日記

指揮者のシゴト?アマチュアオーケストラや吹奏楽団の指揮・指導とチームマネジメント。仕事と趣味の垣根を超えた最高のチーム作りを目指して。

コントラバス奏者、吹奏楽指導者、指揮者の井口信之輔です。

コントラバスを弾いたり、教えたり、部活動からアマチュアオーケストラ・吹奏楽団の指揮や指導をしたり、SNSでは日常から好きなこと、フリーランスの音楽家のキャリア形成の話などいろいろなことを発信したりしています。

さて、今日は指揮者・指導者として考えているチームマネジメントについて書いてみようと思います。

チームマネジメントという言葉がパッと浮かんできたのですが、大切にしている、取り入れている、やっているなどなど、どんな言葉が相応しいのかちょっと考えてしまいますが、いわゆる先生と呼ばれる立場にいるときに、振り返ってみるとそのキャリアを積みはじめた頃からやっていたようなことを書いていきます。

アマチュアオーケストラ、吹奏楽団の指揮者として日々やっていること

アマチュアオーケストラや吹奏楽団を指揮したりして何年目になるでしょうか、僕の場合は最初から指揮者になりたい!という思いがあったわけではなく、自分の頭に描いてた音楽家という働き方のイメージ、キャリアプラン、頭の中で描いてた妄想を形にしていくぞという中、気づいたらこうなっていたという感じなのですが、一緒に音楽作りをしている方々と過ごしている時間が楽しくて指揮台に立って指導する意外にいろんなことをやっていました。

これが良いのかどうかはわかりませんが、なんか良いチームだなあと感じることも多いのでプラスの効果を生んでたら嬉しいですよね。

プロとアマチュア、仕事や趣味と区切ることはあまり好きではないのですが、部活も社会人のサークルも仕事と趣味の垣根を超えた先に最高のチームがあるのかと思っています。

メールマガジンを書く

僕はメルマガと呼んでいるのですが、指導先の楽団で必要に応じて500〜1500文字くらいで不定期のメルマガを書いています。

よこはま月曜吹奏楽団では月吹だより初心者と子どものためのオーケストラpìccoloではpìccolo通信というような名前で、各団体ごとに名前を決めているわけでもなく、書いているわけでもありません。名前はそのときの思いつきで、みなさまへという感じで送ってることもありました。

定期的に送るわけでもなく、不定期で全体に共有しておいた方が良さそうと思ったことをメールマガジンという形で発信しています。

過去に定期的に送ったこともあったのですが、そのときは練習時間が限られているので合奏の基礎・基本(指揮の見方、音程の合わせ方、練習や譜読みのコツ)などをメルマガっぽい感じで演奏会まで毎週送り、合奏では音楽的な練習に特化するという形でした。

僕が発信すること、文章を書くのが好きということもありますが練習で迷ったときに読みたくなるようなヒントになれば嬉しいという思いで書いていました。

録音を共有する

合奏は自分の勉強、復習のために録音をしているのですがせっかく音を録っているので録音を共有したりしています。

ただ、これ忘れちゃいけないのが楽団によっては録音を担当してくださる方がいたりするので、基本的に僕がやっているのは余計なことで、もしそうした人がいるのであればその人の仕事を奪うようなことはしてはいけないというところ。

録音あったほうが良さそうだと思ったら共有してみて、不要だと思ったらしない。

何かするときは気を使わせてしまったり申し訳なさを生み出さないように気をつけたいと思っています(そう思ってたらごめんなさい!てへぺろと自戒をこめて)

また、録音を指揮者自らが共有するときは聴くことを強要しないことがとっても大切。

「録音を聴きましょう!」とか「次回までに聴いてください!」とかは不要なんですよね。

とくにアマチュア楽団は仕事があって、家庭があって、学業があったりして趣味に使える時間は人それぞれの中、上に立つ人が新たに何かをお願いしてしまうことが負担になったりすることもあるので義務感を感じさせないように気をつけています。

