吹奏楽部のコントラバスパートを指導して耳にする「ロングトーン」という言葉に思うこと。

吹奏楽におけるコントラバスへの理解と発展を願って毎週更新『明日のためのレッスンノート』

今年もこれまでと変わらずパートは自分一人だけ、周りにコントラバスを教えてくれる人がいないという環境で練習に励む人たちへ向け「胸を張って先輩になる」ことを目標に書いていきます。

吹奏楽という言葉が多く出てきますが、オーケストラ部や弦楽合奏、ギターマンドリンなどコントラバスが編成に入っている音楽系部活動の人に向けても伝えていきたいというのが僕の思い。

アンサンブルを楽しむ中でコントラバスを弾くために知っておきたい最低限の基礎・基本を書いていくので、良かったら一緒に勉強していきましょう。

今日のお話は「ロングトーンという言葉に思うこと」

これまで解説してきた右手の練習の総集編にもあたります。

今日は教則本の5ページから始まり、最後に左手のトレーニングを解説している7〜8ページの練習をしていきます。

前回の復習「何もしません」と唱える移弦の練習

開放弦を使ったボウイング練習にはじまり、先週は二つの弦を行き来する移弦の練習に触れてきました。

移弦をスムーズに行うためには、移弦の前に休符を入れて弓だけを動かし弓の毛が次に弾く弓を捉えたら弾くという練習をして、最後は休符をなくしてスムーズに移弦をしていくという練習の解説をしました。弓の毛を浮かせたり、弦から完全に離れてしまわないように、心の中で「何もしません」と唱えて練習するという方法、これは僕が教わった練習方法です。

さて、ここまで復習をしたら右手の総集編として「ロングトーン」という言葉について考えてみたいと思います。

「いつもやってる練習」を見てきて気になったこと

僕は講習会や吹奏楽部のレッスンで「いつも、どういう練習をしている?」という質問を投げかけているスタイルをとっています。

まず「いつもやってる基礎練習」を一通り見せてもらい、その過程で気になった点をメモしたり頭に入れ、改善点をアドバイスしたり、教則本を使って今後の練習方法を提案する。

こうした中で気になったのが「ロングトーン」と称した練習です。

「ロングトーン」という言葉が生み出す誤解

「ロングトーン」の練習はとても奥が深いものですが、簡単に説明すると一定の高さの音を安定して長く伸ばす練習です。

吹奏楽部では、管楽器奏者の人たちがウォーミングアップで音を伸ばしたり、基礎合奏で指定された音を全員で伸ばしたりと様々な場面で「ロングトーン」の練習が行われています。

弦楽器も一定の高さの音を安定して長く伸ばす練習として、これまで解説してきた開放弦(左手で弦を押さえていない状態を指す)を使った練習があります。

一般的に「開放弦の練習、ボウイング練習」と言われることが多く「ロングトーン」という言葉はあまり使われていないように感じますが、弦楽器におけるロングトーンの練習は、右手のボウイング練習にあたります。

過去2回にわたりレッスンノートで解説してきた開放弦を使った右手の練習、ここが弦楽器におけるロングトーン。

僕は「ロングトーン」という言葉をこう定義していると書いた上で次に進んでいきます。

レッスンで見てきたいろいろなロングトーン

レッスンで「ロングトーン」をやってますと見せてもらうと大きく分けて4つのパターンに分かれました。

  • メトロノームと合わせて開放弦を鳴らす練習
  • ひたすらBの音をチューナーに合わせて伸ばす練習
  • 基礎合奏のハーモニートレーニングの音をひたすら伸ばす練習
  • 4〜8拍ずつ音を伸ばしてB-durのスケールを弾く練習

この中には基礎練習として効果的な「ロングトーン」の練習もありますが、これは意味があるのかな?と疑問に思ってしまう練習もありました。

年間を通して多くの曲を演奏し、合奏時間の多い吹奏楽部にとって個人練習やパートの基礎練習に当てる時間はとても貴重なので「ロングトーン」と称した練習について考えてみたいと思います。

いつも、どんな練習をしていますか?

「ロングトーン」という言葉をどう捉えているかは人それぞれですが、僕なりにこれまでみてきた「ロングトーン」と称した練習4パターンを今後どのような練習に転用していけば良いかを提案してみます。


メトロノームと合わせて開放弦を鳴らす「ロングトーン」をしている人へ

この練習はとても大切な練習です。

弦と弓は直角に弾けていますか?

弦楽器の弓使いは管楽器の息使いと繋がっていると考えています。

日頃から「弓使い=息使い」というイメージを持って練習に取り組んでみてください。

練習時間が多く取れるときは、過去のレッスンノートで解説した弓の配分を考えた練習(二分音符は半弓、四分音符は1/4)など様々な練習することをおすすめします。

僕のレッスンではここを徹底してやっています


Bの音をチューナーに合わせて伸ばす「ロングトーン」をしている人へ

吹奏楽でB(シ♭)を合わせるのは大切ですね。

  • 弓は弦と直角になっていますか?
  • 左手のフォームは綺麗に作れていますか?

もし、左手で弦をギュッと握ってしまっていたら、その練習は意味がなくなってしまいます。

Bを合わせる時には必ず、綺麗な左手のフォームを意識しましょう。

B(シ♭)を合わせる時には必ずこの形!ハーフポジション。

そして、この形を作ることができたらもうBのロングトーンは卒業して大丈夫です。

開放弦のボウイングや、スケールを練習する時間を増やしていきましょう。

僕の教則本にフィンガリング付き全調スケールが載っているので全ての調にチャレンジしてみてください。(おすすめテンポは四分音符=100)


基礎合奏やハーモニー練習の音を伸ばす「ロングトーン」をしている人たちへ

  • 右手の弓の角度や左手のフォームを気にかけていますか?

