昨日の夜、ドラクエがやりたくなり3DSの「ドラゴンクエストⅠ」をダウンロードしました。
ゲームをやる時は仕事に支障が出ないように(意志が弱い)短期集中して進めます。
ドラゴンクエストⅠ、いわゆる初代ドラクエであればそこまで時間はかからない、そして直感で「ドラクエやった方がいい」と思ったので昨日の夜、突如ドラクエスタートです。
いざ冒険の旅へ
電源をつけると聴こえてくるのが勇ましいファンファーレ。
付点音符と三連符で構成された3小節のファンファーレ、このメロディなしにロト伝説は始まりません。
「ロトのファンファーレ」が堂々と鳴り響きおなじみの序曲が始まり、ドラゴンクエストの壮大な冒険物語が幕を開けます。
この「ロトのファンファーレ」はかっこいいだけでなく、音楽的にも大変な重要な意味を持つと僕は解釈していて、それは物語の最後にお話しします。
「中世の騎士物語」と「クラシック音楽」
ドラゴンクエストⅠ(以下ドラクエ1)の物語はアレフガルドの地にあるラダトーム城から始まり、王様は待ってましたと言わんばかりに「勇者ロトの血を引きしものよ!そなたが来るのを待っておった」と僕に言ってきます。
- 昔、伝説の勇者ロトが神から光の玉を授かってこの世界を覆っていた魔物たちを封じ込めた
- で、いずこともなく現れた悪魔の化身「竜王」がその玉を闇に閉ざしてしまった
- このままでは世界は闇に飲み込まれ、やがて滅んでしまう
だから、ロトの血を引くお前が竜王を倒してくれって話。
ここから物語が始まって、そのバックには良い音楽が流れてるんですね。
ドラゴンクエストの世界観は中世の騎士物語。そして音楽はクラシック音楽をベースに書かれていると考えて、このラダトーム城では「バロック風」の音楽が流れています。
アレフガルドに行くことにした。久しぶりのドラクエ1。演奏会のMC原稿書いたばかりだから音楽聴くたびに胸が熱くなる。ドラクエのお城の音楽はバロック風なんだよな。
— 井口 信之輔 / コントラバス (@igu_shin) February 27, 2020
勇者は一人旅をする
ドラクエ1の世界に仲間はいない。
主人公が一人、広野を行き魔物と次の街を目指す。
フィールドで流れている「広野を行く」はどこか切ないメロディが印象的で、果てしなき世界を一人旅する勇者の心情がよく描かれてるなと感じる大好きな曲。
旅の途中、ラダトーム城のローラ姫が拐われたということを知り、ローラ姫救出へと出かける。
次の展開を知ってると、つい先に進んでしまうのでレベル上げが追いつかず結構強い。
ドラゴン強くね?ローラ姫助けてやりたいんだから手加減してくれよ…
— 井口 信之輔 / コントラバス (@igu_shin) February 27, 2020
門番として立ち塞がるドラゴンを倒しローラ姫を救う。
ドラゴンに拐われた(竜王だっけ?)お姫様を勇者が助け出し、お姫様抱っこをしてお城へと連れて帰る。このいかにも!って展開が大好きですよドラクエ1。
ドラクエ1お約束のネタ、リムルダールの宿屋に一泊して宿屋から「ゆうべは、おたのしみでしたね」のセリフもいただいてラダトーム城へ。
ローラ姫救出。ドラゴンに拐われたお姫様を勇者が救いお姫様抱っこして(お約束のリムルダールで一泊)お城に帰るってこのベタな展開が良いよなドラクエ1。さあ次に目指すはドムドーラ。魔物たちに滅ぼされて廃墟になった街。だけどドラクエ3の世界では…
— 井口 信之輔 / コントラバス (@igu_shin) February 27, 2020
名作「ドラゴンクエストモンスターズ」
ドラクエとの出会いは小学5年生の頃。
ゲームボーイソフト「ドラゴンクエストモンスターズ テリーのワンダーランド」だった。
各ダンジョンの最下階に来ると音楽が変わりボスと戦うんだけど「ゴーレム」というボスと戦うときに流れる音楽がとても悲しいと小学生ながらに感じた。
これは後になってわかるんだけど、この「音楽が変わってボスと戦う流れ」は歴代ドラクエのワンシーンを再現したものだった。
