コントラバス奏者、吹奏楽指導者、指揮者の井口信之輔です。
コントラバスを弾いたり、教えたり、部活動からアマチュアオーケストラ・吹奏楽団の指揮や指導をしたり、SNSでは日常から好きなこと、フリーランスの音楽家のキャリア形成の話などいろいろなことを発信したりしています。
さて、今日は演奏会用プロフィールの書き方について書いていこうと思うのですが、いわゆる音大を卒業したフリーランスの音楽家向けではなく、音楽大学に入学したばかりの1年生、またははじめて自身のプロフィール提出を求められた際、どのように書けば良いのか?というところにターゲットを絞って書いていこうと思います。
というのも、中学高校の吹奏楽部をはじめとした音楽系部活動で出会い、音楽の道に進むべく音楽大学へ進学したという当時の生徒たちの声を聞くようになったり、今度はじめてプロフィールを書くように言われたのですがどのように書けば良いですか?と質問を受ける機会があったので、参考にしていただけたら嬉しいです。
僕がはじめてプロフィールを書いたのはいつだったでしょう、最初って本当に書くことないし何を書けば良いかわからないですよね。
それよりも、プロフィール写真は証明写真で良いと思っていて、バイトの面接用に撮った証明写真を提出してしまって1人だけ顔面ドアップということがあったのを今でも鮮明に覚えています。
何事も経験です。
それでは、プロフィールの書き方について書いていきますね。
音大1年生向け演奏会用プロフィールの書き方
クラシック音楽の演奏会へ行くと、パンフレットにその演奏会に出演する方々の経歴が書かれたプロフィールを見たことがあるかと思います。◯◯音楽大学卒業、◯◯氏に師事みたいなやつですね。
これをみることで、この演奏会の出演者がどんな人なのかが一目でわかります。いわゆるお客さんに向けた簡単な履歴・職歴書みたいな感じですね。
今はどうかわかりませんが、僕が音大生の頃はプロフィールの書き方というのは教わる機会もなく、自分で見て自分で考えて書いていくのが一般的でした。演奏会とか行ってパンフレットを見れば、なんとなくわかりますよね。
でも、はじめてプロフィールを書くことになったときは、多分何を書いて良いかわからなかったと思います。僕の場合は、アーティスト写真に証明写真を送ってしまったときの記憶が強くてプロフィールのことはあまり覚えていないのですが、悩んでいたことは確かです。
悩んだときは、同級生や先輩に聞けば解決すると思いますが、僕が発信している内容なので、将来は音楽の仕事がしたい、音楽で食べていきたいと思っている人に向けて、自分が何者かが伝わるような、お客さんの印象に残るプロフィールの書き方を書いていきます。
ぜひ、参考にしてみてください。
プロフィールにあった方が良いもの
まずは、プロフィールにあった方が良いものからまとめていきましょう。
何かを仕掛けるときには土台が大切です。
- 出身(都道府県)
- 在学中の学校名
- 師事歴
- あれば受賞歴
これくらいで良いと思います。
出身はあれば、楽屋で地元同士盛り上がることもあれば文字数稼ぎにもなります。
師事歴は師事している先生のお名前を記載し、受賞歴があれば書くと良いでしょう。
音楽コンクールでも、中学高校時代のソロコンテスト、吹奏楽コンクールやマーチングコンテストの記録でもOK。
この当たりをまとめれば、プロフィールは完成です。
これだけでもOKですが、もう少し踏み込んでみましょう!
プロフィールは自分のストーリーを書く
上に書いたようなことを書けば一応プロフィールは出来上がりますが、自分が音大の1年生のことを振り返ると、書けることって本当に少ないんですよね。
思い出してみるとこんな感じ。
コントラバス 井口信之輔
千葉県出身。コントラバスを寺田和正、菅野明彦各氏に師事。
洗足学園音楽大学1学年に在学中。
これだけです。
これだけでもプロフィールになっているのですが多分、一瞬で忘れますよね。
演奏会の開演前にチラッと見て「この子は洗足なんだ」って思う程度、同じコントラバスの学生であれば「ニューフィル千葉先生に習ってるんだ!」とか「菅野さんって東響の方だっけ?」くらい。
これでもプロフィールは成り立ちますが、せっかくなら、とくに将来は音楽を仕事にしたいという夢があるのであれば、今のうちから自分は何者なのかを伝えられるようにしておくのがおすすめです。
じゃどうすれば良いか?ってところですが、自分の過去をストーリーに仕立てるというところです。別に大袈裟なことではありません。
頑張ってきたこと、印象に残っていること、将来の夢、やりたいことを書いていけば良いのです。
もし、今の自分が音大1年生の僕と会う機会があれば、きっとこんな感じで書いてみらた?
