こんにちは。コントラバス奏者、そして吹奏楽指導者の井口信之輔です。
秋になって、アンサンブルコンテストに向けたレッスンの依頼を受ける時期になってきました。
アンサンブルのレッスンは、だいたい本番の1か月前〜1週間前の間に依頼をいただくことが多いです。
まだ、譜読み段階の学校もあれば、かなり形になっている学校もあってさまざま。
僕のスタイルとして、このチームにとって「何を提案したらもっと面白くなるか」を考えて音楽作りのお手伝いをしています。
どの学校も、たくさん練習しているのはビシバシと伝わってきますが、曲のことを聞いてみると頭に「?」が浮かぶことが多かったりもします。
せっかく時間をかけて練習しているんだし、音を出すこと以外のところに興味を持てば、曲に対する知識も増えて、より充実した練習ができるんじゃないかなと思うことがありました。
今日は、アンサンブルコンテストに向けたレッスンを通して、もっと良い演奏をするために何ができるかな?
と考えていたことを書いてみます。
曲に興味を持つこと
とある学校は古典派時代の様式で書かれた曲を練習していました。
よく練習されていて、とても聴きやすくきれいな曲。
でも、あとちょっとだけ「様式」を理解すればもっとよくなる。
スコアの楽曲解説に「古典派時代の様式で作曲した」と書かれていたので、古典派の作品を何曲かすすめてみました。
たとえば、スマートフォンで「古典派 様式」なんてワードで検索して、調べてから何曲か曲を聴いていると「音楽の流れの基本のかたち」がちょっと見えてくると思います。
パターンがわかれば「こういうときは、こうだよね」っといった発見があったりと、より濃い練習ができるはず。
様式の持つ美しさ「様式美」を知れば、もっと素敵な演奏ができるはず。
作曲家に興味を持つこと
この曲を書いたは人、どんな人なんだろう。
今、演奏している曲の作曲家に興味を持ったことはありますか?
吹奏楽の世界は、オーケストラに比べてみたら作曲家が身近な存在だなと感じます。
インターネットで調べることもできるし、Twitterをフォローして、その人の頭の中を覗いてみたら意外な一面が見られるかも。
ふとした疑問をきっかけに、その作曲家の魅力を知ることができたら、素敵ですよね。
作曲家の他の作品に興味を持つこと
作曲家に興味が持てたら、ぜひ他の作品も聴いてみてください。
いろいろと聴いてると、作曲家の作風が見えてくるかも。
その音楽用語、日常会話でも使われてるの知ってる?
たとえば、楽譜に「Allegro」と書かれて、音楽辞典で調べて〈快活に、速く〉と書き込むとします。
でも、この「Allegro」というのはイタリア語で、実際に日常会話でも使われている生きた言葉です。
日常会話では「明るい、楽しい、陽気に」そんな意味をもつ言葉。
そんなワクワク、ドキドキした気持ちから生まれる心地よい速さから、「Allegro=速く」となったのかなと感じます。
こうしたイタリアの日常会話で使われる音楽用語の話はとても面白いです。
関孝弘さんが書いた「これで納得!よくわかる音楽用語のはなし」がおすすめ。
できないから下手なのか
つい「下手」という言葉を口にしてしまうことありませんか?
僕の中の定義ですが
- できる技術を持っているのにやらない人は「下手」
これは厳しく怒られても仕方ないです。
- できないことをやろうしとしてるけど、まだできない人は「下手じゃない」
経験上、こっちの方が多いです。
下手なんじゃなくて、やりかたがわからない。
チームをまとめてる先輩は、こんなところを気にかけて、支えてあげてください。
めし、食いにいこーぜ!
最後はこれ。
ご飯を食べて、いろんな話をする。
濃い練習と美味いめし!これ、大事。
- 体験談
高校吹奏楽部の頃、男子部員行きつけの中華料理店がありました。
コワモテのマスターが仕切ってるお店で、名前は好吃MEN(ハウチーメン)直訳すると、美味しい男?
部活の後、みんなで通い始め、僕が引退した後も何年も通って、後輩たちも通い続けました。
出てくる料理は絶品で、大人数で食べに行ったときは
「お前ら残したら全員ヤキ入れっかんな!」と笑いながら全員分大盛りにしてくれたりと楽しいお店でした。
練習の後にチームの仲間と食べるご飯は美味しいですよね。
金賞につながる話ではありませんが、卒業して何年も経った後でも思い出に残るのは、練習後のご飯だったりします。
さいごに
アンサンブルコンテストに向けたレッスンの時期に思うことを書いてきました。
いろいろな学校でお話をしていることですが、なにか参考になるものがあればトライしてみてください。
そして、この時期よくあることですが「チームの中で自分だけ初心者」と不安になる人もいるでしょう。
楽器の演奏技術を上げるのは、時間がかかるかもしれないけど、知識を増やすことはすぐできますよね。
心当たりのあるあなた、ぜひチームの誰よりも曲に、作曲家に詳しい博士になってください。
きっと、それが自信につながるし武器になります。
それでは、また各地で熱い演奏を聴けるのを楽しみにしています!