ドラクエシリーズを楽しみたい、またドラクエをやってみたいという人には「ドラゴンクエストモンスターズ テリーのワンダーランド」もおすすめだ。DSでも遊べる。
メルキドの町を守るゴーレムとの戦いで思い出すのはDQモンスターズでの「この町はゴーレムが見てる幻の町なんだ」ってセリフ。「広野を行く」のメロディが切なさを誘うんだよね。各地で語り継がれるロトの伝説に耳を傾けいよいよ物語は終盤へ。その前にドムドーラのあくまのきしが強すぎる。ゆきのふ
— 井口 信之輔 / コントラバス (@igu_shin) February 27, 2020
ドラクエ1では街は幻でなく実在する。
大人になって冒険するドラクエの世界はまだまだ知らない感動がたくさんある。
魔物たちに滅ぼされた街はかつて
ドラゴンクエストⅠ・Ⅱ・Ⅲは伝説の勇者ロトをキーワードに物語が展開されることから「ロト三部作」と呼ばれていて物語が繋がっている。
物語の繋がりはセリフや地図、街の名前や登場人物からも想像できるけど、時として音楽も物語の繋がりを予感させてくれるのがドラクエの魅力だ。
魔物たちに滅ぼされたドムドーラの街でゆきのふじいさんが残したロトのよろいを手に入れ聖なるほこらへ。雨と太陽が合わさるとき虹の橋ができる。かつてアレフガルドを救った伝説の勇者ロトが虹の橋を渡り魔の島へ向かったように、いよいよ竜王の城へと向かいます。
— 井口 信之輔 / コントラバス (@igu_shin) February 28, 2020
ドムドーラという街はかつて栄えていたけれど、魔物たちに滅ぼされた。
こうしたエピソードを知っておくと、物語の繋がりを知ったときの感動が増します。
雨と太陽が合わさる時、虹の橋ができる
物語の終盤になると「太陽の石」と「雨雲の杖」そして「ロトの印」を手に聖なるほこらへ。
雨と太陽が合わさる時、虹の橋ができる
かつて伝説の勇者ロトがそうしたように、魔の島へと渡る虹の橋をかけ魔の島へ。
ドラクエ1のダンジョンで流れる音楽は地下へと下りるたびにメロディが重々しくなって恐怖感を演出してるんだよね。王座の後ろに隠された階段からいざ竜王の元へ。長き旅の終わりが見えたときに「わしの仲間になれば世界の半分をお前にやろう」の誘惑。この演出好き。
— 井口 信之輔 / コントラバス (@igu_shin) February 28, 2020
ドラクエ1のダンジョン(洞窟とか)の音楽は地下へと進むたびに少しずつ曲調が変わってくるのが印象的。灯りのない地下道をたいまつで照らし、一人で先へと進む恐怖感を演出してるのかなと思ってる。
緊迫感溢れる戦闘シーンや洞窟での音楽、広野を一人旅する哀愁漂うフィールドの音楽。
そして、賑やかな街の様子が思い浮かぶ街での音楽と、ドラクエ1の音楽は「一人旅」を上手く描写してるなと感じることが多い。
vs竜王「世界の半分をお前にやろう」
ドラゴンクエストⅠの黒幕は悪の化身「竜王」
ここに来て「手を組まないか?」と持ちかけられる。
もし手を組めば闇の世界を与えられ、ファミコン版だと地獄を見る。
魔道士のような格好をした竜王との戦いは通常の音楽でスタート。
ドラクエ1の戦闘音楽の魅力は緊張感溢れる「弱奏」だと思う
リメイクされる度に曲の細かいテンポ設定も少し変わっていて、今回のドラクエ1は戦闘のテーマに入る前の「序奏(エンカウントする場面)」がゆっくりでオーケストラでの演奏テンポに近い。
なので、雑魚キャラとエンカウントして瞬殺続きだと「序奏」だけでバトルが終わってしまいあまり戦闘の音楽を楽しめない。
テーマは序奏から想像する以上に速く、個人的にこのテンポも好きだけど、序奏のテンポからするともう少しだけゆったりしてても良いかもしれない。
生きるか死ぬかのバトルは常に一対一。
その緊張感が見事に描かれているのが戦闘開始44秒あたりからのシーンで、緊張感溢れる弱奏が勇者と魔物が睨み合ってるシーンを想像させてくれる。
ドラクエ1の戦闘音楽の魅力はこのシーンに尽きるというほど好きな部分。
この後、いきなり低音楽器による下行音形が提示され戦闘のテーマに戻ってくる。
きっと、どちらかが攻撃に繰り出したんだろうと勝手に妄想してる。
竜王が正体を現した!
