメントを書くときに大切にしていたのは、言葉の選び方です。
僕は「〜しましょう。」とか「〜してください。」とはあまり言いません。
指摘のときは、考える余白を作るようにしてみて「〜してみたら?」とか「〜してみるといいかも。」というような言葉を選ぶことが多いです。
なので、コメントもあくまで録音を聴いた感想で生で演奏を聴いているわけではないので「〜が気になったけど、明日の練習で確認するといいかも」というような伝え方をしていました。
それから、よくなったところはどんどん褒めるコメントを入れていきます。
メモを渡す
最後はメモ。
これは、僕が習慣化させているメモを合奏中に生徒に向けて書いて渡すことで
- 合奏中やホール練習の中で合奏を止めてまでいう指摘ではないこと
- ここを改善すると良くなるという部分
これらをメモ帳に書いてそっと譜面台に置いておくということ。
そうすると、生徒はメモ帳を見ながら吹き、練習の中で改善される傾向にありました。
メモを渡すときに大切にしていたこと
メモには指摘だけでなく、起きている原因と解決案、こうした場合はどんな練習をすれば良いか?やアンサンブルの極意なんかも書いたりして、練習のヒントやアンサンブルの楽しさを伝えられたら良いなとやっていました。
ただ指摘を書くだけでなく、読んでいて面白い、「なるほど!」と思うようなメモを書く。
井口メモ例
指揮に合わせない、指揮と合わせる。
じゃあ何を合わせる?←ここを考えてみる!
呼吸、テンポとか。
これはメトロノームでの練習も同じで、メトロノーム「に」ではなくメトロノーム「と」合わせる。
限られた時間しかできない中、どのタイミングで合奏を止めるかはとても考えます。
だからこその、メモ帳でした。
おわりに
今日はコロナ禍の吹奏楽指導で実験的に取り組んだ試みを3つ書いてきました。
夏のコンクールレッスンは演奏家としての経験や学びをアウトプットし尽くす絶好の機会。
また、一年間コントラバス奏者としてたくさんの経験を積み、日常にあふれるいいね!と思う出来事方アイディアを生み出し、コロナ禍における吹奏楽指導をより良いものにしていきます。
それでは、また。