今年も吹奏楽部のレッスンがはじまりました。
また一年かけて多くの学校とお付き合いできること、心の奥底から最高に楽しみにしています。
さて、先日は基礎合奏を見学させていただく時間がありました。
先生から少しお時間をいただきアドバイスを投げたのですが、その中でとても効果があったのが「コントラバスの弓の動き」と合わせるリズム練習です。
基礎合奏で指揮者を置かない場合、ハーモニーディレクターが鳴らすクリック音と合わせて音を出すスタイルを多く見ますが、この状態だとテンポが視覚的に見えてきません。
テンポが視覚的に見えてこない状態でリズムの練習をした場合、どこに合わせて良いかの基準がわからなくなるのかなと思って、コントラバスの弓の動きと合わせてみる方法を提案してみました。
コントラバスの基本的な奏法を身につけた上でのアイディアです。
視覚的にテンポを「キャッチ」しよう
吹奏楽で弾いていて感じるのは、視覚的にテンポをキャッチしやすい楽器が少ないこと。
指揮者、ティンパニ、そしてコントラバス。
もっと詳しく書けば、前にいるバリトンサックスの背中の動きやチューバのブレス、クラリネットの指の動きやコンサートマスターの動きなど数え切れないほどありますが、かなり専門的な領域に入ってくるのでパッと出てくるのはこの3つでしょうか。
この中で、コントラバスを串に刺して経験談を話してみます。
指揮者を置かないハーモニーディレクターのカウントだけを使った基礎合奏で、リズム練習の縦が合わないときに視覚的に合わせる基準としてコントラバスの生徒に前で弾いてもらって「弓の使い方、量、スピード」と合わせてみたらピッタリ揃ったから吹奏楽におけるコントラバスの弓の動きって大事。
— 井口 信之輔 / コントラバス (@igu_shin) January 5, 2019
テンポを「耳」で聴くのか「目」で見るのか
吹奏楽部でよく耳にする「ハーモニー練習の楽譜を使ったリズム練習」
例えば、B-durのカデンツ(Ⅰ→Ⅳ→Ⅴ→Ⅰ)を4拍ずつ全音符で伸ばしたあと、いろいろなリズムで吹くアレです。
何度か聴いて、八分音符の形が合わない時に「どこを基準に合わせてる?」と尋ねてみました。
僕もプレイヤー目線で考えてみると指揮者を置かない基礎合奏の時、イヤホンではなくバンドの音の中から聴こえてくるクリック音を頼りに合わせるのはちょっと難しいかなと思いました。
あれ、あまり音が多すぎすとストレスになってしまうのでクリック音の音量って大事ですよね。
なので、コントラバスの弓の動きを基準にしてみたらどうだろうと思いました。
テンポを耳で聞くのではなくて、目で見られるようにする。
吹奏楽におけるコントラバスは基礎合奏で活躍してくれました。
弓の使い方=息の使い方と考えてみる
全てがイコールになるとは思いませんが、コントラバスの弓の使い方は息の使い方にかなり似ていると考えています。
なので、指揮者の位置にコントラバス奏者を一人置いて、コントラバスの弓の使い方、つまりボウイングを基準にリズム練習をしてみました。
まず、テンポにもよりますが四分音符は弓を全部使って、つまり全弓で弾いていきます。
そして、八分音符、十六分音符、三連符と弓の使う量が変化していきます。
テンポにあった弓の量を考えてみる
弦楽器は、そのテンポにあった弓の量があるので弓の量が多すぎたらリズムは崩れてしまいます。
これは、視覚的にテンポをキャッチできる振り子式メトロノームを使ってみると、そのテンポにあった弓の量を肌で感じられると思います。
各小節の最後はダウン(弓元から弓先)で終わるので、次の小節はまたダウンから弾き直します。
これを、基礎合奏の中で提案してみたら、リズムがピタリと揃いました。
なるほど!これは勉強になりました。
おわりに
吹奏楽におけるコントラバスの役割の一つとして、視覚的にテンポを伝えるということがありますが、これを改めて実体験できる、とても良い時間でした。
協力してくれた吹奏楽部の皆さんありがとう!
コントラバスが複数いる場合も、前に出てくるのは一人で良いかもしれませんね。
前で弾く場合は、自信を持ってオーケストラのコンサートマスターのような気持ちで弾いてみてください。
今年は、僕も基礎合奏を見る中でこのスタイルを研究してみようと思います。
もちろん、ハーモニーディレクターの鳴らすクリックに合わせてリズム練習をするというスタイルも必要ですが、何度かやってみて「合わないな」と感じた時には、こんな方法も試してみてください。
今年は、レッンを通して「良かったよ!」と感じたアイディアもシェアしていこうと思います。