今年からご縁あって関東圏内のとある地域で部活動指導員としての仕事をはじめました。
部活動指導員は、中学校や高校の部活動において、顧問の代わりに単独で部活動の指導や引率ができる立場にある人のことで、 平成29年4月に学校教育施行規則の一部が改訂され、新たに制度化された学校職員です。
立場は学校の職員となりますが、公務員ではないため兼業が可能(ここが音楽家の皆さんが一番気になるところだと思う)です。
部活動指導員の仕事に興味を持ってから多くの自治体で面接を受けていたのですが、非常勤の職員、臨時職員、会計年度任用職員、公務員と同じような扱いに近い、学校の職員としてと様々な呼び方をされていましたが、ざっくり書くと会計年度任用職員という身分になるようです。
部活動指導員ってどんな仕事をするの?
部活動指導員として学校勤務をした場合の仕事内容は、楽器の実技指導だけでなく、部活動を運営するにあたり必要な業務も並行して行っていくことが多いようです。
多くの自治体で部活動指導員の職務内容とされているのは内容は下記のようなこと。
- 実技指導
- 安全・障害予防に関する知識・技能の指導
- 学校外での活動(大会・練習試合など)の引率
- 用具・施設の点検・管理
- 部活動の管理運営(会計管理など)
- 保護者などへの連絡
- 年間・月間指導計画の作成
- 生徒指導に関わる対応
- 事故が発生した場合の現場対応
いわゆる、部活動の顧問の先生がやっていたことと同等と考えると良いと思います。
ただ、これはあくまで一例で詳しい仕事内容は学校によってさまざま(ここ大事!)です。
僕ら音楽家の仕事の一つでもある吹奏楽部の外部講師との大きな違いは
- 学校職員であること
- 大会やイベント演奏に単独で引率が可能なこと
そして、それに従い多くの子供たちの安全や命を預かる責任が生まれることです。
また吹奏楽コンクールをはじめ、部活動が参加する大会やイベントの指揮を振ることができるのも大きな違いかと思います。
部活動指導員と給与の話
学校職員として勤務する部活動指導員は年間を通し部活動の指導にあたります。
そして給与は時給で計算され勤務時間は部活動ガイドラインに準じています。
- 平日は3時間以内
- 土日、祝日は4時間以内
そして平日または休日に1日休暇を設けることや月の勤務時間の制限もあります。
部活動指導員の時給は各自治体によって様々で時給1,200円から2,500円とかなりの差があります。
併せて交通費が支給される他、期末手当(ボーナス)があったり有給休暇が使えたりしますが、これも各自治体によって違いがあります。
いわゆる外部講師としてレッスンをした際に受け取る謝礼に比べると金額は安いですが、年間を通して学校に勤務するため安定した収入を作ることができます。
勤務日数について
これも学校や部活動がどのような形で指導員を必要としているかによりますが、最大週5日の勤務をしている人もいれば週2〜3日、週1日とさまざま。
僕は吹奏楽部に顧問の先生がいらっしゃる形で実技指導や運営をサポートする形で入っているので、週1日の勤務、出勤日は不定期とかなり自由に働かせてもらっています。
不定期といっても、勤務日の申請はするのでその日を基準に先に仕事が入っていたりどうしても都合がつかない場合は振替をするという形です。
各自治体によって契約通りの日数しか出勤できないところもあれば、追加勤務が可能なところもあるので、部活動指導員という仕事に興味がある人は、とにかく情報を得ることをおすすめします。
面接の際に、僕の今の働き方(演奏したりレッスンしたり)を伝え、そうした条件を理解してくださった上で採用していただいたので、面接を担当してくださった方や吹奏楽部の顧問の先生には感謝しています。
職業音楽家×部活動指導員としてのキャリアプラン
ざっくりと書いてきましたが、上記が部活動指導員に仕事内容や給与面のお話です。
部活動指導員は音楽家のキャリアの幅を広げてくれる素晴らしい制度ですが、部活動指導員の仕事だけで生計を立てていくのは難しいと考えています。
なので、他の仕事もしながら生活していくこととなりますが、フリーランス、個人事業主であれば一つの仕事、職場だけでなく自分の専門分野を軸に得意分野との掛け算で仕事をしていくスタイルが多いと思うので、働き方が大きく変わるということはあまりないと考えています。
僕の場合は
- コントラバス奏者としての仕事(オケ、吹奏楽、芸術鑑賞会など)
- レッスンの仕事(個人レッスン、オンライン)
- 吹奏楽部、オーケストラ部の外部講師の仕事(パート、合奏指導)
- アマチュアオーケストラ、吹奏楽団の仕事(トレーナー、指揮者)
- 音楽教室での勤務(月数回)
と併せて、平日の夕方に部活動指導員として学校に勤務する形になります。
平日はリハーサルを終え学校勤務、また学校勤務からの夜はアマチュア楽団の指導などスケジュールをうまく調整していけば、より充実したキャリアプランを作ることができると考えています。
僕はフリーランスの演奏家、あるいはプロのオーケストラに所属しながら大学で非常勤講師や教授としてレッスンや授業を受け持っている音楽家のキャリアプランを調べ、その働き方を参考にしていきました。
おわりに
先ほども書いたように、部活動指導員は音楽家のキャリアの幅を広げてくれる素晴らしい制度だと思います、そして働き方改革の一環で学校の先生たちの負担軽減のためにも必要な制度です。
部活動指導員という制度が施行され、最初の頃は賃金の低さや労働条件に様々な声がありましたが、少しずつ制度は改善され、僕の周りでも部活動指導員として勤務する人が増えてきました。
今回は働く側のことを書いてきましたが、一番大切にしたいには学校の先生の負担を少しでも減らすことで、自らが重ねてきたキャリアを活かし部活動を充実したものにすること。
これから部活動指導員として勤務するにあたり、せっかくなのでこの制度の良さや現場で感じた改善点、また令和5年度以降に行われるであろう部活動の地域移行に対する職業音楽家ならではの視点を発信していこうと思います。
部活動指導員、僕はこの制度の未来をかなり期待しています。
それでは、また!