竜王を倒すと、倒したはずの竜王が巨大なドラゴンと化し真の姿を見せる。
そして再び戦いが始まると、今度は戦闘の音楽が変わる。
「竜王」という名前のつけられたこの曲は銅鑼が豪快に鳴って始まるのだけれど、一説によると「銅鑼がゴ〜ンと鳴ってドラゴン」だそうだ。
これはどこかで読んだんだけど、ドラクエシリーズのラスボスの音楽は一部の曲を除いて魔王、つまり敵側の視点で書いているらしくおどろおどろしい曲が多い。
死闘の末に竜王を倒すと世界に平和が訪れる。
竜王を倒しアレフガルドに平和が戻りました。全ては古い言い伝えの通り。最後に街を回ってドムドーラを訪ねてみたらガライがいて胸熱。ドラクエ1のフィナーレは冒頭が「ロトのファンファーレ」と同じ音形で、きっとこれはロトの子孫である勇者の新たな旅立ちを祝した音形だと勝手に解釈してる。
— 井口 信之輔 / コントラバス (@igu_shin) February 28, 2020
毒の沼地には花が咲き、各地を回っていくとドムドーラの廃墟に吟遊詩人ガライ(ロトの時代にいた人)の姿があって「お前には私の姿が見えるのか」なんて話して姿を消したら街の音楽が流れてちょっと感動してしまった。
さあ、各地を回ったらラダトーム城へ。
長い旅はこれでおしまいと思いきや……
フィナーレ
ラダトーム城に戻ると王様が待っていて、竜王討伐の旅を終えたことを報告する。
すると、王様が国を治めてくれなんてことを言うけれど、もし治める国があるのなら自分で探したいと申し出て新たな旅へと出かける。
そして、そこにローラ姫が駆け寄って「私も一緒に行くと」勇者と新たな旅に出かけるのでした。
ここで流れる「フィナーレ」が本当に名曲で、よく耳を澄ませて聞いてみると冒頭のファンファーレが「ロトのファンファーレ」の音形から成っている。
きっとこれは「ロトのファンファーレ」の音形でロトの血を引く勇者を祝福したんだろうなって思いながら、いつもこの曲を弾くときはニヤニヤとしてしまいます。
めでたしめでたし。
旅を終えて
ドラクエをプレイしようと思って夜に初めて、翌朝にはクリアという過去最速(ドラクエ1だからできた)での冒険だったけど、街の人たちのセリフから色々と連想してみたり、音楽に耳を傾けフィールドをただただ歩いてみたりと今までと違ったドラクエの楽しみ方ができた旅でした。
ということで今後のゲーム音楽公演に備えてこのタイミングでドラクエ1の物語をプレイしておさらい。MC原稿やプログラムノートは毎回アップデートさせたいし、こうしてゲームをプレイして自身が感じた感動ポイントをしっかり押さえてまた面白いものを作りたいな。また音楽を届けられる日を楽しみにね。
— 井口 信之輔 / コントラバス (@igu_shin) February 28, 2020
コンサートでMC原稿やプログラムノートを書くときは「かつて旅した世界へと足を踏み入れたような気持ちになって音楽を楽しんでもらえたら」とそんな気持ちで書いているので、今回のドラクエで感じたこと、こんなシーンを入れてみようかなと思ったアイディアは、また今度のコンサートにどんどん活かしていきたい。
音楽に耳を傾け目を閉じたらそこに広がるのはアレフガルドの大地。
そして自分が主人公になってコンサートが進行すると共に数々の困難を乗り越えていく。
そんなファンタジーの世界を作れたらと思って、次はドラクエ2の世界へと足を踏み入れたいと思います。
おしまい。