コントラバス奏者・指導者、吹奏楽指導者の井口信之輔です。
コントラバスを弾いたり教えたり、関東圏内の中学高校吹奏楽部を多く指導しています。
来月は、東京都江戸川区で活動する江戸川ママブラス・マリン♪のファミリーコンサートを指揮するので、聴きに来ていただけたら嬉しいです。
「あなたの好きな季節は何ですか?」
この夏、マリンが大ホールに帰ってきます!
テーマは四季!
私達と一緒に、季節を巡る旅に出かけましょう!第14回ファミリーコンサート、PR動画をお送りします!
※7月16日(日)江戸川区総合文化センター大ホール 14時開演!入場無料です! pic.twitter.com/6bmf7R2oMK
— 江戸川ママブラス・マリン♪ (@mamabrassmarine) May 27, 2023
さて、昨日の朝にふと思ったことをツイートしてみました。
毎年、吹奏楽コンクールに向けた音楽指導をしている中で、聞かれることでり問われること。
コントラバスの奏法というか、弾き方についてです。
思ったままにポロッとつぶやいたツイートがこちら。
コントラバスの生徒にお地蔵さんみたいとか棒立ち、棒弾きだからと身体を派手に動かして演奏するような指導はしないでやってください。取って付けたような動きは演奏の邪魔になり奏法を崩します。必要な動きは内側から出てくるので吹奏楽コンクールに向け合奏指導する先生方どうぞよろしくお願いします
— 井口 信之輔|コントラバス×吹奏楽指導 (@igu_shin) June 17, 2023
思った以上に伸びているので、もう少しだけ深掘りしてみたいと思います。
コントラバスを弾くときは身体を動かした方が良いの?
まず、先に結論から書いてみようと思います。
楽器を弾く上で必要な動きは自然と奏者の中から出てくる。
と、とてもシンプルなところがゴールだと考えています。
なので動くor動かないとか二択で決められるようなものでもないし、結局はその人にあった弾き方にたどり着くのが一番良いのですが、僕が気になってたので吹奏楽指導の現場で動きだけを求めるような指導、または要求をされて困っている生徒を多少なりとも見てきたというところ。
教える側の言いたいことはなんとなくわかる気もしますが、コントラバスを専門的に学んできた立場から思うことを書いてみると、取って付けたような動きを求めることは演奏スタイルを崩してしまうことがあるので、少しだけ気をつけた方が良いというところです。
演奏と動きは『守破離』で考える
こうした奏法に関しては「こうあるべき」のようなべき論で解決するものではないし、結局は人によるというところなのですが、いわゆる守る、破る、離れるの3ステップで考えると良いと思います。
ざっと書くとこんな感じ
- 守る
まずはコントラバスの基本的な奏法を習得する。部活動でいえば初心者講習会であったりはじめてのレッスンで学ぶような時間。僕はこのとき楽器が大きいからD線を基準にそれぞれの弦が弾きやすい身体の位置を見つけると良いと伝えています。
こうすると、自然な動きが生まれます。
自分と一番離れているG線(細い弦)と身体と一番近いE線(太い弦)を弾くときの身体の位置があまり変わらない人もいれば、けっこう変わる人もい流ので、まずは基本的な弾き方を知る上で自分に必要な動きを身体で覚えていく。まずは教えをも守り身につけていく段階。
- 破る
楽器の演奏に慣れてくると楽器が自分の体の一部のようになってきます。そうなると、自分なりに「こっちの方が弾きやすい」と考えたり、他校のコントラバスの生徒、先輩や後輩、そしてプロの奏者の弾き方などを目にしながら自分が良いと思ったものを取り入れ発展させていく段階。
自己表現の第一歩というところでもあるかと思います。
- 離れる
いろいろな弾き方、アドバイスに触れる中で自分なりの弾き方を見つけていく段階。
上手くいかなかったり、気づきを得たりと試行錯誤をしながらたどり着くところです。
動くことで演奏が崩壊した例
今でも覚えてる出来事なのですが、テンポ132くらいの軽快な音楽で八分音符を刻む楽譜を弾いていると、指揮者(指導者)から「コントラバス!もっと弓と身体を使って!」という指示がありました。なので言われた通りにやって様子をみると「もっと!弓は全部!」という要求があるので、なんかうまく言葉で表せないけど、普段は弓の元に近い位置でスピッカートという弓を飛ばす奏法を使って弾くような楽譜を弓をフルスイングしたような状態で弾いていきました。
もちろん、音なんて出ません。
音は出てるんですけ音程の判別が難しいような音。
見た目はなんかメチャクチャ身体使って弓全部使って弾いてるんですが、欲しい音はどう考えても出ません。そんな中、指揮者が次に言ったのが。
「そう!!!!!!!!!!」
先生、それ弾いてるように見えてるだけです。
動くことで良いことが起きた例
これは高校吹奏楽部時代の思い出です。
僕は「井口先輩は楽しそうに弾く」と言われてたことがありました。
だって、楽しいんだもの。
身体だって自然に動いちゃうものだよね。
そんな、いつかの地区音楽会で僕は「よし、アピールしてやるぞ」といつもよりオーバーに身体を動かして弾いていました。
普段やらないことをやるもんだから、多少演奏に粗が出ているのはナイショ。
でも、カッコつけたくなっちゃうときもあるじゃないですか。
後日、後輩経由で他校の女子からメールアドレスを渡されました。
プロが動いて演奏するのは音楽があるから
プロの奏者を見ていると、大きな動きをする人もいればあまり動かない人もいます。
でも、共通して言えることは身体の中に音楽があって、その音楽が自然な身体の動きにつながるということ。そして、時としてそれらをパフォーマンス的に魅せ、視覚的にも楽しませてくれるというところ。なので、その音楽を感じている動きが内面から出てくるのが良いよねってところ。
これはプロフェッショナルにアマチュア問わず同じだと思います。
その人が感じている音楽が動きに出てくるという結論にたどり着いてみます。
僕もまだまだ奏法は研究中です。最近は目線の位置を少しだけ変えてみたところ、なんか良い感じがしています。いろいろな人の弾き方を研究しながら、自分なりのプレイスタイルを見つけて行けたら良いなと思います。