聴ける人は聴けばいいし、聴けない人は無理して聴く必要もないし、大切なのは置いておくこと。

個人的におすすめなのは作業BGMにしてみることで、聴き流していても自分ごとになると「あれ?」って感じたりするもので、そうした聴き方の中でも練習課題が見つかったりします。

スタバでコーヒー飲んでて、隣から吹奏楽の話が聞こえてきたら聞き耳を立ててしまった感じですね。

ご飯を食べにいく

以前、いい音楽はサイゼリヤから生まれるとツイートしたらバズったのですが、メンバーと交流する機会ってとっても大切だなと思います。

これは高校吹奏楽部時代の経験なのですが、本気でバカ話に花を咲かせた仲間とは良いものを作りたいと思うんですよね。

アマチュア楽団って練習後のご飯会や飲み会も一つのイベントになってるので、そこで膝突き合わせてわちゃわちゃやってるひとときを一緒に過ごすのも良いチーム作りには大事だよなと思います。

最近は仕事が忙しく顔を出せていないこともありますが、基本的に空いてたら行くのでぜひご飯行きましょう。で、そうした中でポロっと出てくる「◯◯したい」ってアイディアがめちゃくちゃ良いものだったりするんですよね。

グループラインに入る

周りがどうしてるかは分かりませんが、僕は常任で指揮・指導を務めている楽団のグループラインに入っています。そして、そこで行われる練習日以外のやりとりを追ってみたり、必要があればコメントをしたりしています。

これは人によって捉え方が違うかもしれませんが、定期的に情報が入ってくることで見落としも減るし、何よりその楽団のことを考える時間が増えるので愛着が湧いてきます。

心理学でいう、単純接触効果みたいなものでしょうか。

ミーティングを開く

これは僕が音楽監督を務めている初心者と子どものためのオーケストラで取り入れていることなのですが、年に何度か必要に応じてトレーナーミーティングを開いています。

オーケストラpìccoloは弦楽器、管楽器にトレーナーの先生がいて、同じくヴァイオリンの先生が事務を担当してくださっています。

なので定期的に方向性の確認にはじまり、練習の様子や今後の活動計画、初心者のフォローはできているか、選曲は負担の多いものになっていないかなどの意見交換をしています。

オーケストラpìccoloはトレーナーの先生同士がとても良い雰囲気なので、いつもワイワイと楽しいミーティングをしているのですが、先生が複数いるオーケストラは、先生同士の関係性がめちゃくちゃ練習の雰囲気を左右するというところがあるのでこれからも続けていきたい時間です。

吹奏楽部を教えていたときも、生徒から「基礎合奏を全面的に見直したい」という声があったので、これまでやっていた基礎合奏を全て取りやめ、セクションリーダーの子が考えた基礎合奏を取り入れるということがありました。

このときも、月1回セクションリーダー会議を設け、自分たちで考えた基礎合奏の効果と変化を振り返る時間を作ったりしていました。

こうしたミーティングって、開くことに意味があるというよりかはそうした機会を使ってコミュニケーションを取るきっかけを作るというのが大事なのかと思います。

こっちで答えはわかっていてもとりあえずやって仮説と検証を繰り返すこと、そして小さな成功体験を積むこと、自分たちの提案の中で取捨選択ができるようにするというのも部活では大切だと考えています。

練習中に音楽談義をする

よく指揮者は余計なことを喋るなとも教わるのですが、指揮者が喋った方が練習の雰囲気が良くなったり、音が良くなるときもあるんですよね。

オーケストラpìccoloの基礎合奏では1回の練習で音楽理論の知識を一つずつお話しするような機会を設けていました。といっても音楽理論の勉強をするというよりかは、日常生活に例えて音楽理論に関する雑談、音楽談義をするような時間。

サイゼのピザで学ぶ純正率と平均率の違いが好評でした。

とくに楽典や音楽理論は難し言葉が多く挫折してしまう人も多いので、なるべくわかりやすくシンプルに「なるほど!」って思ってもらえるようなおしゃべりは指揮者にとっても大切かなと思います。