レッスンでは綺麗なフォームを作れていたのに、基礎合奏のテキストになると形が崩れてしまうというのはもったいないので、基礎合奏のテキストにもボウイングと指番号を書いてくことをすすめています。

右手と左手のフォームを崩すことなく弾けて、楽譜に必要な情報が書き込まれていたらこの練習は卒業して大丈夫だと考えています。

基礎合奏の基礎練習はバンドの基礎力向上のため、楽器の基礎練習は演奏技術向上のためだと考えてみると、個人練習の時間はコントラバスの基礎力をアップさせる練習をするのが効果的です。


4〜8拍ずつ音を伸ばしスケールを弾く「ロングトーン」をしている人たちへ

スケール練習はとても大切ですね。

  • 右手の弓の角度や左手のフォームはできていますか?

8拍などで弓が足りなくなってしまう場合は途中で弓を返して大丈夫だと考えています。

  • 今弾いているスケールの楽譜には、ボウイングと指番号は書いてありますか?

もし書いていなかったら、楽譜に指番号を書く習慣をつけていくと良いでしょう(公開している教則本を参考にしてください)

B-durであれば一度もポジションの移動をせずに弾けるはずです。

  • 弓の持ち方は大丈夫か?
  • 弓先が下がってしまったりしていないか
  • 右手は一定のスピードで使えているか

以上を確認し、開放弦の練習をしながらB-durが弾けたら全ての調のスケールを覚えていくことを目標に取り組んでください。

開放弦を使った「ロングトーン」の練習をしよう

これまで書いてきたように、吹奏楽部でコントラバスを弾いている人たちは、ロングトーンという言葉を「右手のボウイング練習」ではなく基礎合奏で音を伸ばしたり、全員でB-durの音を出していく練習をロングトーンと捉えてしまっている人が多いと感じました。

このように、いろいろな「ロングトーン」を見てきましたが、僕がおすすめしたいのは開放弦のボウイング練習。

過去2回にわたり書いてきた練習こそがコントラバスのロングトーンの練習です。

レッスンノートvol.2 コントラバスの音作り

コントラバスの音づくり。豊かな響きを作るために知っておきたい大切なこと。

レッスンノートvol.3 より「移弦の練習」

音を繋ぐ「移弦の練習」とコントラバスの弦を押さえる「左手を鍛えるトレーニング」の紹介。

左手を鍛えるトレーニング:応用編

最後に前回に続いて左手の話。

コントラバスを演奏する上で大切なことは

  • 弦を押さえる左手のフォームを学ぶこと
  • 左手の各指に振り分けられた指番号を理解すること
  • 運指表と各ポジションへの理解と習得

これらを学ぶことで正確な音程とる技術が養われ、より自由に楽しく楽器を弾くことができるようになるというところまで解説してきました。

今週は5番から12番まで進んでみよう!

前回は課題として

  • 初心者:G線スタート1番から4番まで
  • 経験者:E線スタートG線へ進み1番から弾けるところまで

練習するように書いてきました。

弾いてみた感想はどうでしたか?

指が痛くなったりしたら無理をしないで途中でやめます。

初心者の人は今週は5番から初めて12番まで進んでみましょう。経験者の人はどこまで進めましたか?

弓はたくさん使って元気よく、はじめは音程が合わなくても大丈夫。まずは弦を押さえる左手のフォームを作って弦を押さえることに慣れること。

親指が痛い人、人差し指が痛い人などいたらLINE公式アカウントで質問してくれたら解説します。

今週のまとめ

今回は「移弦の練習」の復習、そしてロングトーンという言葉に思うことを書いてきました。

「弦を押さえる左手のトレーニング」は後半に進み初心者の人も12番まで挑戦です。

上手く弦が押さえられない、また指が潰れてしまうという人は指の付け根から動かすことを意識してみてください。

おわりに

『明日のためのレッスンノート』今週は「ロングトーンという言葉に思うこと」をテーマに書いてきました。

明日のためのレッスンノートはコントラバスという楽器を手にしたけれど、パートは自分一人だけ、周りにコントラバスを教えてくれる人がいないという環境で練習に励んでいる人たちに向けて書いています。

教則本も全ページ公開しているので、ぜひお役立てください。

次回「明日のためのレッスンノート」はコントラバスの運指表に基づいた12のポジションの解説へと進んでいきます。

コントラバスに関する質問、相談はLINE公式アカウントで受け付けています。

https://twitter.com/igu_shin/status/1310883911455580165

それでは、また!


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ABOUTこの記事をかいた人

1987年、千葉県生まれ。 船橋市立葛飾中学校管弦楽部にてコントラバスと出会う。 千葉県立市川西高等学校を経て洗足学園音楽大学へ入学。 在学中より「吹奏楽部におけるコントラバスの現状」に着目し多くの講習会に講師として参加。大学卒業後はフリーランスのコントラバス奏者としてオーケストラ、吹奏楽、室内楽をはじめ楽器製作ワークショップやレコーディングなど多方面での演奏活動をする傍ら、吹奏楽指導者・アマチュアオーケストラのトレーナーとしても活動しており、中でも吹奏楽におけるコントラバスの指導に力を入れている。 これまでにコントラバスを寺田和正、菅野明彦、黒木岩寿各氏に師事、指揮法を川本統脩氏に師事。現在、昭和音楽大学合奏研究員、ブラス・エクシード・トウキョウ メンバー。また、日本アロマ環境協会 アロマテラピーアドバイザーの資格を持つ。