とアドバイスをします。
楽器との出会い、頑張ったこと、好きなこと、将来の夢
例えば僕であれば中学時代にコントラバスに出会い、高校生の頃に吹奏楽の面白さを知りました。
中学時代を過ごした千葉県の船橋市は小学校、中学校のオーケストラが盛んで全国レベルの管弦楽部があります。千葉県は吹奏楽が盛んなイメージがありますが、オーケストラも盛んなんですね。
そして、音大1年生の頃はプロのオーケストラの奏者になることを夢見ていましたが、コントラバス研究室で先輩と「将来は地元に貢献したい」みたいな話をしていたのを覚えています。
吹奏楽コンクールに関しては、考え方が変わりましたね。
今ではコンクール大好きですが、当時は「音楽に点数や優劣をつけるなんて!」と思ってましたね。
中学の頃は運動部でしたが幼少の頃から改まった場面で言葉に仕えてしまう吃音を持っており、運動部の声出しや呼びかけができない場面がありゲームセンターなどをふらつく日々を過ごして、友達のいる管弦楽部に入部、そしてコントラバスの楽しさを知りましたがこの辺りはずっと当時は隠していたり、コンプレックスであったり、人に言えなかった部分なので書かなくてももOK。
高校生の頃はソロコンテストで銀賞を受賞しました。
これは嬉しかったですね、高校吹奏楽部時代の思い出です。
また、音大進学を決めたのはこの時期です。
晴れて音大生になった今、プロのオーケストラのコントラバス奏者を目指して頑張っています。
となると、今の視点でプロフィールを書くとこんな感じになります。
音大1年生の自分を振り返ったプロフィールの書き方
コントラバス 井口信之輔
千葉県出身。中学時代にコントラバスと出会い、高校吹奏楽部で過ごした時間をきっかけに音楽大学進学を志す。現在は洗足学園音楽大学1学年に在学中。コントラバスを寺田和正、菅野明彦各氏に師事。
少し工夫するだけで、この人はこうやってコントラバスと出会ったんだとわかりますよね。
もう少し書いてみましょう。
音大1年生の自分を振り返ったプロフィールの書き方、もうちょい詳しく
コントラバス 井口信之輔
音楽が盛んな千葉県に生まれ、中学時代はオーケストラ部、高校吹奏楽時代は吹奏楽部に所属しコントラバスに打ち込む。部活動で過ごした時間をきっかけに音楽大学進学を志し、現在は洗足学園音楽大学1学年に在学中。コントラバスを寺田和正、菅野明彦各氏に師事。
なんか、その人の学生時代を想像できませんか?
ここに受賞歴を書いてみましょう。
音大1年生の自分を振り返ったプロフィールの書き方、もうちょい詳しく
コントラバス 井口信之輔
千葉県に生まれ、中学時代はオーケストラ部、高校吹奏楽時代は吹奏楽部に所属しコントラバスに打ち込む。第◯回千葉県吹奏楽連盟主催個人コンクールにて銀賞を受賞。部活動で過ごした時間をきっかけに音楽大学進学を志し、現在は洗足学園音楽大学1学年に在学中。コントラバスを寺田和正、菅野明彦各氏に師事。
文字数が増えてきたので、「う〜ん、書いてみたら別にいらないな」と感じた音楽が盛んな千葉県でという文字は削りました。
これくらい書けたら、多くの演奏会で求められる文字数はカバーできると思います。
例えば、金賞じゃなかったから賞まで書きたくないって人がいれば、高校吹奏楽部では第◯回千葉県吹奏楽連盟主催個人コンクールに出場とか、例えば地区大会で金賞、県大会で銅賞や銀賞であれば、第◯回千葉県吹奏楽連盟主催個人コンクールに出場、◯◯地区を代表し県大会へ出場とか書けば良いし、大切なのは事実をわかりやすく書くということ。
また、地元での演奏会や音大生の支援コンサートなどであれば、将来の夢や今自分が勉強していることを書くだけで、読み手の印象はかなり変わります。
将来はコントラバスと出会った千葉県の音楽文化の発展に貢献することを目標としている。
なんて書いてあったら、真っ先に声かけます。
頑張ってきたこと、誇りにしていることを堂々と書こう!
