コントラバス奏者、指揮者、吹奏楽指導者の井口信之輔です。
吹奏楽におけるコントラバスへの理解と発展を願ってというテーマを掲げ、全国の吹奏楽部をはじめとした音楽系部活動でコントラバスを弾く中高生に向けて書きはじめたレッスンブログ。
このメッセージを届けたいのは、これまで多くの相談がSNSに届いた
- パートは自分一人だけ
- 周りにコントラバスを教えてくれる人がいない
という地域で音楽活動をしている中高生。
レッスンブログのタイトルは、今日よりもちょっと良い明日を迎えることが上達への近道だと思い『明日のためのレッスンノート』と名づけました。
ちょっと良い明日というのは、新しい知識を仕入れて迎える翌日のこと。
その知識を持って練習に励み、試行錯誤していく過程で人は成長していきます。
明日のためのレッスンノートではその過程、つまりプロセスを共有し来年3月に胸を張って先輩に、そして卒業する人たちは良き伝統を次の世代に託すことを目標にしています。
パートは自分一人だけ、周りにコントラバスを教えてくれる人がいなくても、インターネットを通じてプロセスを共有しながら一緒に練習してみませんか?
2017年からいろんな形で書き続けてきたレッスンノート、今年は完全に一から書き直し全国の読者の皆さんとそのプロセスを共有していきたいと思います。
もちろん、小学校のクラブ活動、大学のサークルや社会人オーケストラ、吹奏楽団、マンドリンオーケストラなのでコントラバスを弾く方々にも繋がる内容です。
今回のテーマは日常に潜む危険を未然に防ぐために知っておきたい知識です。
日々の練習に悩んでいたら、1日のどこかでブログに遊びにきてくださいね。
楽器の置き方、楽器を扱う上で危険だと思うこと
前回のレッスンノートで宿題を出すとお伝えしていました。
その内容が、以下の質問
- 楽器ってどうやって置いてる?
- コントラバスを弾くために持っておきたい小物っていくつある?
- これだけは知っておきたい!楽器を扱う上で危険なこと
みなさんは、どのように楽器を置いていますか?
コントラバスを弾くために持っておきたい小物の話は最後に回し、楽器を扱う上で危険だと思うことって考えたことありますか?
今回はこの部分を一緒に考え理解を深めていきます。
知っておこう!吹奏楽部で過去に起きたコントラバスにまつわる事故3選
コントラバスは全長約2メートル近くの大きさ、そして10kgを超える重さと人間よりも大きく身の回りのものよりも重いため、はじめは楽器を音楽準備室や楽器庫から出すだけで一苦労。
レッスンでは楽器の置き方、ケースから出し入れする方法から説明することも多くあります。
これだけ大きな楽器だからこそ、実は日常にたくさんの危険が潜んでおり、ここに書くのは過去に起きてしまった、コントラバスに関する事故です。
まずは、どんな危険が潜んでいるのかを知っていきましょう。
危険:床に寝かしていたコントラバスに気づかず倒してしまった
コントラバスは楽器が大きく床に寝かして置くという場面が多くあります。
これ自体に問題はなく、僕たちも休憩中は床に楽器を寝かして置いています。
しかし、合奏前の音楽室など人が多く集まったり出入りする場所でこの置き方をするのは危険が伴うということを知っておくと良いでしょう。床に置くこと自体がダメなわけではありません。
過去に起きたのは、床に寝かして置いてあるコントラバスを倒してしまったということ。
この時の原因の多くは
- 床に置いてあるコントラバスが視界に入っていなかった
- 楽器をまたごうとしてネックの部分に足を引っ掛けた
ということが挙げられます。
中でも、急いでいるときにコントラバス自体が視界に入らずネックの部分に足を引っ掛けてしまったという場面に出くわすことが実際にありました。
対策:楽器を椅子に立てかけて置くという方法を知っておく
日々の練習や広い場所では楽器を床に寝かしていても大きな問題はないと考えています。
ただ、人が多く集まる場所や狭い部屋、合奏前などは床に置いておくと危険なシーンが多くあるので、楽器を椅子に立てかけることをおすすめしています。
この置き方は、楽器を床に寝かすときよりスペースを取らず、楽器自体が視界にも入るので他のパートの人が気づかず足を引っ掛けてしまうということも起きません。
演奏会でこの置き方をすると、客席からの見栄えも良く一石二鳥。
この写真は演奏会前にTwitterにアップするために撮りました。
危険:楽器を椅子に立てかけておいたけど倒れてしまった
「え!?楽器を椅子に立てかけておいても倒れてしまうの?」
と思うような事故の例です。
これは置き方に問題がある場合に起こり得る事故で、未然に防げます。
コントラバスの置き方が違うのに気がつきますか?
