吹奏楽におけるコントラバスへの理解と発展を願って毎週更新、明日のためのレッスンノート。
4週連続で続いてきた2021年度全日本吹奏楽コンクール課題曲の徹底分析シリーズ、今回は課題曲5吹奏楽のための「幻想曲」-アルノルト・シェーンベルク讃編のコントラバスパートを解説していきます。
これまでのように、パートは自分一人だけ、周りにコントラバスを教えてくれる人がいないという人に向けて課題曲の練習ポイントを書いていくので、練習の参考にしていただけたら嬉しいです。
何かわからないことがあれば、気軽に質問してくださいね。
課題曲Ⅴ 吹奏楽のための「幻想曲」-アルノルト・シェーンベルク讃
この曲を取り組む前に知っておきたいメモ
- 課題曲Ⅴ=難しいという先入観にとらわれない
- 楽譜に書かれている指示を一つ一つ紐解く
- カウントは細かく
- バルトークピッチカートは弦をつまんで弾く
課題曲5番というと難しいというイメージが先行してしまいがちだけど、一つ一つの指示を紐解いていけば大丈夫。
冒頭:フラジオレットを理解せよ
まずは冒頭、あまり見かけない表記を理解すること。
flag.
フラジオレット(英語でハーモニクス)弦長の1/2、1/3にあたる場所で弦を押さえずに軽く触れて弾いて倍音を出す奏法。
楽譜に◯が書かれていたらこの音はフラジオで弾いてくださいねって表記。
他にも表記方法があるけど、この曲には書かれていない表記なのでまたいつか。
sul E
E線で弾いてくださいって意味。
例えばsul Gって書かれていたらG線で弾いてくださいってこと。
ここまで解説して疑問が出てきた言葉を調べて、自分の言葉で誰かに伝えられるようにすると良し。僕もよく「弦長ってそう言えばどこからだっけ?」とか「1/2ってどのあたりだっけ?」ってよくパソコンに向かって調べています。
冒頭の小節はsul Eと書かれていてシ(H)の音に◯が付いてる。
ここまでを紐解くと、E線のシの音が鳴る場所で弦を押さえず軽く触れて弾いてねってこと。
ボウイングは(アップ)が弾きやすいかなって思うのと、右手の位置を工夫してみる。
指板から駒寄りまでどのあたりが澄んだ綺麗な音が出るか研究してみよう。
次の小節も同じように考える。
D線のレ(D)が鳴る場所で弦を押さえず軽く触れて弾いてねってこと。
もし、探してみて場所が見つからなかったらメッセージを送ってください。
そして1 playerって書いてあるから一人で弾いてallって書かれているところからは全員で弾く。
1:Bartok pizzって何?
楽譜の中でBartok pizzって書かれていたり◯の上に小さな縦線が入っていたらバルトークピッチカートの指示。
弦を指板から垂直にはじく(弓矢を引くイメージ)とバチン!と大きな音を鳴り、これがバルトークピッチカート。
僕のやり方は、弦をつまんで垂直にはじく。
弦に指を引っ掛けて離したり、手首のスナップを効かせてはじく人もいたり、いろいろな弾(はじ)き方をしている人がいるけど弦が指板に当たる打撃音+音程が聞こえるように。
けっこう大きな音がするから周りが驚きます。
でもそれでOK。
テンポが遅いときはカウントを細かく
冒頭をはじめ、ゆったりとしたテンポのときは細かいカウントを忘れずに。
指揮者が4つで数えていたら八分音符でイチト、ニト、サント、シト
「1」の2小節目の裏で弓を返す音形とか、しばらく休みが続く「3」あたりも細かくカウントができてたらOK。
「3」はどの楽器が入ってくるかを押さえて、しっかりカウント。
pizzはpになっているから頑張りすぎず。
コントラバスのpizzはしっかりと音が抜けて聞こえるから、大きく弾こうと思ってバルトークピッチカートみたいになってしまわないように気をつけてみてください。
8〜ラスト
「8」はオクターヴでミ(E)が続くけど、ここは同じポジションで押さえられる。
これが理解できていたらOK。
もし、わからなかったらコントラバスの運指表に基づいた12のポジションを復習してみよう。
63小節目は第6と第7の中間ポジションのファ♯(Fis)が出てくる。
この辺りになると各指の間隔がめちゃくちゃ狭くなるので、前にある休符を使ってしっかり準備して、ここは(アップ)から始めると後が弾きやすいかもしれません。
課題曲Ⅴ=難しいという先入観
これは僕も持ってしまうし、確かに課題曲Ⅴは難しい。
でも、楽譜をしっかり読んで一つずつ紐解いていくと「なるほど!」って思うことが多くなってくると思う。
だから、楽譜に書かれた意味を一つ一つインターネット上にあるヒントを片手に自分で調べていけば大丈夫。
もし、自分で調べてわからないことがあれば質問してください。
おわりに
2017年からはじめた吹奏楽コンクール課題曲「ワンポイントアドバイス」を復活させて更新を続けてきました。
この企画は遠方に住む吹奏楽部のコントラバス奏者からの質問を受けたときに、もしかしたら同じ悩みを抱えている人が多いのではないかなという思いからスタートしました。
僕がSNSやインターネットを通じて発信を続ける理由は、さまざまな講習会の講師を務めてきた中で見た「パートは自分一人だけ、周りにコントラバスを教えてくれる人がいないという環境でコントラバスを弾いている人たち」の演奏環境を少しでも良いものにしたいという思いです。
とにかくコントラバスは楽器を演奏する環境の差が地域によってありすぎる。
この現状を少しでも変えたく、これからも「吹奏楽におけるコントラバスへの理解と発展を願って」をテーマに発信を続けていきます。
もし一人で、誰にも教えてもらえない環境で練習をしていて「私は下手だな」って思う人がいたら、それは下手なんじゃなくてきっと方法がわからないだけだと思うから、何かわからないことがあれば、いつでもメッセージを送ってくださいね。
画面越しではあるけれど、全力でサポートします。
この課題曲を徹底分析シリーズが、どこかで悩む誰かの練習の役に立ちますように。
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