たまにスベります。

昨年から指揮者を務めている江戸川ママブラス・マリン♪はホワイトボードがあるので、たまにボードにいろいろ書きながらレクチャーしているときがあります。

想いを届ける

最後はこれ。

一つの目標に向かって進んでいる中で、ここで一気に駆け抜けたい!とか最後に一致団結して演奏会を迎えたいとか、日頃の感謝であったり、何かしらの想いはしっかり届けるのが大事だと思っていて、これもメルマガみたいな感じで送ったりしていました。

長文になることが多いですが、気持ちを一つにしたいときなんか良いですよね。

つい熱く語ってしまいますが、あの夕日に向かって努力するんだみたいなことを土手で言ってる昭和の青春ドラマみたいな想いが込み上げてくるときがあるのです。

仕事と趣味の垣根を超えて、それぞれが演奏会前夜におんなじメッセージ読んで「明日は頑張るぞ」ってなったらなんかいいじゃないですか。

ここで自分のテーマソングを流したらもうドラマのはじまりですよね。

自己満にならないようにする

一緒に音楽作りをしている方々と過ごしている時間が楽しくて、指揮台に立って指導する意外にいろんなことをやっていたと書いてきましたが、ここで何より大事なのはそれが自己満足にならないことなんですよね。

約束した時間に来て、指揮を振って音楽指導をしてギャラをもらって「お疲れ様でした」であれば僕である必要はないし、誰でいいって言葉は不適切かもしれませんが、やっぱり自分にしかできないというか、自分のカラーをしっかり出した仕事ができたらなと思っています。

トレーナー、パート講師とまた立場が違えば、そのポジションで自分の出し方も変わりますが、ただ、何かを仕掛ける以上それが自己満にならないようにというのがとても難しく大切なことです。

キングコングの西野亮廣さんの言葉で「相手の生活を想像しろ」って言葉があるのですが、相手の生活の導線の中に届いた僕が発信するメッセージや何かが楽しみになったら嬉しいなと思っています。

あの雑談で一つ音楽理論の知識が増えた、仕事で嫌なことがあったけど練習に来るのが楽しみ、いつも練習に来るのが楽しいとかなんでも良いんです。

何か一つでも人生のプラスになるきっかけになれば良いなと感じています。

おわりに

ありがたいことに、毎年いろんな団体からお声がけをいただき各地で音楽指導にあたらせていただいています。本当に嬉しいしありがたいことだと感謝しています。

今年から新たに埼玉県で活動する大宮シティウインドオーケストラの指揮者を務めることとなり、埼玉、東京、神奈川とさまざまな場所で一緒に音楽ができることを楽しみにしています。

といいつつ、僕もまだまだ勉強しなくてはいけないことがたくさんあるので東京音大に指揮研修生として指揮を習いに行ったりしていましたが、コントラバス奏者として経験したこと、指揮のレッスンで学んだこと、他にも日常で「いいね!」を押したくなるような体験を指揮台の上から伝えられるように頑張っていきたいと思います。

明日もそれぞれの場所で素敵に生きていきましょう!

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イグチシンノスケ

千葉県出身。 船橋市立葛飾中学校管弦楽部にてコントラバスと出会う。 千葉県立市川西高等学校吹奏楽部を経て洗足学園音楽大学へ入学。 2022年春学期東京音楽大学指揮研修講座修了。 在学中より「吹奏楽部におけるコントラバスの現状」に着目し、多くの講習会に講師として参加。大学卒業後はフリーランスのコントラバス奏者としてオーケストラ、吹奏楽、室内楽をはじめ楽器製作ワークショップやレコーディングなど多方面での演奏活動をする傍ら、吹奏楽指導者・アマチュアオーケストラのトレーナーとしても活動しており、中でも吹奏楽におけるコントラバスの指導に力を入れている。 これまでにコントラバスを寺田和正、菅野明彦、黒木岩寿各氏に師事。指揮法を川本統脩、三河正典各氏に師事。よこはま月曜吹奏楽団指揮者。初心者と子どものためのオーケストラpìccolo音楽監督。板橋区演奏家協会理事。取手聖徳女子高等学校音楽科非常勤講師。

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