プロフィールは自分の履歴書です。
なので、これまで頑張ってきたこと、今の自分が誇りにしていることを堂々と書きましょう。
個人コンクール、アンサンブルコンテスト、そして吹奏楽コンクールの受賞歴なんかは一つ書ける素材です。金賞である必要はありません、頑張ってきたことを書けば良いのです。
人はその人のストーリーに惹かれていきます。
プロフィールは事実を書くことが大切ですが、事実をわかりやすく書く、言い方を変えると事実を盛るというのはとっても大切です。
盛るというのは過剰表現をするのではなく、音楽を知らない人にもわかりやすく伝えられるように言葉を言い換えると言うことです。
これはSNSで発信を続けてきて感じますが、本当に伝え方って大切なんです。
あの子のプロフィールなんかウケるよねw
演奏会のプロフィールは周りを参考に書いてみるとだいたい同じようになるので、ちょっと書き方を工夫してみたり、周りと違う書き方をすることで目を引く反面、とくに学校や研究室など閉鎖的、狭いコミュニティの中だと浮いてくるので、何かしら言ってくる人が出てきてもおかしくありません。
これに関しては通り道のようなところがあるのでスルーして、嫌な思いをしたらこの人はこういうことを言う人なんだとスマホのメモ機能を使って◯◯してくる人なんて控えておくのが良いと思います。
周りと違う、そのグループでちょっと目立つことをするとアレコレ言ってくるのは日本のお家芸というか伝統芸みたいなものなので、まあこういう人いるよねって感じで捉えておくと良いと思います。
言われる方は本当に嫌ですけどね。
人を笑う側ではなく、笑われる側にいた方が長い視点で見たときに未来は明るいです。
いろんな書き方をしてみると、そこで求められるプロフィールの書き方が身につく
真面目に書いたり、面白おかしく書いてみたり、ウケを狙ってスベるような経験を早いうちからしておくと、その演奏会にちょうど良いプロフィールが書けるようになります。
また、ある場所によって「おっ!」と目を引くような経歴は他の現場だと誰も知らないなんてこともあります。
洗足学園音楽大学には実技試験の成績優秀者を特別選抜演奏者と認定してくれ特別な授業を受けられる機会があったり、学生の中で選抜されたメンバーで構成されたSウインド・オーケストラというのがありました。
学内でこれらを書くと「おっ!すごい!」と感じますが、学外になると「そういう制度があるんだ」くらいに捉えられたりします。
なので、いろんなプロフィールを書き方をしていく中で、どんな書き方、言い回しをすれば自分の魅力やストーリーを伝えやすいかというポイントを考えてみたら良いと思います。
実際、プロフィールは使いまわしてしまうこともあるので、自分の見せ方を知っているだけで自分をレアカード化させることもできます。
これを4年間続けてみたら、それだけで自分を誰かに伝えるノウハウが身につくと思いませんか?
プロフィールから仕事が来ることもある
これは卒業してからの実体験ですが、プロフィールから仕事の依頼が来ることもありました。
そこで見られたのは、学歴やコンクールの受賞歴、どんな先生に習っていたかではなく何をやっている人なのか、何が得意なのかというところでした。
ここで、僕がプロフィールを使い回していたらこのチャンスはありませんでした。
プロフィールを書くことに慣れてきたら、この先に活動したい分野ごとのプロフィールを用意してその都度アレンジするところまで出来たら素晴らしいと思います。
演奏家として、指導者として、指揮者として、YouTuberとして、ライバーとして、インフルエンサーとして、吹奏楽指導者として、ブラスバンドの指揮者として、肩書はいくつでも思いつきます。
おわりに
今回は音大1年生に向けた演奏会用プロフィールの書き方を書いてきました。
これなら長い音大生活で、きっといろんな分野の音楽や仕事に触れていくと思います。
肩書きは興味を持った分野の数だけ生み出すことができるし、自分は何ができて何をしているのかを第三者にわかりやすく伝えられる人にチャンスはやってきます。
ぜひ、過去の自分が取り組んできたこと、力を入れてきたこと、人生のターニングポイントやこれからの夢、目標をプロフィールに上手く組み込んで唯一無二の存在になってください。
今、本気で仕事頼める音大生とか探す機会あるので、いつか現場でご一緒できたら嬉しく思います。