先月からオペラ『カーリュー・リヴァー』の稽古に参加しています。
『カーリュー・リヴァー』は、『シンプル・シンフォニー』や『青少年のための管弦楽入門』で有名なイギリスの作曲家ベンジャミン・ブリテンが作曲した教会で上演されるためのオペラで、ブリテンが1956年に日本を訪れたしたときに鑑賞した能楽作品『隅田川』のお話がベースになっています。
日本の伝統芸能と西洋音楽が融合した作品と書くとイメージしやすいでしょうか。
『カーリュー・リヴァー』は架空の川
オペラのタイトルになっている『カーリュー・リヴァー』は架空の川。
能楽作品『隅田川』のお話をキリスト教の寓話に置き換え、物語の舞台は中世ヨーロッパの修道院へと移し、4人の主要人物とコーラス、そして指揮者を置かない小さなオーケストラが物語を進行させます。
指揮者を置かずに音楽を進めるため、楽譜にはどの奏者がアンサンブルの主導権を握り音楽を進めていくかの指示が細かく書かれています。
曲中には複数のグループが別々のテンポで演奏したり、別れたグループが再び集合するまで音を伸ばすアドリブ的な指示、音楽がまた一つのアンサンブルに戻るタイミングなどたくさんの情報が書かれており、初めて見るような記号もありました。
「カーリュー記号」って知ってる人この指とーまれ!
アンサンブルの聴きどころ!
『カーリュー・リヴァー』はオーケストラの編成も特殊で7人の奏者によって演奏され、ハープは琴を、オルガンは雅楽で用いられる笙(しょう)をイメージしているようで、音楽にも所々に日本ぽさを感じます。
他にも、勇ましいホルンの音で隅田川の渡し守りが登場し、西国から下ってきた狂女をフルートが表現したり、コントラバスをはじめとする各楽器が舟に乗って隅田川を下る様子を演奏しているのも聴きどころ。
前半は、物語とともに静かに音楽が進んでいきますが、誰かがどこかで祈りを捧げたときに音楽が大きく動き出すシーンはとても感動的です。これはどの場面でしょうか。
舞台の見どころ!聴きどころ!
ブリテンが日本で能楽作品『隅田川』を見て感銘を受け作曲したオペラ『カーリュー・リヴァー』に能楽の演出を融合させたのが舞台に見どころ、そして聴きどころ。
今回は物語の舞台を隅田川として日本語上演。
オペラではテノール歌手が歌う物語の主役「狂女」の歌を能楽の謡で演じ、舞台衣装は能装束、所作も能楽の舞を取り入れるなど舞台の見どころもたくさんだ。
稽古で初の能楽堂へ。松の絵がかっこよすぎる!そして入り口にある蚊取り線香の匂いが最高だ。 pic.twitter.com/rXm7yPKQDn
— 井口 信之輔 / コントラバス (@igu_shin) September 10, 2018
上演は9月15日(土曜日)つくば市にあるノバホールにて!
ブリテンのオペラに能楽の演出を加えた今回の『カーリュー・リヴァー』は今週末9月15日(土曜日)茨城県つくば市にあるノバホールにて上演されます。
座席も埋まりつつあるとの嬉しい情報を耳にしつつ、まだお席も残っていますので興味のある方はこちらからチケットお求めください
日本の古典芸能と西洋音楽が融合した舞台、ぜひ足をお運びください!