この写真、コントラバスの置き方に違いがあるのに気がつきますか?
よく見ると、楽器を掛けているくびれの部分が椅子の端にあるか奥にあるかの違いです。
特に初心者や、誰かの楽器を預かって椅子に立てかけるときに気をつけたい場面で楽器のくびれの部分が奥にないと、楽器が滑って椅子から倒れてしまうことがあります。
対策:楽器を椅子に立てかけたら目で確認!
楽器が滑って椅子から倒れる、あるいはネックが椅子の背に当たってしまうと衝撃で折れてしまうようなことがあります。なので、楽器を椅子に立てかけたら、くびれの部分が奥まで入っているかを目で確認すること。
これだけで、事故を防げます。
Twitterでつぶやいても大きな反響があった楽器の置き方、ぜひ知っておいてください。
コントラバスを椅子に置くときは楽器のくびれの部分を奥まで入れておくことを忘れずに!確実に安定しているかをチェックしてくださいね。下の置き方は吹奏楽部で見かける危険な置き方。とくに学校の椅子は楽器が滑り落ちる危険性があります。周りに教えてくれる環境がない地域のみんなも覚えておいて! pic.twitter.com/j82J3h3kTc
— 井口 信之輔 / コントラバス (@igu_shin) June 12, 2021
危険:寝ている楽器のエンドピンが足に刺さって怪我をしてしまった
コントラバスは楽器を倒してしまうという事故のほか、高さを調整するエンドピンというパーツに足を引っ掛けてしまい怪我をしてしまったというトラブルもありました。
これはゴムキャップを外して床に直接エンドピンを刺すタイプの楽器で起きてしまったトラブルで、コントラバスのエンドピンは先端が尖っていて危ないというのは、コントラバス奏者以外はほとんど知らないことが多いので、演奏する側がしっかりと対策をしたいところです。
コントラバスのエンドピンは
- 先端が丸く滑り止めとしてゴムキャップが付いているタイプ
- 先端が尖っており、床に直接刺して演奏するタイプ
と大きく分けて2種類のエンドピンがあります。
多くの学校の楽器はエンドピンの先端が丸く滑り止めとしてゴムキャップが付いていますが、ある程度の価格の楽器になると、楽器の振動を直接ホールの床に伝えられるよう先端が尖ったエンドピンが付いており、チタンやカーボン、真鍮などたくさんの種類のエンドピンが存在します。
これらのエンドピンの先端はこんな感じで尖っており、足を少し引っ掛けるだけで切れてしまいます。特に夏場は注意が必要で、短パンやスカートで移動しているときに引っ掛けてしまわないように注意が必要です。
対策:楽器から離れるときはゴムキャップを付けるかタオルで覆う
エンドピンが刺さったり、足を切ってしまうと傷跡が残ったり痛みも長く続きます。
僕も過去に自分の不注意で、自分の楽器のエンドピンで足を切ったことがありましたらしばらく血が止まらず今でも足に傷が残っています。
楽器を椅子に立てかけてるときは良いですが、床に寝かして置く場合に楽器から離れるときは、ゴムキャップを付けるか松脂を拭くタオルなどで先端を覆うようなことをしてください。
知識一つで未然に防げる事故なので、知らなかった人はこのノートで学んでいってくださいね。
コントラバスの修理にかかるお金
最後に、実際に修理(リペア)にかかるお金について簡単に触れてみたいと思います。
まず、コントラバスは板を開けると莫大なお金がかかります。
板というのは表板や裏板のことで楽器の中を開けると10万円ほどかかると知っておくと良いです。
ほかに、ネックが折れてしまった場合は2万5千円から5万円ほど、もう少しかかる場合もあります。
これだけでも部費×◯人分という大きな出費です。
講師の先生を半日1万でお呼びしてレッスンすると考えたらレッスン10回分。
とても大きな金額ですよね。
なので、まずは知識として危険が潜む場面を知り未然に防ぐことがとても大切です。
理解を深め、未然に防ぐ
ここまでレッスンノートを読んでくれた人は、吹奏楽部の活動の中で起こり得る事故、トラブルを防ぐための知識が身についたと思います。
心当たりがあれば、明日から実践できますね。
つい「まあいいか」と思ってしまうことがこうした事故を招いてしまいます。
レッスンノートで理解を深め、その知識をパートの仲間や部員とシェアし日々の活動の中で起こり得る事故やトラブルを未然に防いでいきましょう。
ちょっと話が長くなってしまったので、持っておきたい楽器の小物は次回にします。
小物の話も知りたいよ!って人がいたら、こちらの記事を読んでみてください。
次回のレッスンノートでも紹介する予定です。
それでは今回はこの辺で
また次回のレッスンノートでお会いしましょう!
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